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25話

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屋上でのお昼ご飯を終えると、さっそく午後の授業から夏海に真面目に受けさせる。

途中で居眠りしそうになったり、私に抱きつこうとする夏海を、心を鬼にして遠ざける。

そうして、なんとか放課後になり、夏海と授業のおさらいを済ませ、別の科目を勉強しようとした時だった。

夏海が言う。

「なんだか、誰もいない教室に二人っきりってドキドキするよね…」

辺りを見回すと、いつの間にか残っていたクラスメイトはみんな帰っていた。

「な、なに言ってるの…変なこと言ってないで勉強するよ!」

夏海が変なことを言ったせいで、私までドキドキしてきたけど、意識しないようにして言った。

「うん…ごめんね…」

夏海がしょんぼりしてるけど、甘やかしたらだめと思い勉強をさせる。

そして、二人で勉強をしている最中だった。

私が落とした消しゴムを拾おうとした時、夏海も拾おうとしてくれたみたいでお互いの顔が近くなる。

「ご、ごめん…!」

私は慌てて離れると謝った。

「う、ううん…私こそごめんね!」

いつもはこれくらいじゃ照れないはずの夏海も突然のことで照れていた。

そんな夏海の意外な表情を見て少しドキッとした。

だけど、私は誤魔化すために夏海にわからないところはないか聞く。

すると、夏海がここがわからないんだけどと指指す。

私はどこ?と指指す方へ顔を近づけると夏海が私の頬にキスをした。

突然のことで焦る私。

「な、夏海!?」

「我慢できなくなっちゃって…えへへ…」

「もー!ちゃんと勉強しよ!」

「うん!がんばる!」

そして、勉強を再開してしばらくしてだった。

夏海が言う。

「ちょっとだけでいいから…かずっちに抱きついたらだめかな…」

「だめだよ」

私は甘やかしたらだめだと思い断る。

「はい…」

しょんぼりしてる夏海を見てかわいそうだなと思ったけど、再度甘やかしたらだめだと思い何も言わずにいた。

「ねぇ…」

「だめ」

「まだなにも言ってないよぉ…」

「キスしたいとか、抱きつきたいって言うんでしょ」

「そうだけど…」

「やっぱり!ちゃんと勉強しないと夏休みなくなるよ!」

「うぅ…それはやだ…」

「じゃあがんばろ!」

「うん…」

私は考える。

夏海ってもしかして集中力がないんじゃ…と。

どうしたら集中させられるんだろう…。

一つ思いついたけど…でも…。

だけどこれで集中させられるなら…と思い夏海に提案する。

「ねぇ夏海。もしこれから一日ずつちゃんと集中して勉強出来たら、私が帰りにご褒美あげるよ」

「え!?ほんとに!?」

私の突然の提案にすごく嬉しそうな夏海。

「だけど!少しでも集中が切れたらあげないからね」

「私がんばるよ!!!」

そう返事した後の夏海の集中力はすごかった。

私が教えることはどんどん覚えていき、一切ふざけないで勉強していた。

夏海って実は集中力がないだけで、やればできる子なんじゃ…。


そして、勉強を終えると早速夏海にご褒美をあげる時がきた。

「つかれたー!やっぱり集中して勉強するのって大変だねぇ…」

「おつかれさまぁ!まだまだこれからだよ!」

夏海がうへぇ…とだらけると私に言う。

「それでそれで!かずっち!ご褒美は!?」

私はどうしようかなと考え、一つ思いつく。

「うーん…まだ初日だからこれで」

夏海の頭を撫でながら、勉強一日目おつかれさまと伝えた。

これじゃあがっかりするかなと思ったけど夏海の反応は違った。

えへへ…と夏海は本当に嬉しそうに笑っている。

そんな夏海が手のかかる子だけどかわいいなと思えた。

しばらくして撫でていた手を離すと夏海が言う。

「かずっちありがと!よーし!明日からもがんばるぞー!」

「うん!がんばろ!」

そう言い帰る準備をしていると…

「明日はどんなご褒美がもらえるんだろー!楽しみだなぁ!」

夏海の一言で気づく。

明日からさらに今日以上のご褒美を用意しないといけないことに。

こうして、夏海は勉強に、私はご褒美に、大変な思いをする一週間が始まったのであった。
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