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【95話】ー最終話ー
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「皆もう帰ってしまうのか、寂しいな」
(((((ぐぅっ!)))))
寂しそうな美麗の少年の言葉に女性陣は腰が砕けるかと思った。
”いえ、ずっと御傍にお仕えします!”そんな声が無意識に出そうであった。
だが皆自分の立場と言うものがある。
マロンのように全てを投げ捨ててこの存在に全てを捧げることは出来ない。
出来るものならそうしたいが。
ちなみに美麗の少年はサイヒである。
本日は男装姿だ。
と言うか式の日以外はずっと男装である。
男装用の正装が似合い過ぎている。
コレが本当にあの花嫁か!?
正体を知ってる身でもそう思わされる美少年ぶりである。
サイヒを見事に女神のように飾り立ててくれたフェルゴールには頭が上がらない気持ちだ。
少なくとも王宮で働く者たちにとってわ。
それ程見事な花嫁ぶりだった。
一般天人たちはサイヒの事をあの美しい女神の姿で認識されたであろう。
これでサイヒが気紛れに王宮を跳び出ても最悪の事態は免れるだろう。
最悪の事態が免れるだけで悪い事態が起こらないとは言っていない。
絶対どこぞの女を誑かす。
なんならノーマルな男を間違った道へ誘導しかねない。
サイヒは悪阻が終わってから気分転換と称してぶらり天界1人旅を、誰にも言わずにやらかすのだ。
どうやら部屋に籠っていた鬱憤が居一気にストレス解消の方向に向かったらしい。
サイヒが姿を隠すと魔王の仕事に差し支えるから出来るだけ止めて欲しい。
だが並みの天人にそんな事が言えるはずもない。
ここで登場するのがクオンだ。
何故かサイヒの居場所を突き止めて首根っこを捕まえて帰ってくる。
妊婦の扱いとしてはどうかと思うが、素晴らしい働きである。
ルークでは誑かされてこうはいかない。
ぶらり1人旅が2人旅になるのが想像に難くない。
何時も最高の働きを有難う。
王宮勤めの天人の声である。
まぁそんな訳でサイヒは何時もの男装に戻っている。
そして女性陣は9割がた誑かせている。
本能で止まれているのは一緒に展開に来た相手が居るからであろう。
1人で来ていたら間違いなくマロンの二の舞であっただろう。
「悪いなサイヒ様、こんな小娘でも居なかったら仕事に差し障る。診療所も長く閉めてられないしな」
「そうか、サラ。お前の法術は全能神の加護がなくとも聖女と言えるだけの力がある。セブン氏の言う事を良く聞いて、1人でも多くの人を助けてやってくれ」
「は、はひ、サイヒ、様」
「サキュバスの方、貴女にもサラの情操教育を頼む。まぁ情操教育が必要なのは1人ではないみたいだが頑張ってくれ」
「全能神様に言われちゃ断れないわ♡2人の大きな子供の面倒はしっかり見るわね♡」
((2人の子供とは……?))
どうやらセブンとサラには伝わってないらしい。
そう言うところが子供なのだが。
「シジュン様、寿命の長い貴女とはこれからも長くお付き合いできそうで何よりです。これからも気が向いたらお茶でも飲みに来て下さい」
「はは、全能神様に暇つぶし付き合って貰えるとは光栄だな」
「言っとくけど俺も来るからね!」
「ちゃんとお前の分の茶も用意するから警戒するなマガク」
マガクが”だってサイヒすぐ女誑かすし…”などとブツブツ言っているのは完全無視である。
「姉様、先に私が結婚してしまいましたが姉様の結婚式楽しみにしています。きっと妖精のように可憐でしょうね、姉様の花嫁姿」
「ふふ、あんまりハードル上げないでよサイヒ。貴女のあの姿を見たら私の花嫁姿なんて霞んでしまうわ」
「そんな事ありません!姉様は私と違って可憐ですから皆の視線を奪いますよ!!」
「マーガレット、僕も君の花嫁姿楽しみにしているよ。サイヒは確かに美しかったけど、僕は君の花嫁姿の方が楽しみだよ」
「ローズ様…」
(頬染める姉様、マジ天使!!)
忘れられがちだろうがサイヒはシスコンなのである。
それを知っているルークの眉間に皺が寄っている。
「ルーク様、愚妹を宜しくお願い致します」
「いえ、世話になっているのは私の方だ。頭を上げて頂きたい」
「そうですよ姉様、私はルークに嫌がられる様な事は一切しませんから。喜ぶことなら何でもしてあげますけどね、昨夜だって本当に悦んでいましたから」
「サイヒ////」
((((((((全能神に何された魔王!?))))))))
頬をバラ色に染めて瞳を潤ませるルークを見て招待された客が心を1つにした瞬間だった。
「仲良しイイね~」
「良い事です、ね」
精神年齢が同じくらいのアンドュアイスとサラだけは意味が分かっていなかった。
純真無垢な子供、尊い。
「ルーシュはブーケが取れて良かったな。2年後には結婚が決まっているんだろう?ソレまでにもう少し胸が育って女らしくなっていれば良いな」
「ブーケは素直に嬉しいけど胸ディスるの止めよーね!育たなかった時のダメージ凄いから!!」
「僕は胸の大きさ気にしないよ~」
(ルーシュ、さん。私より、胸、あるです…私、絶望的、です、か………?)
密かに絶壁のサラが流れ弾でダメージを受けていた。
ルーシュ、Aカップ(ちょっと育った)。
サラ、絶壁。
(豆乳!豆乳飲む、です!イソフラボン、摂取、して女性ホルモン、増やす、です)
(サラちゃんの百面相可愛い♡)
こうしてサイヒが招待した者は各々に当てられた馬車(ペガサス車?)に乗って地上へと帰って行った。
「サイヒ、寂しいか?」
「お前とこの子たちが居るのに寂しい訳が無いだろう?」
サイヒが腹部を撫でる。
まだ緩やかだが膨らんできた腹部。
そこにはサイヒとルークの愛の結晶が宿っている。
「そうだな」
ルークはサイヒを後ろから抱きしめて、その手をサイヒの腹部に当てる。
「帰って温かいものでも飲もう。マロンが用意している筈だ」
「ふふ、それも良いが先にお前に暖めて欲しいなルーク」
「!?」
「冗談だ、さぁ帰ろう」
「茶を飲んだら、すぐにベッドだぞ?」
「ルーク?」
「冗談を冗談と受け止められる程私はサイヒに対して堪え性が無いんだ」
「困った魔王様だ。では伴侶殿、夜は存分に暖めて貰おうか?」
「私の全部の熱を差し出そう」
「夜が楽しみだ」
クスリ、と笑うサイヒの唇にルークは己の唇を重ねた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これにて本編完結とします。
読んで下さった方有難うございます!
本編が一段落した、というだけでこのシリーズはまだ続きます。
ゆるふわ設定でサイヒが楽しく全能神をしているだけのシリアスの欠片も無いお話ばかりになりますが…。
今後他の小説にもサイヒはゲストとして出る事も多い予定です。
双子ちゃんも産まれますし、双子ちゃんがメインのお話も書きたいと思っております。
どうぞ脳味噌を空っぽにして読んで頂いて、少しでも楽しんでいただければ光栄でありますぺ(*- -)(*_ _)ペコリ
(((((ぐぅっ!)))))
寂しそうな美麗の少年の言葉に女性陣は腰が砕けるかと思った。
”いえ、ずっと御傍にお仕えします!”そんな声が無意識に出そうであった。
だが皆自分の立場と言うものがある。
マロンのように全てを投げ捨ててこの存在に全てを捧げることは出来ない。
出来るものならそうしたいが。
ちなみに美麗の少年はサイヒである。
本日は男装姿だ。
と言うか式の日以外はずっと男装である。
男装用の正装が似合い過ぎている。
コレが本当にあの花嫁か!?
正体を知ってる身でもそう思わされる美少年ぶりである。
サイヒを見事に女神のように飾り立ててくれたフェルゴールには頭が上がらない気持ちだ。
少なくとも王宮で働く者たちにとってわ。
それ程見事な花嫁ぶりだった。
一般天人たちはサイヒの事をあの美しい女神の姿で認識されたであろう。
これでサイヒが気紛れに王宮を跳び出ても最悪の事態は免れるだろう。
最悪の事態が免れるだけで悪い事態が起こらないとは言っていない。
絶対どこぞの女を誑かす。
なんならノーマルな男を間違った道へ誘導しかねない。
サイヒは悪阻が終わってから気分転換と称してぶらり天界1人旅を、誰にも言わずにやらかすのだ。
どうやら部屋に籠っていた鬱憤が居一気にストレス解消の方向に向かったらしい。
サイヒが姿を隠すと魔王の仕事に差し支えるから出来るだけ止めて欲しい。
だが並みの天人にそんな事が言えるはずもない。
ここで登場するのがクオンだ。
何故かサイヒの居場所を突き止めて首根っこを捕まえて帰ってくる。
妊婦の扱いとしてはどうかと思うが、素晴らしい働きである。
ルークでは誑かされてこうはいかない。
ぶらり1人旅が2人旅になるのが想像に難くない。
何時も最高の働きを有難う。
王宮勤めの天人の声である。
まぁそんな訳でサイヒは何時もの男装に戻っている。
そして女性陣は9割がた誑かせている。
本能で止まれているのは一緒に展開に来た相手が居るからであろう。
1人で来ていたら間違いなくマロンの二の舞であっただろう。
「悪いなサイヒ様、こんな小娘でも居なかったら仕事に差し障る。診療所も長く閉めてられないしな」
「そうか、サラ。お前の法術は全能神の加護がなくとも聖女と言えるだけの力がある。セブン氏の言う事を良く聞いて、1人でも多くの人を助けてやってくれ」
「は、はひ、サイヒ、様」
「サキュバスの方、貴女にもサラの情操教育を頼む。まぁ情操教育が必要なのは1人ではないみたいだが頑張ってくれ」
「全能神様に言われちゃ断れないわ♡2人の大きな子供の面倒はしっかり見るわね♡」
((2人の子供とは……?))
どうやらセブンとサラには伝わってないらしい。
そう言うところが子供なのだが。
「シジュン様、寿命の長い貴女とはこれからも長くお付き合いできそうで何よりです。これからも気が向いたらお茶でも飲みに来て下さい」
「はは、全能神様に暇つぶし付き合って貰えるとは光栄だな」
「言っとくけど俺も来るからね!」
「ちゃんとお前の分の茶も用意するから警戒するなマガク」
マガクが”だってサイヒすぐ女誑かすし…”などとブツブツ言っているのは完全無視である。
「姉様、先に私が結婚してしまいましたが姉様の結婚式楽しみにしています。きっと妖精のように可憐でしょうね、姉様の花嫁姿」
「ふふ、あんまりハードル上げないでよサイヒ。貴女のあの姿を見たら私の花嫁姿なんて霞んでしまうわ」
「そんな事ありません!姉様は私と違って可憐ですから皆の視線を奪いますよ!!」
「マーガレット、僕も君の花嫁姿楽しみにしているよ。サイヒは確かに美しかったけど、僕は君の花嫁姿の方が楽しみだよ」
「ローズ様…」
(頬染める姉様、マジ天使!!)
忘れられがちだろうがサイヒはシスコンなのである。
それを知っているルークの眉間に皺が寄っている。
「ルーク様、愚妹を宜しくお願い致します」
「いえ、世話になっているのは私の方だ。頭を上げて頂きたい」
「そうですよ姉様、私はルークに嫌がられる様な事は一切しませんから。喜ぶことなら何でもしてあげますけどね、昨夜だって本当に悦んでいましたから」
「サイヒ////」
((((((((全能神に何された魔王!?))))))))
頬をバラ色に染めて瞳を潤ませるルークを見て招待された客が心を1つにした瞬間だった。
「仲良しイイね~」
「良い事です、ね」
精神年齢が同じくらいのアンドュアイスとサラだけは意味が分かっていなかった。
純真無垢な子供、尊い。
「ルーシュはブーケが取れて良かったな。2年後には結婚が決まっているんだろう?ソレまでにもう少し胸が育って女らしくなっていれば良いな」
「ブーケは素直に嬉しいけど胸ディスるの止めよーね!育たなかった時のダメージ凄いから!!」
「僕は胸の大きさ気にしないよ~」
(ルーシュ、さん。私より、胸、あるです…私、絶望的、です、か………?)
密かに絶壁のサラが流れ弾でダメージを受けていた。
ルーシュ、Aカップ(ちょっと育った)。
サラ、絶壁。
(豆乳!豆乳飲む、です!イソフラボン、摂取、して女性ホルモン、増やす、です)
(サラちゃんの百面相可愛い♡)
こうしてサイヒが招待した者は各々に当てられた馬車(ペガサス車?)に乗って地上へと帰って行った。
「サイヒ、寂しいか?」
「お前とこの子たちが居るのに寂しい訳が無いだろう?」
サイヒが腹部を撫でる。
まだ緩やかだが膨らんできた腹部。
そこにはサイヒとルークの愛の結晶が宿っている。
「そうだな」
ルークはサイヒを後ろから抱きしめて、その手をサイヒの腹部に当てる。
「帰って温かいものでも飲もう。マロンが用意している筈だ」
「ふふ、それも良いが先にお前に暖めて欲しいなルーク」
「!?」
「冗談だ、さぁ帰ろう」
「茶を飲んだら、すぐにベッドだぞ?」
「ルーク?」
「冗談を冗談と受け止められる程私はサイヒに対して堪え性が無いんだ」
「困った魔王様だ。では伴侶殿、夜は存分に暖めて貰おうか?」
「私の全部の熱を差し出そう」
「夜が楽しみだ」
クスリ、と笑うサイヒの唇にルークは己の唇を重ねた。
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読んで下さった方有難うございます!
本編が一段落した、というだけでこのシリーズはまだ続きます。
ゆるふわ設定でサイヒが楽しく全能神をしているだけのシリアスの欠片も無いお話ばかりになりますが…。
今後他の小説にもサイヒはゲストとして出る事も多い予定です。
双子ちゃんも産まれますし、双子ちゃんがメインのお話も書きたいと思っております。
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