232 / 794
九州三強と中央への目-肥前王 源朝臣小佐々弾正大弼純正-
第三艦隊戦記 南へ東へ
しおりを挟む
九月四日 未三つ刻(1400) 長崎 第三艦隊旗艦 姉川 信秀准将
出撃命令だ。わが第三艦隊の使命は長崎より出港し、南下しつつ野母崎より東進して橘湾から早崎瀬戸をわたる。その後北上して塩田津の湊までいくのだ。入港した後は後藤殿の兵をのせ、もと来た航路を戻り、角力灘を北上する。
途中、必要があれば長崎や七ツ釜に寄港するが、極力寄港しない。できれば、塩田津の湊まで無寄港、そして次の佐世保(相神浦松浦の兵乗艦)のみ寄港して、唐津まで無寄港でいきたい。出港した後は兵を乗せる湊以外では寄港したくないのだ。
無駄であるし、時間をかけたくはない。天候の悪化や重病人など、特別な理由がない限りはそうするつもりだ。そして玄界灘に入る。唐津にて波多、伊万里、相神浦松浦殿の兵、そして唐津水軍を麾下に入れ津屋崎を目指す。
最終目的は上陸作戦を敢行する事だ。第一、第二艦隊に比べれば目的がはっきりしているから、計画も立てやすい。これから総員に伝達し、物資を搬入させて、出港は明日の朝になるであろう。
卯の三つ刻(0600)に出港する時は北風、横から風を受けそして順風になる。おおよそ8ノットから10ノット。野母崎の樺島あたりまでは一刻(2時間)前後でいくだろう。
しかしそこから島原半島と天草諸島の間の早崎瀬戸までは、4ノットから6ノット。5ノットとして二刻と四半刻(4.5時間)だ。そして北東に向かう。風は北西5ノットから7ノットで、深江城の東海上に到着予測が一刻半と四半刻(3.5時間)。
そこから塩田津の湊まで逆風で5ノットがせいぜいだろう。途中の高来郡の竹崎あたりに停泊せねばならぬかもしれぬ。内海は外洋にくらべて風がない事が多いからな。これは注意せねばならぬ。
が、後藤殿が陣触れを出されてからの兵の集まりを考えると、急がなくともよいであろう。あせらず竹崎で停泊し、翌朝(六日)出港し塩田津の湊まで向かおう。
・・・しかし、どうであろうか?おそらく航行距離はわが艦隊が一番長いのではないか?そうなれば到着は当然遅くなる。第一第二艦隊の宗・宇久水軍がわららより早く津屋崎周辺に到達したならば、殿はどう判断されるだろうか?
われらが連れていく陸上戦力ではなく、宗・宇久の兵を投入するのではないだろうか?
これはわが艦隊であろうが他の艦隊であろうが関係ない。出港する湊が同じなのだから、どの艦隊が塩田津の湊まで向かっても結果は同じだ。戦場に着くのが一番遅くなる可能性は高い。
それならば、なんとか竹崎で停泊せずに塩田津の湊までいけないだろうか。六日の早朝から乗せられるので、おそらくは巳の一つ刻(0900)くらいには出港できるだろう。風任せだ。
出撃命令だ。わが第三艦隊の使命は長崎より出港し、南下しつつ野母崎より東進して橘湾から早崎瀬戸をわたる。その後北上して塩田津の湊までいくのだ。入港した後は後藤殿の兵をのせ、もと来た航路を戻り、角力灘を北上する。
途中、必要があれば長崎や七ツ釜に寄港するが、極力寄港しない。できれば、塩田津の湊まで無寄港、そして次の佐世保(相神浦松浦の兵乗艦)のみ寄港して、唐津まで無寄港でいきたい。出港した後は兵を乗せる湊以外では寄港したくないのだ。
無駄であるし、時間をかけたくはない。天候の悪化や重病人など、特別な理由がない限りはそうするつもりだ。そして玄界灘に入る。唐津にて波多、伊万里、相神浦松浦殿の兵、そして唐津水軍を麾下に入れ津屋崎を目指す。
最終目的は上陸作戦を敢行する事だ。第一、第二艦隊に比べれば目的がはっきりしているから、計画も立てやすい。これから総員に伝達し、物資を搬入させて、出港は明日の朝になるであろう。
卯の三つ刻(0600)に出港する時は北風、横から風を受けそして順風になる。おおよそ8ノットから10ノット。野母崎の樺島あたりまでは一刻(2時間)前後でいくだろう。
しかしそこから島原半島と天草諸島の間の早崎瀬戸までは、4ノットから6ノット。5ノットとして二刻と四半刻(4.5時間)だ。そして北東に向かう。風は北西5ノットから7ノットで、深江城の東海上に到着予測が一刻半と四半刻(3.5時間)。
そこから塩田津の湊まで逆風で5ノットがせいぜいだろう。途中の高来郡の竹崎あたりに停泊せねばならぬかもしれぬ。内海は外洋にくらべて風がない事が多いからな。これは注意せねばならぬ。
が、後藤殿が陣触れを出されてからの兵の集まりを考えると、急がなくともよいであろう。あせらず竹崎で停泊し、翌朝(六日)出港し塩田津の湊まで向かおう。
・・・しかし、どうであろうか?おそらく航行距離はわが艦隊が一番長いのではないか?そうなれば到着は当然遅くなる。第一第二艦隊の宗・宇久水軍がわららより早く津屋崎周辺に到達したならば、殿はどう判断されるだろうか?
われらが連れていく陸上戦力ではなく、宗・宇久の兵を投入するのではないだろうか?
これはわが艦隊であろうが他の艦隊であろうが関係ない。出港する湊が同じなのだから、どの艦隊が塩田津の湊まで向かっても結果は同じだ。戦場に着くのが一番遅くなる可能性は高い。
それならば、なんとか竹崎で停泊せずに塩田津の湊までいけないだろうか。六日の早朝から乗せられるので、おそらくは巳の一つ刻(0900)くらいには出港できるだろう。風任せだ。
2
お気に入りに追加
157
あなたにおすすめの小説
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
『転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~』
姜維信繁
ファンタジー
佐賀藩より早く蒸気船に蒸気機関車、アームストロング砲。列強に勝つ!
人生100年時代の折り返し地点に来た企画営業部長の清水亨は、大きなプロジェクトをやり遂げて、久しぶりに長崎の実家に帰ってきた。
学生時代の仲間とどんちゃん騒ぎのあげく、急性アルコール中毒で死んでしまう。
しかし、目が覚めたら幕末の動乱期。龍馬や西郷や桂や高杉……と思いつつ。あまり幕末史でも知名度のない「薩長土肥」の『肥』のさらに隣の藩の大村藩のお話。
で、誰に転生したかと言うと、これまた誰も知らない、地元の人もおそらく知らない人の末裔として。
なーんにもしなければ、間違いなく幕末の動乱に巻き込まれ、戊辰戦争マッシグラ。それを回避して西洋列強にまけない国(藩)づくりに励む事になるのだが……。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト)
前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した
生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ
魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する
ということで努力していくことにしました
異世界国盗り物語 ~野望に燃えるエーリカは第六天魔皇になりて天下に武を布く~
ももちく
ファンタジー
天帝と教皇をトップに据えるテクロ大陸本土には4つの王国とその王国を護る4人の偉大なる魔法使いが存在した
創造主:Y.O.N.Nはこの世界のシステムの再構築を行おうとした
その過程において、テクロ大陸本土の西国にて冥皇が生まれる
冥皇の登場により、各国のパワーバランスが大きく崩れ、テクロ大陸は長い戦国時代へと入る
テクロ大陸が戦国時代に突入してから190年の月日が流れる
7つの聖痕のひとつである【暴食】を宿す剣王が若き戦士との戦いを経て、新しき世代に聖痕を譲り渡す
若き戦士は剣王の名を引き継ぎ、未だに終わりをしらない戦国乱世真っ只中のテクロ大陸へと殴り込みをかける
そこからさらに10年の月日が流れた
ホバート王国という島国のさらに辺境にあるオダーニの村から、ひとりの少女が世界に殴り込みをかけにいく
少女は|血濡れの女王《ブラッディ・エーリカ》の団を結成し、自分たちが世の中へ打って出る日を待ち続けていたのだ
その少女の名前はエーリカ=スミス
とある刀鍛冶の一人娘である
エーリカは分不相応と言われても仕方が無いほどのでっかい野望を抱いていた
エーリカの野望は『1国の主』となることであった
誰もが笑って暮らせる平和で豊かな国、そんな国を自分の手で興したいと望んでいた
エーリカは救国の士となるのか?
それとも国すら盗む大盗賊と呼ばれるようになるのか?
はたまた大帝国の祖となるのか?
エーリカは野望を成し遂げるその日まで、決して歩みを止めようとはしなかった……
『忘れられた公爵家』の令嬢がその美貌を存分に発揮した3ヶ月
りょう。
ファンタジー
貴族達の中で『忘れられた公爵家』と言われるハイトランデ公爵家の娘セスティーナは、とんでもない美貌の持ち主だった。
1話だいたい1500字くらいを想定してます。
1話ごとにスポットが当たる場面が変わります。
更新は不定期。
完成後に完全修正した内容を小説家になろうに投稿予定です。
恋愛とファンタジーの中間のような話です。
主人公ががっつり恋愛をする話ではありませんのでご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる