6 / 15
005 美祈 side
しおりを挟む「お母さーん、お風呂が空いたから入ってもいいよー」
私はお風呂から出た後に、夕ご飯のあとで大小のタッパーに分けて詰め替えたり、食器の洗い物をしたりと目まぐるしく動いて、今はノンビリとリビングのソファにお父さんと共に座って、テレビのドラマを熱心に視ているお母さんに向かってそう呼びかけた。
「ありがとうねミキ。でもドラマがいま最高潮に面白いところだから。あそうだわ、お父さん悪いけれど、お風呂へ先に入ってもらってもいいかしら?」
「(キュッ、キュッ)ん? ああもうこんな時間なのか。そういうことなら、俺はお風呂を先にいただいてはやく眠るとするかな」
明日の早朝にゴルフに出かける予定のお父さんは、それまで熱心に磨いていた道具類をキャディバッグに丁寧に片付けるとスクッと立ち上がっていた。
「! ダメッ! ダメよッ! お父さんはイヤなの。ねえねえお母さんが先にお風呂へ入ってよ」
「もう順番なんてどうでもいいことでしょ。ほらほら今は本当にいいところなんだから、ドラマの邪魔はしないでちょうだい、、、ってあらミキ、また髪の毛が濡れているじゃないの。濡れたままだと風邪をひくからしっかりと拭きなさいよね」
お母さんは私をチラリと見てそう言うとすぐにテレビへと向き直って没頭を開始していた。立ち上がって所在なく一人でオロオロとしているお父さんを私は見かねると、
「、、、わかった、もういいわ。脱衣室でもう一度髪を乾かしてくるから、お父さんは私が呼ぶまでここで座って少しだけまっていてくれる?」
「ああ、もちろんだよ(ホッ)。ミキ髪の毛をよく乾かすんだよ」
そのように言って私は脱衣室へと再び戻ると、髪にドライヤーを吹きかけた後はリビングにいるお父さんに声を掛けて、二階の自分の部屋に入室するとゲンナリとして反省をした。
「ハァ。私ってば何をそんなにカリカリとしてるんだろ。自分自身の制御が自分でできないって、ほんとにイヤになっちゃうな」
ドレッサーの前に移動して髪を再度しっかりとタオルで拭き取り終えると、私はベットの上で大の字になって寝ころんでしまった。いったいいつ頃からなのだろうか。私が男の人に異性を感じるようになってしまったのは。
お父さんとお風呂へ入った最後の記憶は4年前の小学2年生のときで、あのころは異性を感じなかったのは覚えている。お風呂の順番も気にすることなんてなかったんだよね。
「、、、私が悪いのよ、ゴメンなさい」
先ほどのことを思い起こして、この場にいないお父さんに謝ってしまっていた。あんなふうに言うつもりはなかったの。でも私の入ったすぐ後のお風呂に異性が入ってくるのだと思ってしまったら、感情が突然にむき出しになってしまっていた。そんな自分がとても腹立たしくもあった。
チカ、チカ、チカ。
スマホに気がついて手に取ってみると、着信が届いているのを確認した。私はすぐにLINAを開けてみた。
あメグだ。なになに、、、
“いまいるの?(* ̄(エ) ̄*)”
あー私ってばいままで、お風呂に入っていたから。
はい返信をポチポチと。
“ごめんねーお風呂に入ってたよ”
ピローン
送ったらすぐに既読がついて返信がすぐにやってきた。
“よかった。今日の昼休み、先生とミキのお話の結果はざんねんだった、それとミキの剣幕に黒田くんがびっくりしてたよ”
“せっかくにメグが考えてくれたトレード案だったけどザンネンね。このごろは心によゆーがぜんぜんなくて。メグも迷惑かけてゴメンネ”
“しかたがない。いま班の女子は小沼さんの問題だけでも大変。なのに石城のメンドーまでゆるすまじ、男子は女子に迷惑かけるなと言いたい。ぜったい黒田くんの監督不行き届、処刑。死”
“石城が私をガン無視続けてるのって、小沼さんに影響されちゃっているよね、あんなの二人も増殖したらとても困っちゃうよ”
“石城、いまや女子全員の共通の敵。滅。このままBプランでいく?”
Bプランというのは女子全員に頼んで石城に一切の無視をすること。ちなみにAプランは男子たちにも協力をしてもらって、クラス中で石城に無視をすること。ようは無視に無視で返すということだった。
“男子たちの、いまのところの賛同率は?”
“捗らない。正直にまだ1/5といったとこ。石城の岩盤層は意外と厚いかも”
“なら現状はこのままで。男子の賛同者が半分近くになったらそく決行で。女子なめてるとひどい目に遭うと思い知るがいいわ”
“らじゃ。裏工作は引き続き私にまかせて”
クフ、クフフフ。
私は心の内で石城を笑っていた。
見ていなさい石城、あんたが悔しがる顔に醜く歪むのはもうすぐそこよ。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
聖女戦士ピュアレディー
ピュア
大衆娯楽
近未来の日本!
汚染物質が突然変異でモンスター化し、人類に襲いかかる事件が多発していた。
そんな敵に立ち向かう為に開発されたピュアスーツ(スリングショット水着とほぼ同じ)を身にまとい、聖水(オシッコ)で戦う美女達がいた!
その名を聖女戦士 ピュアレディー‼︎
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話
赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる