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その後

【番外】オウマside7

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 この間は少し恥ずかしい話しちゃったなぁ。
 泣いたところは省いた方が良かったや。
 いや、逆に母性本能擽ったりした?
 まぁ続き話すね~。

 温かいご飯遠慮なく食べてさ。
 美味しかったな~。
 ミヤハル様は”ワショク”て言うのが好きらしくてパンじゃなくてお米に合うオカズがずらりとテーブルに並んでたんだ。
 お米初めて食べるけど美味しいのね。
 カチカチのカビの生えたパンとは天と地の差。
 オカズも噛めば噛むほど味が口の中に広がってさ、モキュモキュ頬張ったよ。
 柔らかいお肉美味しい。
 肉汁もジューシー。
 甘辛い魚料理もお米と良く合って美味しいのね。

 ミヤハル様は”おはし”て言う2本の棒で器用にご飯食べるんだよね。
 仕草が綺麗。
 俺のテーブルの周り食べこぼしが多くて少し恥ずかしくなっちゃった。

 美形兄弟はご飯に手を付けない。

 勿体ないよね~。
 温かいうちに食べた方が絶対美味しいのに。
 毒でも警戒してるのかな?
 俺なら毒入っててもこのご飯で死ねるなら本望だわ。
 最後の晩餐、てヤツね。

 そんな美形兄弟を見て、ミヤハル様がひょい、て兄の方抱いたの。

 兄の頭の上に「?」マーク浮かべてたね。
 無表情なのに器用だね。

 そしてミヤハル様の膝の上に乗せられてさ、”あーん”されてんの。

 兄、ますます「?」状態。
 もしかして”あーん”して貰ったこと無いの?
 俺は爺ちゃんにされたことあったからさ、頭「?」にしてる兄を見てこれは何をされてるのか分かって無いんだろうな~て思った訳。

「お前に食べさせてくれるんだってさ」

「!?」

「食べたら?美味しいぜ?」

「………」

 何か目を見開いて考えてさ、兄はミヤハル様のハシに摘まれた”ニクジャガ”て言うのをパクリと食いついた。

「!?」

 美味しかったんだろうなぁ。
 眼がキラキラしていたからそう判断した。
 そしてその後眉間に皺が寄って…。
 ボロボロ涙を流し始めたんだ。

 うん、分かるよその気持ち。
 スラムは抱きしめてくれる人居ないもんな。
 ご飯食べさせてくれる人居ないもんな。
 温かくて美味しい料理なんて食べれないもんな。

 この兄弟がどういったけ経緯でスラムで暮らす事になったのか知らないけど、俺みたいな”アタリ”では無いのは間違いないと思った。

 優しくされた事のある奴でないとあんな冷たい眼してるはずがない。

 弟とは顔が似てるから本当の兄弟だろう。
 でも弟にしか心を開いている感無かったから、ろくでもない環境で育ったて言うのは分かった。

 なのに抱き締められて。
 ご飯食べさせて貰って。
 温かくて美味しいご飯口にして。
 「美味しいか?」なんて優しい声で聞かれて微笑まれたらさ。

 そりゃ泣いちゃうよね。

 もしかしたらこの瞬間兄の方、現宰相さんは恋に落ちたのかもね。
 俺も宰相さんがミヤハル様に恋に落ちた瞬間何て聞いたこと無いからさ。
 コイバナする仲でもないしね。

 泣いている兄をよそに、赤ちゃんはメイドさんの腕の中で哺乳瓶の中のミルクをゴクゴク飲んでたよ。
 この兄弟、性格真反対すぎない?

 あ、今日はココまで。
 短くてごめんね。
 次はもうちょっと長く話せたら良いな~。
 それじゃ!
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