156 / 279
その後
青天の霹靂が身に降った思いだと後に彼女は答えた7
しおりを挟む
ミヤハルは自分に瞳の奥に恋情の熱を浮かべて愛を紡いだエントビースドの言葉が信じられなかった。
自分たちは主と奴隷。
それが最初の関係だった。
そして一緒に暮らして、成長を見続ける。
母と子供、もしくは姉と弟のような存在であったはずだった。
確かにミヤハルはエントビースドの事を恋情の想いで見続けていた。
だがソレが自分に帰って来るものなのだとは思いもしなかったのだ。
それはミヤハルだけが知らない事だった。
邸にいる人間はミヤハルを抜いて、皆がエントビースドの気持ちを知っていた。
1番に気付いたのはオウマだ。
オークションで買われたその日、ミヤハルに愛情を注がれてエントビースドがミヤハルに恋心を抱いたのを確信した。
3歳の子供の淡い恋に気付いたのだ。
そしてその淡い恋が、成長と伴い熱を持った恋心へと成長してくのを見てきた。
シックスリーは恋がどういうモノなのかまだ分かっていない。
まだ9歳の子供なのだ、仕方がない。
それでも兄が自分たちの保護者に対して特別の想いを抱いているのに気づいていた。
使用人たちは言うに及ばず。
ミヤハルだけがエントビースドの恋心を知らなかった。
恋心を抱いてくれる可能性なんて存在しないと思っていた。
だって自分はずっと保護者であったではないか。
年だって数億歳も離れたいる。
こんな幼い子供が自分のような干物女を好きになるはずなど無いと思い込んでいた。
だが目の前で愛の告白をしたエントビースドの瞳には確かな劣情が宿っていて。
ミヤハルは笑って誤魔化すなんて出来なかった。
何より最初に恋心を抱いたのはミヤハルのほうだったのだから。
まだ3歳の物心がつき始めたであろう幼児に恋をしたのだ。
本能であの子供が欲しいと、生まれて初めて恋をしたのだ。
ミヤハルだって数億年も生きている。
愛の告白何て男女問わず幾らでもされてきた。
それでも心を揺さぶられたのは初めてだった。
自分は一生恋をしないのだろうと思っていた。
それでも数億年の月日を超えて、運命と思える相手に出会った。
見返りなんて求めていなかった。
なのに、目の前の少年はミヤハルの事が好きだと言うのだ。
その思いを恋なのだと言うのだ。
でもミヤハルは知っている。
この少年もいつかは自分よりずっと成長し、大人になるのだと言う事を。
月の物も始まっていない年で成長が止まったミヤハルとは違う生き物だと言う事を。
エントビースドが成長したら、それはそれは良い男になるだろう。
その優秀な遺伝子に惚れ込む女は後を絶たないだろう。
今の12歳と言う年齢でも時々大人の女からも粉をかけられているようなのだし。
後10年もすれば女など選び放題。
選り取り見取りだ。
その時、ミヤハルは今と変わらない姿なのだ。
自分が年齢の割に女性らしい体つきをしていることをミヤハルは自覚している。
年頃の少年が情欲を抱く気持ちもわかる。
だが、成長した大人の男が、月の物もない子供の体に興味を示すとも思わなかった。
この時初めてミヤハルは自分の”古代種”と呼ばれる存在に進化した肉体を呪った。
何時かエントビースドは大人になり、その隣に妙齢の女性を従わすことだろう。
考えただけでも腸が煮えくり返そうだった。
だからと言って、思春期の少年が覚悟を決めてした愛の告白をむげに断るのは違う気がした。
何より自分の気持ちを伝えていないのはイーブンではない。
心をくれた少年に真心を返す。
それがミヤハルの選んだ決断だった。
「エント、ウチもエントが好きやで。でもな、ウチが成長せえへんのは知っとるやろ?エントが大人になってもウチは子供のままや。エントが子供が欲しいと願っても子供のウチには生んでやることも出来へん。
だから、気持ちは喜んで受け取らせてもらう。
でも返事はNOや。
エントはまだ子供や、そしてすぐに大人になる。1番近くに居た異性やからウチにそんな思い抱いたのかも知れへん。今のエントが本気でウチの事を好きだと言う言葉は信じられる。
せやけど大人になったエントがウチを選んでくれるとは思われへんのよ…世界にはいっぱいの魅力ある大人の女がおるんや。エントが大人になった時、劣情を抱くのはきっとそんな女やと思う。
だから、初恋は貰うけど、お付き合いはせえへん。
初恋を貰えただけで嬉しいよ。ホントやで?ウチかてエントの事を一等大事に想うとる。数億年生きて初めて恋心を抱いたんや。運命の相手やと思うとるよ。
でも数億年も生きてそれでも子供のウチと、これから逞しく成長して魅力的な大人になっていくエントは釣り合うとは思われへん。
それでも、それでもウチの事が好きやと言うなら、信じさせて。エントが大人になった時、それでもウチの事が一等好きだったなら…その時はウチもエントに全てをあげるから、そん時はウチにエントの全てを頂戴………」
