12 / 358
第10話 『いきなりの佐賀藩越え。試供品と大プレゼン』(1837/2/7)
しおりを挟む
天保八年 一月三日(1837/2/7) 太田和村 (次郎目線)
材料としては灰と油。
そして油の種類によっては固まらず、軟らかい(液体)ものしか出来ないという事で、海藻の灰もしくは消石灰を加えて固形化する。
海藻は海沿いといえど有限だ。
大量に作るとなればすぐに枯渇するだろう。ただし採取に必要なのは人件費のみ。そして次の消石灰だが、これは七ツ釜鍾乳洞。
たしか史実では昭和何年だったか……そう! 戦前だ。
1928年に七ツ釜尋常小学校の教師が、数回の調査を行って発見された。七ツ釜と命名されているけど、あるのは中浦村。
これ、前世でも疑問だったんだよね。なんで中浦にあるのに七ツ釜鍾乳洞なんだ? って。
まあ、その時の命名理由はなんであれ、石灰岩の塊だ。浜辺の貝殻を採集し、また、貝を食べた後の殻なんかはゴミだ。回収して材料にする。
海藻にしても、貝殻も鍾乳石も、原価はゼロ。人件費のみだ。
ああ、それからオカヒジキって砂浜に生える植物の灰もいいらしい。これは栽培できるかな? 栽培というか自生しているようだ。
見たことあるぞ。
どういう石けんを作るかで、材料配分が変わるって話だけど、その辺はまた信之介に丸投げしよう。
……ただ、問題は人件費なんだよな。
たぶん、これが一番の問題。大量に作るとなれば、機械化が進んでいない以上、大量の人員が必要になる。なんせ全てが人力なのだ。
蒸気機関……いやいや、何年先の話だよって事だ。
新年の挨拶とプレゼンの前に、人件費を上乗せしていくらか? という課題をクリアしよう。
ええっと、全国販売が可能だとして、月に製造しなきゃいけない個数が……1,032,000個? 気の遠くなるような数字だが、これ材料どれぐらい要るんだ?
・油22,000g
・水10,000ml
・灰汁3000g
これで300個だから、割って、この3,440倍の量がいる。
油22,000gって22kgだから、その3,440倍で75,680kg、75トン! これが月に必要だ。
100人が働くとして、1人あたり756.8kg。どうだ? 一升が1.8ℓで油は2kgだから18ℓで20kgだ。一斗樽40個分? という事は4石樽で1人だ。
醤油製造の樽が小さいもので20石樽だから、1人で4石樽なら、作業量的にはなんとかなりそうだな。
複雑な作業ではないから、職人じゃなくてもいい。
下男の年給が3両だから月に0.25両、つまり1,688文。100人で25両だ。25両を1,032,000個で割ると、人件費は@一文以下だ。
よし、これなら生産量や作業内容で人がもっと必要になっても、仮に2~300人になっても石けん一個あたりの人件費は一文以下だ。
しかし、製造はこれでいいが、原料となる海藻や貝殻の採取、そして鍾乳石(石灰石)の採掘に必要な人員と採掘量がある。
一ヶ月に必要な個数を製造するための、原料が確保できるか、採掘できるか? という問題がある。
なので、やっぱり最初は多少油の値は張っても、ツバキ油などの高級な油を使い、売価を上げて高価格帯から攻めよう。
多利薄売だ。
ちなみに、江戸時代は参勤交代があって二年のうち一年を江戸でくらし、移動期間を除いた数ヶ月を国許(領地)で過ごすというシステムが一般的だ。
しかし例外があり、大村藩を含めた佐賀・福岡・平戸・福江藩は二年一勤で、十一月の参府(江戸着)に翌二月の御暇(江戸出発)で、江戸にいるのは三ヶ月というものだ。
移動に一ヶ月半かかるとして、実質大村にいるのは一年半だ。
その代わり長崎警備の負担は重くのしかかっている。
今の藩主大村純顕は父親の隠居とともに、家督を継ぐために大村に帰ってきたのだ。その代わりに正室は江戸にいる。
来年の十一月に江戸参府となるから、九月には出発するだろう。一年半の猶予があるから、それまでに何らかの成果をださないといけないな。江戸にいってしまえば、自由が利かない。
■玖島城内 別室
「新年、あけましておめでとうございます。幾久しく……」
「堅い挨拶はよい。本年もよろしく頼むぞ」
「ははっ」
「……して、いかがじゃ?」
藩主様、いやもう面倒くさいから殿でいいや。殿は少し笑って俺に聞いてきた。横に控えている信之介は、恐れ入って平伏したままだ。
「信之介と申したか。そちも良い。面をあげよ。直答を許す」
「ははっ」
俺は殿に新しい産物としての『石けん』をプレゼンして、価格の設定を間違えず、販売層を確保できれば、まずは年間五萬両の資金を生み出す事ができると説明した。
厳密に言うと、石けんは既に存在するので新しい産物ではないが、化粧品、そして衛生用品としての新商品を意味している。
「石けん、とな?」
「ははっ。まずはこれをご覧くださいませ」
そう言っておれは箱に入れ、綺麗に和紙に包んだ三個入りの石けんを見せた。お里のアイデアを取り入れて、クロモジ・樟脳・ミカン(柑橘系)の三箱だ。
これは色々試して種類を増やして、販売量によって生産量を変えようと思う。
殿はその箱、まずはクロモジの箱をあける。
「おお……クロモジ、良い香りじゃ。……なんじゃ、これはシャボンではないか」
「は。ただしそれはわが藩が独自に作った『石けん』として売りだすのです。今までのしゃぼんとは違い、より肌にやさしく、香しく、体を綺麗に保ちます」
「うむ、おおこれも良い香りじゃ、おおこれも……して、いくらで売るのだ?」
殿は残りの樟脳とミカンも開けて香りを楽しんでいる。
「は。これ一つで、おおよそ一月使えます。例えば、殿は確か酒をたしなまれますな」
「うむ」
「では、月にいかほどお飲みになりますか」
「そうだな、日に一合ほどであるから、月に三升ほどであろうか」
「では、酒一升が百六十文にございますから、月に四百八十文が酒代になりまする。それを、余分に奥方様が飲んだとお考えくださいませ。これを石けん一つの値とするのです。そばですと一杯十六文、毎日そばを食べていると考えれば、皆々様がお買いいただくのに、さほど苦にはならぬかと存じます」
俺は最初、原価30文と考えて60文で売った計算をしていたが、下級武士や農民はともかく、30石取り以上の武家なら、そこまで高くないのでは? と考えたのだ。
「左様か、確かにそれほどの値であれば、さほど苦にはならぬな。それにしゃぼんは使った事はあるが、祝いの席や謁見、重し行事の時のみであったからの」
450文で売って、元の原価30文を50文、いや100文にしても350文の利益がある。先々の人件費や輸送費を考えれば、これくらいは見ておいた方がいい。
それでも、月に1,032,000個。
これは原料や諸々の条件が満たされて、想定の人数が想定の個数を買った場合の利益だけど、月に53,511両。年に642,133両の利益になる。
まじか。タラレバだけど、これだけで佐賀藩抜くぞ。
次回 第11話 『まずは太田和村だけでの先行製造と、リスク分散で他の産業も考える』(1837/3/21)
材料としては灰と油。
そして油の種類によっては固まらず、軟らかい(液体)ものしか出来ないという事で、海藻の灰もしくは消石灰を加えて固形化する。
海藻は海沿いといえど有限だ。
大量に作るとなればすぐに枯渇するだろう。ただし採取に必要なのは人件費のみ。そして次の消石灰だが、これは七ツ釜鍾乳洞。
たしか史実では昭和何年だったか……そう! 戦前だ。
1928年に七ツ釜尋常小学校の教師が、数回の調査を行って発見された。七ツ釜と命名されているけど、あるのは中浦村。
これ、前世でも疑問だったんだよね。なんで中浦にあるのに七ツ釜鍾乳洞なんだ? って。
まあ、その時の命名理由はなんであれ、石灰岩の塊だ。浜辺の貝殻を採集し、また、貝を食べた後の殻なんかはゴミだ。回収して材料にする。
海藻にしても、貝殻も鍾乳石も、原価はゼロ。人件費のみだ。
ああ、それからオカヒジキって砂浜に生える植物の灰もいいらしい。これは栽培できるかな? 栽培というか自生しているようだ。
見たことあるぞ。
どういう石けんを作るかで、材料配分が変わるって話だけど、その辺はまた信之介に丸投げしよう。
……ただ、問題は人件費なんだよな。
たぶん、これが一番の問題。大量に作るとなれば、機械化が進んでいない以上、大量の人員が必要になる。なんせ全てが人力なのだ。
蒸気機関……いやいや、何年先の話だよって事だ。
新年の挨拶とプレゼンの前に、人件費を上乗せしていくらか? という課題をクリアしよう。
ええっと、全国販売が可能だとして、月に製造しなきゃいけない個数が……1,032,000個? 気の遠くなるような数字だが、これ材料どれぐらい要るんだ?
