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第二部(アレク編)

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 オーキッド殿下の訪問があった翌日、お父様と話をする時間を設けてもらった。
 もちろん、ノヴァック公爵家への婚約打診についてだ。

「早速本題に入らせていただきますが、お父様、私、アレク様と結婚したいのです」

「…………えっ!!?」

「えっ、て……こちらがえっ、なんですけれど」

 めちゃくちゃあからさまにアレクにアピールしていたつもりなんですが。

「いやいや、いやいやいやちょっと待て! アニーはまだ6歳だぞ? それがアレキサンダー卿となんて」

「10歳差なんて大したことじゃないでしょう。お父様とカーラお母様だって8歳差ですわ」

「年齢差の話じゃない! お前の年齢を言っているんだ!」

「私が6歳でもアレク様はもう16歳ですから、ご婚約者を決められる前に言わなければと思って。横恋慕する訳にいきませんし」

「それは、まぁ……」

 お父様の勢いが削がれた。頭を抱えて『えぇ~』と言っているのが聞こえる。

「アレキサンダー卿は、どう言っているんだ?」

「アレク様にはまだ何も言っておりません」

「アレキサンダー卿の婚約者選定にアニーを含めて考えて欲しいとノヴァック公へ内々に伝えて欲しいということか?」

「それでもいいですし、アレク様へ先に想いを伝えるのが筋だと申されるならそういたします」

「えぇ~……」

 何かおかしなことを言っただろうか。
 昨日アレクがいた時に直接言った方が良かったのかしら。

「どうするのが一番スマートですか? お父様から公爵様へ伝えていただくか、私からアレク様に伝えるか」

「そもそも公爵家に侯爵家から婚約の打診なんてスマートからかけ離れているだろう」

「では私からアレク様にお伝えするのがベターですね」

「いやぁ、それでアレキサンダー卿が受けると言ったら私は何だか嫌なんだ。6歳だぞ。幼女だぞ……」

「今すぐ結婚しましょうと言うわけではありません。私が成人するまで待っていてくださいと申し上げるのですわ」

「公爵家の嫡男に12年待たせるって、どういう神経してるんだ……」

「じゃあどうすればいいんですか!」

「……少し考えさせてくれ……」

 お父様が疲れた様子で執務室から出て行った。離れに戻るのだろう。お母様とたくさん話し合って欲しい。お母様ならきっと私の味方をしてくれる、はず。

 でも確かに、公爵家の嫡男に結婚するのを12年待って欲しいと言うのは非常識ね。その頃アレクは28歳……ん? 別に遅くは無いわよね?
 とりあえず、お父様の考えがいつまとまるか分からないけれど、今度アレクに会った時には婚約者の有無と、結婚についてどう考えているか聞いてみましょう。
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