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第5章 勇気
第21話 最初の犠牲者
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★◇◆◇◆◇◆◇
「カイエン様。私はいつでも、スパイス帝国のために最善を尽して行動してきたと自負しております」
強い意志のこもった瞳で、クレソンはカイエンを見据えた。
普段にはない珍しい言動だったらしくカイエンの目は泳いだが、すぐにクレソンを睨みつけ、声を荒らげた。
「ふざけるな! なにがスパイス帝国のためだ! それならば、一刻も早く当初の作戦を遂行すべきだろうが! ヌフ=ブラゾン王国がパン王国へ宣戦布告し、世界戦争が勃発する。その始まりを盛大に宣言させるのだ!」
「……それはできません。この国は、すでに中立国であると先ほど宣言されました。スパイス帝国がこの国を手先として使うことは、もうできないのです」
「それなら、この国も我々の敵国ということだな。今すぐスパイス帝国の軍勢を……」
「なりません。ここは中立国だと……いえ、わたくしはもう何も言いますまい。カイエン様、あなたは一度スパイス帝国へ戻り、頭を冷やしたほうがよろしいかと」
「クレソン、貴様……っ!」
カイエンは、クレソンの冷静な正論が癪に触ったのか、腰に差していた剣を抜いた。
そして、クレソンの胸元に切先を向けた。
「お前は、竜の王とやらをおれの味方にすると誓ったな。そのために協力すると約束したはずだ。伝説の剣に選ばれし者たちの始末は任せてほしい……そう言ったのはお前だろう?」
「……ええ、確かにそう申し上げました。ですが、それは中立国を戦争に巻き込む理由にはなりません」
「おれに歯向かうなっ! この役立たずがっ!」
カイエンが剣を振り回し、風を切る音が謁見の間に響いた。
玉座の近くにいたフィオが素早く動いて、グリシーヌ国王を背中で庇うようにして立った。
わわ、ど、どうしよう……
ターメリックは、ただオロオロするだけだった。
まだまだ遠い話だと思っていたカイエンとの対決が目の前に迫り、ようやく自分の置かれた状況や責任の重さに気づけた。
しかし、気づけただけであって、自分が何をしたらいいのかはわからない。
そんなターメリックの後ろから、ずいっと前に出た人物がいる。
「剣をお納めください、カイエン皇帝。ここはヌフ=ブラゾン王国の謁見の間、グリシーヌ国王様の御前です。そして、パン王国の第3王女の御前でもあります。これ以上の無礼は許しません」
凛としたよく通る声とともに、前に出たコーヒーミルがカイエンを見据えていた。
こういうときのコーヒーミルさん、頼りになるなぁ。
ターメリックは、コーヒーミルの声に動きを止めたカイエンを、固唾を呑んで見つめていた。
これで事態が少しは収まってくれればと、だれもが思っていた。
しかし……
残念ながら、火に油を注いだだけであった。
「うるさいっ!! そんなことはもう関係ないっ! ここにいる全員を殺してやるっ! 殺してやるっ!!」
カイエンは髪の毛を逆立て、剣を構えなおした。
そこに見えたのは、見覚えのある黒い影……
あれは、竜の王イゾリータの毒気……!
ターメリックは息を呑んだ。
クリスタン教の聖地であるクリスタニアで、神の使いカメリアが教えてくれた「竜の王イゾリータの意志を持つ空気」である毒気……
それは今まで、孤独に耐えている物体に感染し、その影を使って「伝説の剣に選ばれし者」を襲わせてきた。
しかし、目の前のカイエンは、自身が「伝説の剣に選ばれし者」を襲おうとしている。
……いや、違う。
そんなこと、関係ない。
もう竜の王イゾリータには、孤独かどうかなんて関係ないんだ。
目の前の事象を踏まえた、ターメリックの拙い仮説……
それを裏付けるように、カイエンは「伝説の剣」とは無関係であるクレソンに切先を向けている。
ふと隣を見れば、クィントゥムが腕組みをして考え込んでいた。
クリスタン神話のことなら、だれよりも詳しいクィントゥムだが、そんな彼にもこの現象は謎であるらしい。
そうか、クィントゥム君でもわからないんだ。
それじゃあ、ぼくがうんうん唸ったって仕方ないね。
……って、そんなこと考えてる場合じゃない!
早くなんとかしないと!
ターメリックが腰に差した剣に手をかけた、そのとき。
「逃げろっ! みんな、早く逃げるんだっ!」
ターメリックよりも早く、前に出た者がいる。
「クレソンっ! お前も早く逃げろっ! あんな奴の言うことなんて聞くなっ!」
ノウェムが、ターメリックの黄色い髪を揺らして素早く走り出た。
手にはもちろん何も持ってはおらず、丸腰の状態である。
それでもノウェムは、クレソンをこちらに逃がそうと必死に駆け出していた。
ノウェム君、どうしてそこまで……
と、ターメリックは思ったが、今はそれどころではないと思い直す。
きっと、ぼくたちが地下牢にいる間に何かあったんだ。
それは、後で教えてもらえばいい。
とにかく、この状態を何とかしないと!
ターメリックも、ノウェムに負けじと自慢の足で飛び出した。
しかし。
「邪魔をするなっ!!」
カイエンは、目の前に現れたノウェムに向かって、剣を突き出していた。
◆◇◆◇◆ ◆◇
……なんの策もないのに、飛び出しちまった。
でも、どうしても助けたかったんだ。
オレを「仲間」だと言ってくれた、クレソンを。
でも……
オレが死んじまったら、意味ないよなぁ。
みんな、ごめん……!
ノウェムは固く目を閉じた。
だれかが助けてくれると期待していたわけではないけれど、もしかしたらと思っていた音は聞こえなかった。
例えば、クィントゥムの杖についた鈴の音。
レードル姫の魔法の呪文、コーヒーミルが駆け出す軽やかな足音。
ダメだ、だれも間に合わない……
ノウェムが覚悟を決めた、そのとき。
凄まじい力が脇腹にかかり、耐えきれなくなったノウェムは真横に突き飛ばされていた。
「……」
あまりの衝撃に、声も出ない。
倒れ込んだ先の絨毯と腕が擦れて、ヒリヒリする。
それでもノウェムは、力を振り絞って身体を起こしていた。
いったい何が起きたのか、この目で確かめたかったのだ。
謁見の間は、静寂に満ちていた。
先ほどまでノウェムがいた場所には、クレソンが立っていた。
その身体から、剣の切先が飛び出ている。
真っ赤な鮮血が切先を伝い、絨毯に滴り落ちていくのが見えた。
……カイエンの剣が、ノウェムを庇ったクレソンを貫いたのである。
「……」
あまりのことに声も出ないノウェムの前で、カイエンは表情ひとつ変えずに剣を引き抜いた。
仰向けに倒れたクレソンの下、絨毯に赤黒い染みが広がっていく。
それを冷たく見下ろしながら、カイエンは薄笑いを浮かべている。
「クレソン……お前はいったい、何がしたいんだ?」
何の感情も読み取れない瞳は暗く濁って、仄暗い炎が揺らめいている。
ノウェムの背筋が凍った。
こいつは、もう……
もう、人間じゃないっ!!
「……か、カイエン、様……先ほども、申し上げましたが……」
息をするのもやっとであろうクレソンが、左肘をついて上体を起こし、カイエンを見据えた。
その瞳には光が宿っている。
「あなたは……一度、スパイス帝国へ戻り……頭を冷やしたほうが……よろしい、かと……」
クレソンは、すでに人ではないものと化したカイエンの左脇腹を指さした。
……そこから、血が滴り落ちていくのが見えた。
カイエンの服が、じわじわと真っ赤に染まっていく。
指をさしたクレソンの右手、その手元には短剣が転がっていた。
べったりと血糊のついた短剣である。
あ……っ!
ノウェムは、ようやく理解した。
クレソンが自分を突き飛ばし、自らが犠牲になりながらもカイエンに一矢報いたということを。
つづく
「カイエン様。私はいつでも、スパイス帝国のために最善を尽して行動してきたと自負しております」
強い意志のこもった瞳で、クレソンはカイエンを見据えた。
普段にはない珍しい言動だったらしくカイエンの目は泳いだが、すぐにクレソンを睨みつけ、声を荒らげた。
「ふざけるな! なにがスパイス帝国のためだ! それならば、一刻も早く当初の作戦を遂行すべきだろうが! ヌフ=ブラゾン王国がパン王国へ宣戦布告し、世界戦争が勃発する。その始まりを盛大に宣言させるのだ!」
「……それはできません。この国は、すでに中立国であると先ほど宣言されました。スパイス帝国がこの国を手先として使うことは、もうできないのです」
「それなら、この国も我々の敵国ということだな。今すぐスパイス帝国の軍勢を……」
「なりません。ここは中立国だと……いえ、わたくしはもう何も言いますまい。カイエン様、あなたは一度スパイス帝国へ戻り、頭を冷やしたほうがよろしいかと」
「クレソン、貴様……っ!」
カイエンは、クレソンの冷静な正論が癪に触ったのか、腰に差していた剣を抜いた。
そして、クレソンの胸元に切先を向けた。
「お前は、竜の王とやらをおれの味方にすると誓ったな。そのために協力すると約束したはずだ。伝説の剣に選ばれし者たちの始末は任せてほしい……そう言ったのはお前だろう?」
「……ええ、確かにそう申し上げました。ですが、それは中立国を戦争に巻き込む理由にはなりません」
「おれに歯向かうなっ! この役立たずがっ!」
カイエンが剣を振り回し、風を切る音が謁見の間に響いた。
玉座の近くにいたフィオが素早く動いて、グリシーヌ国王を背中で庇うようにして立った。
わわ、ど、どうしよう……
ターメリックは、ただオロオロするだけだった。
まだまだ遠い話だと思っていたカイエンとの対決が目の前に迫り、ようやく自分の置かれた状況や責任の重さに気づけた。
しかし、気づけただけであって、自分が何をしたらいいのかはわからない。
そんなターメリックの後ろから、ずいっと前に出た人物がいる。
「剣をお納めください、カイエン皇帝。ここはヌフ=ブラゾン王国の謁見の間、グリシーヌ国王様の御前です。そして、パン王国の第3王女の御前でもあります。これ以上の無礼は許しません」
凛としたよく通る声とともに、前に出たコーヒーミルがカイエンを見据えていた。
こういうときのコーヒーミルさん、頼りになるなぁ。
ターメリックは、コーヒーミルの声に動きを止めたカイエンを、固唾を呑んで見つめていた。
これで事態が少しは収まってくれればと、だれもが思っていた。
しかし……
残念ながら、火に油を注いだだけであった。
「うるさいっ!! そんなことはもう関係ないっ! ここにいる全員を殺してやるっ! 殺してやるっ!!」
カイエンは髪の毛を逆立て、剣を構えなおした。
そこに見えたのは、見覚えのある黒い影……
あれは、竜の王イゾリータの毒気……!
ターメリックは息を呑んだ。
クリスタン教の聖地であるクリスタニアで、神の使いカメリアが教えてくれた「竜の王イゾリータの意志を持つ空気」である毒気……
それは今まで、孤独に耐えている物体に感染し、その影を使って「伝説の剣に選ばれし者」を襲わせてきた。
しかし、目の前のカイエンは、自身が「伝説の剣に選ばれし者」を襲おうとしている。
……いや、違う。
そんなこと、関係ない。
もう竜の王イゾリータには、孤独かどうかなんて関係ないんだ。
目の前の事象を踏まえた、ターメリックの拙い仮説……
それを裏付けるように、カイエンは「伝説の剣」とは無関係であるクレソンに切先を向けている。
ふと隣を見れば、クィントゥムが腕組みをして考え込んでいた。
クリスタン神話のことなら、だれよりも詳しいクィントゥムだが、そんな彼にもこの現象は謎であるらしい。
そうか、クィントゥム君でもわからないんだ。
それじゃあ、ぼくがうんうん唸ったって仕方ないね。
……って、そんなこと考えてる場合じゃない!
早くなんとかしないと!
ターメリックが腰に差した剣に手をかけた、そのとき。
「逃げろっ! みんな、早く逃げるんだっ!」
ターメリックよりも早く、前に出た者がいる。
「クレソンっ! お前も早く逃げろっ! あんな奴の言うことなんて聞くなっ!」
ノウェムが、ターメリックの黄色い髪を揺らして素早く走り出た。
手にはもちろん何も持ってはおらず、丸腰の状態である。
それでもノウェムは、クレソンをこちらに逃がそうと必死に駆け出していた。
ノウェム君、どうしてそこまで……
と、ターメリックは思ったが、今はそれどころではないと思い直す。
きっと、ぼくたちが地下牢にいる間に何かあったんだ。
それは、後で教えてもらえばいい。
とにかく、この状態を何とかしないと!
ターメリックも、ノウェムに負けじと自慢の足で飛び出した。
しかし。
「邪魔をするなっ!!」
カイエンは、目の前に現れたノウェムに向かって、剣を突き出していた。
◆◇◆◇◆ ◆◇
……なんの策もないのに、飛び出しちまった。
でも、どうしても助けたかったんだ。
オレを「仲間」だと言ってくれた、クレソンを。
でも……
オレが死んじまったら、意味ないよなぁ。
みんな、ごめん……!
ノウェムは固く目を閉じた。
だれかが助けてくれると期待していたわけではないけれど、もしかしたらと思っていた音は聞こえなかった。
例えば、クィントゥムの杖についた鈴の音。
レードル姫の魔法の呪文、コーヒーミルが駆け出す軽やかな足音。
ダメだ、だれも間に合わない……
ノウェムが覚悟を決めた、そのとき。
凄まじい力が脇腹にかかり、耐えきれなくなったノウェムは真横に突き飛ばされていた。
「……」
あまりの衝撃に、声も出ない。
倒れ込んだ先の絨毯と腕が擦れて、ヒリヒリする。
それでもノウェムは、力を振り絞って身体を起こしていた。
いったい何が起きたのか、この目で確かめたかったのだ。
謁見の間は、静寂に満ちていた。
先ほどまでノウェムがいた場所には、クレソンが立っていた。
その身体から、剣の切先が飛び出ている。
真っ赤な鮮血が切先を伝い、絨毯に滴り落ちていくのが見えた。
……カイエンの剣が、ノウェムを庇ったクレソンを貫いたのである。
「……」
あまりのことに声も出ないノウェムの前で、カイエンは表情ひとつ変えずに剣を引き抜いた。
仰向けに倒れたクレソンの下、絨毯に赤黒い染みが広がっていく。
それを冷たく見下ろしながら、カイエンは薄笑いを浮かべている。
「クレソン……お前はいったい、何がしたいんだ?」
何の感情も読み取れない瞳は暗く濁って、仄暗い炎が揺らめいている。
ノウェムの背筋が凍った。
こいつは、もう……
もう、人間じゃないっ!!
「……か、カイエン、様……先ほども、申し上げましたが……」
息をするのもやっとであろうクレソンが、左肘をついて上体を起こし、カイエンを見据えた。
その瞳には光が宿っている。
「あなたは……一度、スパイス帝国へ戻り……頭を冷やしたほうが……よろしい、かと……」
クレソンは、すでに人ではないものと化したカイエンの左脇腹を指さした。
……そこから、血が滴り落ちていくのが見えた。
カイエンの服が、じわじわと真っ赤に染まっていく。
指をさしたクレソンの右手、その手元には短剣が転がっていた。
べったりと血糊のついた短剣である。
あ……っ!
ノウェムは、ようやく理解した。
クレソンが自分を突き飛ばし、自らが犠牲になりながらもカイエンに一矢報いたということを。
つづく
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