・油22,000g
・水10,000ml
・灰汁3000g
これで300個だから、割って、この3,440倍の量がいる。
油22,000gって22kgだから、その3,440倍で75,680kg、75トン! これが月に必要だ。
100人が働くとして、1人あたり756.8kg。どうだ? 一升が1.8ℓで油は2kgだから18ℓで20kgだ。一斗樽40個分? という事は4石樽で1人だ。
醤油製造の樽が小さいもので20石樽だから、1人で4石樽なら、作業量的にはなんとかなりそうだな。
複雑な作業ではないから、職人じゃなくてもいい。
下男の年給が3両だから月に0.25両、つまり1,688文。100人で25両だ。25両を1,032,000個で割ると、人件費は@一文以下だ。
よし、これなら生産量や作業内容で人がもっと必要になっても、仮に2~300人になっても石けん一個あたりの人件費は一文以下だ。
しかし、製造はこれでいいが、原料となる海藻や貝殻の採取、そして鍾乳石(石灰石)の採掘に必要な人員と採掘量がある。
一ヶ月に必要な個数を製造するための、原料が確保できるか、採掘できるか? という問題がある。
なので、やっぱり最初は多少油の値は張っても、ツバキ油などの高級な油を使い、売価を上げて高価格帯から攻めよう。
多利薄売だ。
ちなみに、江戸時代は参勤交代があって二年のうち一年を江戸でくらし、移動期間を除いた数ヶ月を国許(領地)で過ごすというシステムが一般的だ。
しかし例外があり、大村藩を含めた佐賀・福岡・平戸・福江藩は二年一勤で、十一月の参府(江戸着)に翌二月の御暇(江戸出発)で、江戸にいるのは三ヶ月というものだ。
移動に一ヶ月半かかるとして、実質大村にいるのは一年半だ。
その代わり長崎警備の負担は重くのしかかっている。
今の藩主大村純顕は父親の隠居とともに、家督を継ぐために大村に帰ってきたのだ。その代わりに正室は江戸にいる。
来年の十一月に江戸参府となるから、九月には出発するだろう。一年半の猶予があるから、それまでに何らかの成果をださないといけないな。江戸にいってしまえば、自由が利かない。
■玖島城内 別室
「新年、あけましておめでとうございます。幾久しく……」
「堅い挨拶はよい。本年もよろしく頼むぞ」
「ははっ」
「……して、いかがじゃ?」
藩主様、いやもう面倒くさいから殿でいいや。殿は少し笑って俺に聞いてきた。横に控えている信之介は、恐れ入って平伏したままだ。
「信之介と申したか。そちも良い。面をあげよ。直答を許す」
「ははっ」
俺は殿に新しい産物としての『石けん』をプレゼンして、価格の設定を間違えず、販売層を確保できれば、まずは年間五萬両の資金を生み出す事ができると説明した。
厳密に言うと、石けんは既に存在するので新しい産物ではないが、化粧品、そして衛生用品としての新商品を意味している。
「石けん、とな?」
「ははっ。まずはこれをご覧くださいませ」
そう言っておれは箱に入れ、綺麗に和紙に包んだ三個入りの石けんを見せた。お里のアイデアを取り入れて、クロモジ・樟脳・ミカン(柑橘系)の三箱だ。
これは色々試して種類を増やして、販売量によって生産量を変えようと思う。
殿はその箱、まずはクロモジの箱をあける。
「おお……クロモジ、良い香りじゃ。……なんじゃ、これはシャボンではないか」
「は。ただしそれはわが藩が独自に作った『石けん』として売りだすのです。今までのしゃぼんとは違い、より肌にやさしく、香しく、体を綺麗に保ちます」
「うむ、おおこれも良い香りじゃ、おおこれも……して、いくらで売るのだ?」
殿は残りの樟脳とミカンも開けて香りを楽しんでいる。
「は。これ一つで、おおよそ一月使えます。例えば、殿は確か酒をたしなまれますな」
「うむ」
「では、月にいかほどお飲みになりますか」
「そうだな、日に一合ほどであるから、月に三升ほどであろうか」
「では、酒一升が百六十文にございますから、月に四百八十文が酒代になりまする。それを、余分に奥方様が飲んだとお考えくださいませ。これを石けん一つの値とするのです。そばですと一杯十六文、毎日そばを食べていると考えれば、皆々様がお買いいただくのに、さほど苦にはならぬかと存じます」
俺は最初、原価30文と考えて60文で売った計算をしていたが、下級武士や農民はともかく、30石取り以上の武家なら、そこまで高くないのでは? と考えたのだ。
「左様か、確かにそれほどの値であれば、さほど苦にはならぬな。それにしゃぼんは使った事はあるが、祝いの席や謁見、重し行事の時のみであったからの」
450文で売って、元の原価30文を50文、いや100文にしても350文の利益がある。先々の人件費や輸送費を考えれば、これくらいは見ておいた方がいい。
それでも、月に1,032,000個。
これは原料や諸々の条件が満たされて、想定の人数が想定の個数を買った場合の利益だけど、月に53,511両。年に642,133両の利益になる。
まじか。タラレバだけど、これだけで佐賀藩抜くぞ。
次回 第11話 『まずは太田和村だけでの先行製造と、リスク分散で他の産業も考える』(1837/3/21)
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
日本が日露戦争後大陸利権を売却していたら? ~ノートが繋ぐ歴史改変~
うみ
SF
ロシアと戦争がはじまる。
突如、現代日本の少年のノートにこのような落書きが成された。少年はいたずらと思いつつ、ノートに冗談で返信を書き込むと、また相手から書き込みが成される。
なんとノートに書き込んだ人物は日露戦争中だということだったのだ!
ずっと冗談と思っている少年は、日露戦争の経緯を書き込んだ結果、相手から今後の日本について助言を求められる。こうして少年による思わぬ歴史改変がはじまったのだった。
※地名、話し方など全て現代基準で記載しています。違和感があることと思いますが、なるべく分かりやすくをテーマとしているため、ご了承ください。
※この小説はなろうとカクヨムへも投稿しております。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
【完結】ゲーム転生、死んだ彼女がそこにいた〜死亡フラグから救えるのは俺しかいない〜
たけのこ
ファンタジー
恋人だったミナエが死んでしまった。葬式から部屋に戻ると、俺はすぐにシミュレーションRPG「ハッピーロード」の電源を入れた。このゲーム、なぜかヒロインのローラ姫が絶対に死ぬストーリーになっている。世界中のゲーマーがローラ姫の死なない道を見つけようとしているが、未だそれを達成したものはいない。そんなゲームに、気がつけば俺は転生していた。しかも、生まれ変わった俺の姿は、盗賊団の下っ端ゴブリンだった。俺は、ゲームの運命に抗いながら、なんとかこの世界で生き延び、死の運命にあるローラ姫を救おうとする。
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる