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本編

学園生活、始まります! 08

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父上は机に肘を付き、体の前で手を組んで静かに語り始めた。

「我が家には代々、光属性を持つ子供が生まれる。属性は本人が持つ魔力の資質によって違うことは知っているな?」

「はい。本で学びました。それに、属性に遺伝はあまり関係ないと聞いています」

「理解が早くて助かる。つまり、だ。何かが原因で光属性を持った子供が必ず一人はアスカード家に生まれてくる。それを知った王国は伯爵位を贈与して我が家を国の管理下に縛り付けた。……今も変わらず」

「ええ、アスカード家だけではない、他の貴族も平民も第二の性や身分で自由を縛られている。それも国の思うがままに。

僕は今までに子供を連れて行かれた人達を何度も見てきました。中には喜んで送り出した人達もいました。でも、僕はそれが正しい事だとは思えません。子供達はみんな、辛そうな顔をしていましたから…。

もし……光属性を持った子供が貴族で、αやΩだと判明したら、その子はどうなるのですか……」

「……そこが問題だ。結論から言うと、国に生け捕りにされて教育を施され、魔術癒士として身を粉にして働かされる。国が用意した場所で寝食をするんだ。当然監視がついて逃げることさえ出来ない。一人では」

「っ……!そこから逃げ出したのが母だと言うのですか。そしてそれに協力をしたのは父、ルーカスだと…」

「あぁ、そうだ。今から三十年も前のことだ。国は公にせず暗部組織を動かして捜索を今も尚続けている。俺がこの話を知ったのは君が生まれたと連絡を受けた時だ。驚いたが、兄上はとても幸せそうな声で笑っていたからな。俺は心底ほっとしたよ。それでも国は構わずに兄上を探し続けている。……もしかすればメルの事も国に知られているかもしれない。いや、確実に知られているだろう」

そこまで話した父上は一度顔を上げ、僕を見る。

「メル、君が16歳になれば王立魔術高等学園に入学せざるを得なくなる。王国の直轄の学園だ。そこには王族も入学する予定になっている。君を狙って近づいてくるかもしれない。たとえ、君が光属性を持っていようといなくても、だ。メファニスに繋がる子どもであることに変わりはない。此処にいる間は出来る限り守るが、警備が手薄になる時もあるだろう。十分に注意してほしい」

「……わかりました。心しておきます」

「あぁ、頼んだ。それと兄上の動向がこちらでも分かればその都度伝えよう。心配せずとも君も知っての通り兄上もルーカスも強い。大丈夫だ。

今日はもう体を休めてくれ。考える事もあるだろう」

「はい、ありがとうございます。………では、お休みさない。父上」

僕はそう言って少しだけ笑う。父上が一番辛そうで、泣きそうだったから。

「あぁおやすみ、メル。良い夢を」

父上も笑ってそう言ってくれた。

その優しく微笑んだ顔に母さんの面影を感じて、ちょっとだけ泣きそうになった。
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