上 下
43 / 794
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

製塩事業部、倒産?

しおりを挟む
忠右衛門の声に耳を疑った。

だって、塩だよ塩。原価ゼロの。0だよ。
そして専売商品で貴重で、瀬戸内海にはいくつも!塩で財をなした豪商がいたはず。

そして何より、この当時の製塩法より生産量も人件費も、すべてにおいて優れているはずなんだ。コストがかかってないから儲かるはず。

なのに、なんで・・・?

「どういう事だ。くわしく申せ。」
俺は納得いなかなった。だからこそ、全てを知りたかった。

「は、まずは建屋をはじめ、塩づくりのからくりに、二百貫ほど使いました。ただしこれは、じゃぼんや鉛筆などと同じ様に、もともと城にあった蓄財にて支払いました。それから、そのふたつで十分に利益が出ておりますので、全体で赤字ではありません。」

「ふむ、それで?」

「はい、ただ大量に塩を作れるとはいえ、煮出すための薪代がかかりすぎるのです・・・。」

燃料費か!!

「詳しい数字を申せ。」

「は、まずは保存場所が足りなくなったため、途中で生産は止めました。計算では一日に九百五十二升(1.8トン)の塩を作れます。ひと月三十日で計算すると、二百八十五石(二万八千五百升/54トン)の塩ができます。教えていただいた通り、塩一升が十五文で計算すると、全部売れたとして四百二十八貫の売上になります。」

なるほど。確か瀬戸内海の赤穂の塩の産地で・・・。
江戸時代で400ヘクタールで94,500トン/年間だったっていう文献があったな。
と言う事は、1ヘクタール(10反)で年間19トン。と言う事は月に1トン強。

あれ!一日の生産量が年間生産量オーバーしとる!まじか!
これだけでウハウハやん!!
またこれ道喜にちくちくぐちぐち言われるぞ。

ちょっと待って。塩30グラムとるのに1リットルの海水が必要だから、一升、つまり1,890(1.8キロ)グラムとるのに63リットル必要だ。

1.8トンと言う事は、63キロリットル!
浴槽ためて1回分が200リットルだから、63×5=315杯分。

12時間働いて、1時間に26杯分・・・うーん100人でやれば不可能ではないか。
ただ、ブラックだ。

「忠右衛門、それは何人で、どの程度の時間やる計算で、この量?」

「はい、百人で日の出から日の入りまで目一杯やってこの量です。」

うん、減らそう。

それで問題は燃料費。

「炭代はいくらかかったのだ?」

「はい、炭をくべ、薪をくべ、どれが一番安上がりか試しましたが、どれも出来る量はかわりませんでした。」

「一日に必要な木炭が七十八荷(2,340キロ)でございます。炭が一荷(15キロ×2)二百文でございますれば、一貫五千六百文、月で四百六十四貫。それに人夫代を入れれば、完全な赤字にございます!申し訳ありません!」

「謝らずともよい!そちの責ではないわ。」

おかしい、何が違う?
なんでこの時代にないやり方で、効率よくやっているのに損になる?

「そればかりか、大量の灰の処理に困る始末にて、余計な手間賃がかかり申した。」

・・・・・!!!
「灰だ!」
「灰でござる!」

「木灰一斗つくるのに、木炭十七荷(510キロ)が必要で、塩一日で木灰四斗(400合)ができる!」

「木灰を作るための炭の費用は石けんに含まれておるから・・・実質ゼロやん!」

「そうですゼロです!ん?いや、殿、ゼロとはなんですかな?」

「ん?聞き間違い、聞き間違い!とにかく金がかからないって事だよ!」

職人の給料をもっと上げても十分だ。
良かった~。まじで良かった~。石けんや捕鯨には劣るけど、儲かるな!

そこに平戸道喜と一緒に弥市がやってきた。

「ああ、道喜か。ちなみに今塩は一升いかほどか?」

そうですなあ、と考える様にして、

「肥前の様な海がある国では十五文から二十文。京・大阪では二十五文から三十文。甲斐信濃の様な山国では常に三十五文から五十文にはなりますか。なんにしても塩ほど儲かる品物はありませんよ。」

「仕入れはタダみたいな物ですし、灰は売れるし、腐る物でもないから保管が効いて、高い時に売ればそりゃあ儲かります。なんですか?塩がどうかしたんですか?」

いえ、何でもありません。はい、ありません。ごめんなさい、失礼しました。
商いの事は、全部前もって相談しよう。そうしよう。

塩一俵が米五俵、あれ、本当だね。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界で検索しながら無双する!!

なかの
ファンタジー
異世界に転移した僕がスマホを見つめると、そこには『電波状況最高』の表示!つまり、ちょっと前の表現だと『バリ3』だった。恐る恐る検索してみると、ちゃんと検索できた。ちなみに『異世界』は『人が世界を分類する場合において、自分たちが所属する世界の外側。』のことらしい。うん、間違いなくここ異世界!なぜならさっそくエルフさん達が歩いてる! しかも、充電の心配はいらなかった。僕は、とある理由で最新式の手回しラジオを持っていたのだ。これはスマホも充電できるスグレモノ!手回し充電5分で待ち受け30分できる!僕は、この手回しラジオを今日もくるくる回し続けて無双する!!

『転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~』

姜維信繁
ファンタジー
佐賀藩より早く蒸気船に蒸気機関車、アームストロング砲。列強に勝つ! 人生100年時代の折り返し地点に来た企画営業部長の清水亨は、大きなプロジェクトをやり遂げて、久しぶりに長崎の実家に帰ってきた。 学生時代の仲間とどんちゃん騒ぎのあげく、急性アルコール中毒で死んでしまう。 しかし、目が覚めたら幕末の動乱期。龍馬や西郷や桂や高杉……と思いつつ。あまり幕末史でも知名度のない「薩長土肥」の『肥』のさらに隣の藩の大村藩のお話。 で、誰に転生したかと言うと、これまた誰も知らない、地元の人もおそらく知らない人の末裔として。 なーんにもしなければ、間違いなく幕末の動乱に巻き込まれ、戊辰戦争マッシグラ。それを回避して西洋列強にまけない国(藩)づくりに励む事になるのだが……。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト) 前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した 生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ 魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する ということで努力していくことにしました

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界国盗り物語 ~野望に燃えるエーリカは第六天魔皇になりて天下に武を布く~

ももちく
ファンタジー
天帝と教皇をトップに据えるテクロ大陸本土には4つの王国とその王国を護る4人の偉大なる魔法使いが存在した 創造主:Y.O.N.Nはこの世界のシステムの再構築を行おうとした その過程において、テクロ大陸本土の西国にて冥皇が生まれる 冥皇の登場により、各国のパワーバランスが大きく崩れ、テクロ大陸は長い戦国時代へと入る テクロ大陸が戦国時代に突入してから190年の月日が流れる 7つの聖痕のひとつである【暴食】を宿す剣王が若き戦士との戦いを経て、新しき世代に聖痕を譲り渡す 若き戦士は剣王の名を引き継ぎ、未だに終わりをしらない戦国乱世真っ只中のテクロ大陸へと殴り込みをかける そこからさらに10年の月日が流れた ホバート王国という島国のさらに辺境にあるオダーニの村から、ひとりの少女が世界に殴り込みをかけにいく 少女は|血濡れの女王《ブラッディ・エーリカ》の団を結成し、自分たちが世の中へ打って出る日を待ち続けていたのだ その少女の名前はエーリカ=スミス とある刀鍛冶の一人娘である エーリカは分不相応と言われても仕方が無いほどのでっかい野望を抱いていた エーリカの野望は『1国の主』となることであった 誰もが笑って暮らせる平和で豊かな国、そんな国を自分の手で興したいと望んでいた エーリカは救国の士となるのか? それとも国すら盗む大盗賊と呼ばれるようになるのか? はたまた大帝国の祖となるのか? エーリカは野望を成し遂げるその日まで、決して歩みを止めようとはしなかった……

処理中です...