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その後
【9話】
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ホラーと言えば夏!
しかし夏はすでに終わっている。
オコタで鍋が美味しい季節である。
「あかん、今年夏満喫しとらん」
ミヤハルのその1言が事の発端だった。
:::
「と言う訳で始めるで百物語inマイハウス!本日は意味が分かると怖い話縛り!!」
パチパチパチパチ
リコリスとエントビースドとメイド(×4)が拍手をする。
雰囲気を出すべく暗くした和室にろうそくに火を灯しての怪談話だ。
「んじゃ、ウチから」
〇本当の人数
昨日8人でかくれんぼ。 ものの5分で自分が見つかった。その5分後3人見つかって最後の4人も5分後に見つかった。驚異的な速さでだったよ!またかくれんぼしたいな。
「ん?何が怖いのでしょうか?」
「よく考えてみろリコリス。
鬼 → 1人
最初に自分が見つかった → 1人
次に3人見つかった → 3人
最後には4人見つかった → 4人
つまりは…」
「ひぃぃぃいぃ」
ギュム~
リコリスが魔王の腕にしがみ付く。
意味が分かったらしい。
リコリスに引っ付かれて魔王も満更ではない。
それにしてもこの程度で悲鳴をあげるとは、リコリスはホラーに耐性が無い様だ。
「では次は私だな」
ミヤハルを足に乗せて胡坐をかくエントビースドが話し始める。
〇招かざる人
2人の女がビデオカメラを携えて心霊スポットに入り、このまま1時間ほど廃病院を探索した。 「何も映らなかったねー。」 「家帰ろっか。うち来る?」 「そうするよ。」 「え?いいの?」 「いいよー。」 「じゃあ行くー。」 2人の女は病院を後にした。
「多い!多いです―――――っ!!」
リコリスがガタガタ震える。
「では我が…」
〇男の行動
昨日は海へ足を運んだ 今日は山へ足を運んだ 次はどこに運ぼうか……
頭を抱えて悩んだ 実は昨日から手を焼いている
…案外骨が折れる 重い腰を持ち上げた 電話が鳴っている 友人に頼むむねを確認し明日までには終わらせようと腹をくくった
「バラバラ?バラバラなんですか!?」
「参加させて頂いて有難うございます☘では私が☘」
〇便座
初めて家にきた彼女。彼女がトイレを出た後に俺がすぐ入った。その直後彼女が「ダメ!見ないで!忘れ物したの!」とドアを激しく叩く。トイレ内を見ても特に何もないので「どしたの?何も忘れてないよ」とそのまま俺は用を足し、便座を降ろしトイレをでた。
「エーデルちゃんナイスや!別の意味で怖いわwwww」
「え、え?私よく分からなかったです」
「リコリスちゃんは穢れ無きままおってなぁ」
「では次行きます♡」
〇部屋のあかり
友達から怖い話を聞いた夜。私は怖くなって、全部の部屋の電気を点けてお風呂に入っていた。そろそろ出ようとバスタオルを手にしたとき、自室から物音がした。恐る恐る電気をつけたが、何もいなかった。…なあんだ、気のせいか。
「ぁぁぁっぁぁぁぁぁぁっ」
「リコリスちゃんがマナーモードになっとるww」
「もっと引っ付いて良いぞリコリス」
「まおう~グズッ」
「満面の笑みやな魔王」
「それでは私も♪」
〇父親の計画
父は私に泳ぎを教えるため、電車で私を遠くの海に連れていきました。父の指導は厳しく、泳ぎを知らない私を何度も海に放り込みました。私は必死で手足を動かし、その結果僅か一日で泳げるようになりました。でもあの日、なぜ父は私の分だけ帰りの切符を買い忘れていたのでしょうか?
「家族は仲良くですぅぅぅぅっ!」
「あ、リコリスちゃんのトラウマが…」
「申し訳ありませんリコリス様♬」
「では参ります☆」
〇そっくりな双子
双子の幼女が誘拐された。 双子はガムテープで目と口を塞がれた 犯罪者は 姉の耳元でヘリウム声になり囁いた 「抵抗したり逃げたら妹を殺すよ。」 さらに犯罪者は 妹の耳元でヘリウム声になり囁いた 「抵抗したり逃げたら姉を殺すよ。」
「ん~と?」
「双子は見分けにくいぞ?」
「身近な恐怖ですぅぅぅぅっ!!グズグズ」
「で、リコリスちゃんで1周やねんけど、コレは無理やね。今回は解散、皆自分に当てられた部屋でゆっくり寝てやぁ~」
「ま、魔王…今日は1つの布団で寝ましょうね!寒いですもんね!」
「そうだな。冷えるからな。一緒の布団で寝る様にしよう」
和室の客間にリコリスを連れて向かう魔王が振り向き、ミヤハルにサムズアップした。
どうやら満足な結果らしい。
「そう言うつもりじゃなかったんやけどなぁ」
「では私たちも寝よう。メイド達もゲストルームを好きに使ってくれ」
「「「「有難うございます☘♡♬☆」」」」
元気いっぱいの声で侍女たちは答える。
楽しそうで何よりだ。
「エント、うちも怖なったから一緒のベッドで寝ようかな?」
「眠るだけか?」
「眠るだけや、こんなに客おるのにそんな気分にはなれんわ」
「アッチはそうでもないみたいだがな……」
その夜、ミヤハル邸に女のすすり泣く声と小さな悲鳴が響いたという。
次の日、つやつやと顔色の良い魔王と目元を赤くしたリコリスの姿があったとか。
しかし夏はすでに終わっている。
オコタで鍋が美味しい季節である。
「あかん、今年夏満喫しとらん」
ミヤハルのその1言が事の発端だった。
:::
「と言う訳で始めるで百物語inマイハウス!本日は意味が分かると怖い話縛り!!」
パチパチパチパチ
リコリスとエントビースドとメイド(×4)が拍手をする。
雰囲気を出すべく暗くした和室にろうそくに火を灯しての怪談話だ。
「んじゃ、ウチから」
〇本当の人数
昨日8人でかくれんぼ。 ものの5分で自分が見つかった。その5分後3人見つかって最後の4人も5分後に見つかった。驚異的な速さでだったよ!またかくれんぼしたいな。
「ん?何が怖いのでしょうか?」
「よく考えてみろリコリス。
鬼 → 1人
最初に自分が見つかった → 1人
次に3人見つかった → 3人
最後には4人見つかった → 4人
つまりは…」
「ひぃぃぃいぃ」
ギュム~
リコリスが魔王の腕にしがみ付く。
意味が分かったらしい。
リコリスに引っ付かれて魔王も満更ではない。
それにしてもこの程度で悲鳴をあげるとは、リコリスはホラーに耐性が無い様だ。
「では次は私だな」
ミヤハルを足に乗せて胡坐をかくエントビースドが話し始める。
〇招かざる人
2人の女がビデオカメラを携えて心霊スポットに入り、このまま1時間ほど廃病院を探索した。 「何も映らなかったねー。」 「家帰ろっか。うち来る?」 「そうするよ。」 「え?いいの?」 「いいよー。」 「じゃあ行くー。」 2人の女は病院を後にした。
「多い!多いです―――――っ!!」
リコリスがガタガタ震える。
「では我が…」
〇男の行動
昨日は海へ足を運んだ 今日は山へ足を運んだ 次はどこに運ぼうか……
頭を抱えて悩んだ 実は昨日から手を焼いている
…案外骨が折れる 重い腰を持ち上げた 電話が鳴っている 友人に頼むむねを確認し明日までには終わらせようと腹をくくった
「バラバラ?バラバラなんですか!?」
「参加させて頂いて有難うございます☘では私が☘」
〇便座
初めて家にきた彼女。彼女がトイレを出た後に俺がすぐ入った。その直後彼女が「ダメ!見ないで!忘れ物したの!」とドアを激しく叩く。トイレ内を見ても特に何もないので「どしたの?何も忘れてないよ」とそのまま俺は用を足し、便座を降ろしトイレをでた。
「エーデルちゃんナイスや!別の意味で怖いわwwww」
「え、え?私よく分からなかったです」
「リコリスちゃんは穢れ無きままおってなぁ」
「では次行きます♡」
〇部屋のあかり
友達から怖い話を聞いた夜。私は怖くなって、全部の部屋の電気を点けてお風呂に入っていた。そろそろ出ようとバスタオルを手にしたとき、自室から物音がした。恐る恐る電気をつけたが、何もいなかった。…なあんだ、気のせいか。
「ぁぁぁっぁぁぁぁぁぁっ」
「リコリスちゃんがマナーモードになっとるww」
「もっと引っ付いて良いぞリコリス」
「まおう~グズッ」
「満面の笑みやな魔王」
「それでは私も♪」
〇父親の計画
父は私に泳ぎを教えるため、電車で私を遠くの海に連れていきました。父の指導は厳しく、泳ぎを知らない私を何度も海に放り込みました。私は必死で手足を動かし、その結果僅か一日で泳げるようになりました。でもあの日、なぜ父は私の分だけ帰りの切符を買い忘れていたのでしょうか?
「家族は仲良くですぅぅぅぅっ!」
「あ、リコリスちゃんのトラウマが…」
「申し訳ありませんリコリス様♬」
「では参ります☆」
〇そっくりな双子
双子の幼女が誘拐された。 双子はガムテープで目と口を塞がれた 犯罪者は 姉の耳元でヘリウム声になり囁いた 「抵抗したり逃げたら妹を殺すよ。」 さらに犯罪者は 妹の耳元でヘリウム声になり囁いた 「抵抗したり逃げたら姉を殺すよ。」
「ん~と?」
「双子は見分けにくいぞ?」
「身近な恐怖ですぅぅぅぅっ!!グズグズ」
「で、リコリスちゃんで1周やねんけど、コレは無理やね。今回は解散、皆自分に当てられた部屋でゆっくり寝てやぁ~」
「ま、魔王…今日は1つの布団で寝ましょうね!寒いですもんね!」
「そうだな。冷えるからな。一緒の布団で寝る様にしよう」
和室の客間にリコリスを連れて向かう魔王が振り向き、ミヤハルにサムズアップした。
どうやら満足な結果らしい。
「そう言うつもりじゃなかったんやけどなぁ」
「では私たちも寝よう。メイド達もゲストルームを好きに使ってくれ」
「「「「有難うございます☘♡♬☆」」」」
元気いっぱいの声で侍女たちは答える。
楽しそうで何よりだ。
「エント、うちも怖なったから一緒のベッドで寝ようかな?」
「眠るだけか?」
「眠るだけや、こんなに客おるのにそんな気分にはなれんわ」
「アッチはそうでもないみたいだがな……」
その夜、ミヤハル邸に女のすすり泣く声と小さな悲鳴が響いたという。
次の日、つやつやと顔色の良い魔王と目元を赤くしたリコリスの姿があったとか。
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