話した言葉はすべて真実。
ミヤハルはエントの恋心を認めながらも、この先を考えるとその思いを長い人生の中で抱き続けるなんて無理だと思っていた。
いくら年齢の割に女らしい体つきをしていても子供の体では、本物の女の体に敵うわけがない。
エントビースドがロリコンならいざ知らず。
いや、ロリコンならもっとツルペタを選ぶだろうから、ミヤハルの考えはこの時点で破綻しているのだが。
何時かエントビーストが大人になり、伴侶を選ぶとき。
隣に立つ女の姿など見たくもないのでミヤハルは、この告白を受けて”エントビースドが大人になったら魔国から姿を消そう”なんて思っていたことは誰も気づきはしなかったのだった。
自分たちは主と奴隷。
それが最初の関係だった。
そして一緒に暮らして、成長を見続ける。
母と子供、もしくは姉と弟のような存在であったはずだった。
確かにミヤハルはエントビースドの事を恋情の想いで見続けていた。
だがソレが自分に帰って来るものなのだとは思いもしなかったのだ。
それはミヤハルだけが知らない事だった。
邸にいる人間はミヤハルを抜いて、皆がエントビースドの気持ちを知っていた。
1番に気付いたのはオウマだ。
オークションで買われたその日、ミヤハルに愛情を注がれてエントビースドがミヤハルに恋心を抱いたのを確信した。
3歳の子供の淡い恋に気付いたのだ。
そしてその淡い恋が、成長と伴い熱を持った恋心へと成長してくのを見てきた。
シックスリーは恋がどういうモノなのかまだ分かっていない。
まだ9歳の子供なのだ、仕方がない。
それでも兄が自分たちの保護者に対して特別の想いを抱いているのに気づいていた。
使用人たちは言うに及ばず。
ミヤハルだけがエントビースドの恋心を知らなかった。
恋心を抱いてくれる可能性なんて存在しないと思っていた。
だって自分はずっと保護者であったではないか。
年だって数億歳も離れたいる。
こんな幼い子供が自分のような干物女を好きになるはずなど無いと思い込んでいた。
だが目の前で愛の告白をしたエントビースドの瞳には確かな劣情が宿っていて。
ミヤハルは笑って誤魔化すなんて出来なかった。
何より最初に恋心を抱いたのはミヤハルのほうだったのだから。
まだ3歳の物心がつき始めたであろう幼児に恋をしたのだ。
本能であの子供が欲しいと、生まれて初めて恋をしたのだ。
ミヤハルだって数億年も生きている。
愛の告白何て男女問わず幾らでもされてきた。
それでも心を揺さぶられたのは初めてだった。
自分は一生恋をしないのだろうと思っていた。
それでも数億年の月日を超えて、運命と思える相手に出会った。
見返りなんて求めていなかった。
なのに、目の前の少年はミヤハルの事が好きだと言うのだ。
その思いを恋なのだと言うのだ。
でもミヤハルは知っている。
この少年もいつかは自分よりずっと成長し、大人になるのだと言う事を。
月の物も始まっていない年で成長が止まったミヤハルとは違う生き物だと言う事を。
エントビースドが成長したら、それはそれは良い男になるだろう。
その優秀な遺伝子に惚れ込む女は後を絶たないだろう。
今の12歳と言う年齢でも時々大人の女からも粉をかけられているようなのだし。
後10年もすれば女など選び放題。
選り取り見取りだ。
その時、ミヤハルは今と変わらない姿なのだ。
自分が年齢の割に女性らしい体つきをしていることをミヤハルは自覚している。
年頃の少年が情欲を抱く気持ちもわかる。
だが、成長した大人の男が、月の物もない子供の体に興味を示すとも思わなかった。
この時初めてミヤハルは自分の”古代種”と呼ばれる存在に進化した肉体を呪った。
何時かエントビースドは大人になり、その隣に妙齢の女性を従わすことだろう。
考えただけでも腸が煮えくり返そうだった。
だからと言って、思春期の少年が覚悟を決めてした愛の告白をむげに断るのは違う気がした。
何より自分の気持ちを伝えていないのはイーブンではない。
心をくれた少年に真心を返す。
それがミヤハルの選んだ決断だった。
「エント、ウチもエントが好きやで。でもな、ウチが成長せえへんのは知っとるやろ?エントが大人になってもウチは子供のままや。エントが子供が欲しいと願っても子供のウチには生んでやることも出来へん。
だから、気持ちは喜んで受け取らせてもらう。
でも返事はNOや。
エントはまだ子供や、そしてすぐに大人になる。1番近くに居た異性やからウチにそんな思い抱いたのかも知れへん。今のエントが本気でウチの事を好きだと言う言葉は信じられる。
せやけど大人になったエントがウチを選んでくれるとは思われへんのよ…世界にはいっぱいの魅力ある大人の女がおるんや。エントが大人になった時、劣情を抱くのはきっとそんな女やと思う。
