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《22話》

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「アラ、白内障は分かるか?」

「水晶体が曇る、やつですよね?」

「お前頭悪いのに、ちゃんと医学知識はあるんだなアラ」

「頭悪いは余計、です。セブンさん」

「で、そのハクナイショーがどうしたのドクター?」

 ナナがミルクプリンを食べながらセブンに尋ねる。

「いや、平民街では老化に伴う視力の低下を治療する事が出来なかったからな。老化に伴うガタは法術でも治せない。が、クロイツなら今の医学で治せるだろう。アラの能力次第ではその白内障をココで治すことが出来る」

「施術はドクターが、ですよね。器具出しの清潔操作がメイン、ですか?」

「理解が早くて助かる。お前本当に頭悪いのに変な所賢いな…」

「頭悪い、2回言われた、です…」

「ちょっとドクター、私のサラちゃん虐めないでよ」

 ギュム、と隣に居たナナがサラを抱きしめる。
 顔に押し付けられた豊満な胸がとても柔らかく心地が良い。
 女でも危ない扉を開きそうな魅惑のバストだ。
 サラは性欲と言うのがないので、扉が開く心配はない。

 むしろ扉を開かなくてはいけないのはセブンの方だ。
 流石に魔法使いはそろそろ辞めても良い頃だろう。
 セブンは魔術も使えるが、それとは別に魔法使いでもある。
 意味の分からない方は近くの大人に聞くかググるかをして頂きたい。

 医学と可愛いキャラクターに愛を注ぐ男、セブン。
 恋人無し歴:年齢と同じ。
 ソロプレイも致さない、根からの医学馬鹿である。

 その昔、ナナが誘惑して唯一相手にされなかったのがセブンである。
 女の姿でも男の姿でもふたなりの姿でも相手にされなかった。
 その時はプライドがズタボロになったナナである。
 以来、この男がどんな女(もしくは男)と恋仲に落ちるか見たくてナースとして傍に居るのである。

「でも、水晶体代わりのレンズ、手に入る、ですか?」

「昔クロイツに留学していた頃の知り合いの伝手で格安で手に入る」

「なら後は局部麻酔と水晶体の破壊、と吸引、ですね。器具はある、ですか?」

「それも中古だが伝手で器具は手に入れた。クロイツに居た頃に何度か色々な科での研修で手術もしているから流れも問題ない。麻酔も俺が法術で局部麻酔かけるから問題ない」

「セブンさん、法術使えた、ですか!?」

「ドクターは魔術の腕も中々ヨ♡」

「法術に魔術…サイヒ様と同じ、です。サイヒ様の方が、綺麗、ですけど…」

 頬をポッ、と染めてサラが呟いた。

「悪かったな綺麗でなくて」

「いえ、セブンさんが不細工、な訳では無くて。サイヒ様が特別、なのです!」

「ほ~そのアラの大好きなサイヒ様はそんなにイイ男なのかね~?」

「サイヒ様は女性、です」

「そうなの!サラちゃん女同士の方が良かったのね♡」

「ちょっと黙れエロナース」

「恋愛でなく敬愛、です。サイヒ様がディノートを訪ねられた2ヵ月、みっちり医学、を叩き込まれました」

「何者だ、そのサイヒ様?」

「サイヒ様は元カカンの聖女で、法術に、魔術に、予知に、付与に、体術に、医学に、法学に、生物学に、物理学に、帝王学に、優れたお方、です!全てがS級の能力者、です!!」

「それ本当に聖女なのか…スペックがバケモノだぞ……?」

「それは美味しそうだけど…食べれる気がしないわ……」

「バケモノなんて、サイヒ様はそれはそれは、お綺麗でスタイルが良くて、格好良くて、男らしい方、です!」

「何で聖女の誉め言葉に”男らしい”が入っているんだ…?」

「サイヒ様、ですから!問題ない、です!」

「まぁそのサイヒ様のおがげで優秀な助手が手に入った事だし、心の中で礼を言っておこう。この頭の中にウニが詰まったような生き物に医学を叩き込むとは大したものだ」

「セブンさんに褒められた、です」

 えへへ、とサラが笑う。

「うん、サラちゃん。褒められてると言うよりは罵倒されるように聞こえるのはお姉さんだけかしら?」

「高級食材のウニが頭に入ってる、ですよ!誉め言葉以外、の何物でもない、です」

「まぁサラちゃんが良いなら良いけど…バ可愛いってこんな生き物に使う言葉なのね……」

 クックックッと笑う悪役のような医師に頭ウニの助手。
 自分ならこの2人には手術されたくないと、心から思うナナだった。
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