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その後

チビリコリスと一緒7

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「んじゃリコリスちゃんはウチとユラ姉ちゃんと一緒にお風呂行こか」

「一緒に入っていいんですか?」

「背中流しっこするで」

「誰かと一緒におふろ、はじめてでドキドキします」

 魔王が止める前にミヤハル達とリコリスが風呂に行く流れになってしまった。
 止める間もない。
 お風呂セットは既にユラの【復元】により用意されている。
 行動が早すぎるぞ古代種たちよ…。

 【復元】したお風呂セットに黄色いアヒルちゃんが居る辺り、ユラもリコリスに甘い。

 大人の女性に甘やかされた事のないリコリスにはいい機会かもしれない。
 魔王は自分に言い聞かせた。
 自分の義姉が大人の女だと言う事は脳から吹っ飛んでいるらしい。
 色気はあるが見た目が子供な上に、大人な行動をとらない愉快犯なのが悪い。

 あぁだがリコリスの初入浴。

 大きな湯船でチビリコリスを膝に乗せて、2人で湯に浸かるのは至高の幸せだったであろう。
 未成熟な傷跡の残る体を優しく洗いたかった。
 ロリコンではない。
 リコリスだからだ。
 その証拠として魔王はミヤハルが子供になっても一緒に入浴したいとは思わない。
 兄のエントビースドであれば話が違ってくるだろうが。
 
 エントビースドなら下手をすれば幼児のミヤハルにも恋慕の愛情をぶつけかねない。
 何ならミヤハルが赤子でも恋慕の情を持つだろう。
 決してロリコンではない。
 ミヤハル至上主義なだけだ。

 だが兄に比べて、今のリコリスに歪んだ性癖を持ってないあたり魔王はまともである。

「い~な~女の子のお風呂、楽しいんだろうなぁ~」

 オウマが発言すると男性陣の視線が注目した。
 流石に無いと思うが相手はオウマだ。
 覗き見しないとも言い切れない。
 
 ピキンッ!

 その瞬間オウマの体が凍結した。
 大きな氷の中に居るオウマ。
 中に居るのが美少女なら、さぞや耽美な作品になったであろう。
 だがオウマだ。
 誰得でもない。

「これは無駄になりましたね」

 アムカが縄を持って言った。
 何故図書室に縄などがあるのか考えてはいけない。
 アムカさんは優しい大人なのである。
 そう思っているリコリスの夢を壊してはいけない。

 ちなみにアムカが持っているのは赤いなわである。
 途中途中に結び目がある。
 何故だ?
 考えるな、感じろ!
 いや感じられても困るか…。

 そして魔鉱石の光が切れた時の非常用の明かりは赤い蝋燭である。
 少し特徴的な形をしている。
 アムカ的には「コチラの方が蠟が熱くないので」と答えてくれるだろう。

 なぜ温度の低い蝋燭が必要なのか……。

 これも考えてはいけない案件だろう。

 凍らされたオウマは幸運だったのかも知れない。
 もしかしたら赤い縄で亀甲縛りされ、垂れる蝋を素肌に零される羽目になっていたかも知れないのだから。

 アムカは図書室から出る事が少ないので、あまり存在を民衆には知られていない。
 知られたら最後、今度は騎士団長が司書に襲われる薄い本が流出するかもしれない。
 アムカは是非図書室の住民であって貰うべきだろう。
 オウマのためにも……。

 そして王宮のミヤハル用の大浴場でチビリコリスは初めての大きな浴槽での入浴に感激する事になる。
 昨日は1人用のお風呂でミヤハルにシャワーで磨かれたのだ。
 だが湯に浸かるのは気持ち良さが違う。
 温かいお湯に浸かる事。
 髪の毛を洗ってくれること。
 背中を流してくれること。
 何と気持ちが良いものだろうか。

 大きな浴槽では黄色のアヒルさんがぷかぷか浮いている。

 ミヤハルがタオルで湯船の中で風船を作ってくれる。
 不思議な手の形で水を飛ばしたりもした。

 大人にとっては丁度良い深さでも、チビリコリスにとってはそれなりの深さ。
 承諾を得て足をばたつかせて湯船で泳いでいる。

「ほんまウチの義妹はかわええなぁ」

「ミヤハルちゃん、チビリコリスちゃんに構うのは良いけど、ちゃんとエント君もかまってあげなさいよ?男の嫉妬は怖いわよ?」

「大丈夫やでユラ姉ちゃん。ウチの子育ては完璧、これも放置プレイの一環と楽しめるだけの度量がエントにはあるさかいに」

 バタ足をしているのに何故か沈んでいくチビリコリスを眺めながら、ミヤハルは湯に浮かべた盆の上のユラの分のグラスにブランデーを注いでやるのだった。


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 良い子はお風呂でお酒は飲まないようにしよう!
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