だから、初恋は貰うけど、お付き合いはせえへん。
初恋を貰えただけで嬉しいよ。ホントやで?ウチかてエントの事を一等大事に想うとる。数億年生きて初めて恋心を抱いたんや。運命の相手やと思うとるよ。
でも数億年も生きてそれでも子供のウチと、これから逞しく成長して魅力的な大人になっていくエントは釣り合うとは思われへん。
それでも、それでもウチの事が好きやと言うなら、信じさせて。エントが大人になった時、それでもウチの事が一等好きだったなら…その時はウチもエントに全てをあげるから、そん時はウチにエントの全てを頂戴………」
話した言葉はすべて真実。
ミヤハルはエントの恋心を認めながらも、この先を考えるとその思いを長い人生の中で抱き続けるなんて無理だと思っていた。
いくら年齢の割に女らしい体つきをしていても子供の体では、本物の女の体に敵うわけがない。
エントビースドがロリコンならいざ知らず。
いや、ロリコンならもっとツルペタを選ぶだろうから、ミヤハルの考えはこの時点で破綻しているのだが。
何時かエントビーストが大人になり、伴侶を選ぶとき。
隣に立つ女の姿など見たくもないのでミヤハルは、この告白を受けて”エントビースドが大人になったら魔国から姿を消そう”なんて思っていたことは誰も気づきはしなかったのだった。
2
お気に入りに追加
3,965
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
愚か者の話をしよう
鈴宮(すずみや)
恋愛
シェイマスは、婚約者であるエーファを心から愛している。けれど、控えめな性格のエーファは、聖女ミランダがシェイマスにちょっかいを掛けても、穏やかに微笑むばかり。
そんな彼女の反応に物足りなさを感じつつも、シェイマスはエーファとの幸せな未来を夢見ていた。
けれどある日、シェイマスは父親である国王から「エーファとの婚約は破棄する」と告げられて――――?
教会を追放された元聖女の私、果実飴を作っていたのに、なぜかイケメン騎士様が溺愛してきます!
海空里和
恋愛
王都にある果実店の果実飴は、連日行列の人気店。
そこで働く孤児院出身のエレノアは、聖女として教会からやりがい搾取されたあげく、あっさり捨てられた。大切な人を失い、働くことへの意義を失ったエレノア。しかし、果実飴の成功により、働き方改革に成功して、穏やかな日常を取り戻していた。
そこにやって来たのは、場違いなイケメン騎士。
「エレノア殿、迎えに来ました」
「はあ?」
それから毎日果実飴を買いにやって来る騎士。
果実飴が気に入ったのかと思ったその騎士、イザークは、実はエレノアとの結婚が目的で?!
これは、エレノアにだけ距離感がおかしいイザークと、失意にいながらも大切な物を取り返していくエレノアが、次第に心を通わせていくラブストーリー。
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
婚約破棄はまだですか?─豊穣をもたらす伝説の公爵令嬢に転生したけど、王太子がなかなか婚約破棄してこない
nanahi
恋愛
火事のあと、私は王太子の婚約者:シンシア・ウォーレンに転生した。王国に豊穣をもたらすという伝説の黒髪黒眼の公爵令嬢だ。王太子は婚約者の私がいながら、男爵令嬢ケリーを愛していた。「王太子から婚約破棄されるパターンね」…私はつらい前世から解放された喜びから、破棄を進んで受け入れようと自由に振る舞っていた。ところが王太子はなかなか破棄を告げてこなくて…?
聖女に巻き込まれた、愛されなかった彼女の話
下菊みこと
恋愛
転生聖女に嵌められた現地主人公が幸せになるだけ。
主人公は誰にも愛されなかった。そんな彼女が幸せになるためには過去彼女を愛さなかった人々への制裁が必要なのである。
小説家になろう様でも投稿しています。
聖女のわたしを隣国に売っておいて、いまさら「母国が滅んでもよいのか」と言われましても。
ふまさ
恋愛
「──わかった、これまでのことは謝罪しよう。とりあえず、国に帰ってきてくれ。次の聖女は急ぎ見つけることを約束する。それまでは我慢してくれないか。でないと国が滅びる。お前もそれは嫌だろ?」
出来るだけ優しく、テンサンド王国の第一王子であるショーンがアーリンに語りかける。ひきつった笑みを浮かべながら。
だがアーリンは考える間もなく、
「──お断りします」
と、きっぱりと告げたのだった。
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリアン・スチール公爵令嬢18歳デビット王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる