30 / 41
絆
エピローグ 上 全てはもう、後の祭り
しおりを挟む
音無希津奈の母、音無弓香は弱い人間だった。
誰かに依存しないと生きていけない女。誰かに寄生せずにはいられない女性。その精神構造は、実際はかなり幼稚だったのだろう。
自身の娘を『希津奈』と名付けたのも、夫の「〝絆〟を大事にする子にしたい」というその場しのぎの適当な台詞を真に受けたからに過ぎず、その夫から見捨てられても尚『クラスメイトや友達との絆を大事にしなさいね』と言い続けた。
見捨てられても尚、縋るしかなかったのだ、夫の残したその言葉に。
そして――母親である弓香は、今度は娘に依存を始めた。
離婚して夫との絆を断たれた母弓香はその穴を娘で埋めようとした。「〝絆〟を大事にする子にしたい」と夫の放った言葉を言い続け、別れても尚夫にしがみつき続けた。
誰かと一緒でなければ生きていけない。依存相手がいなければ心の安定を得られない。奇しくもそれは〝絆〟に執着し続けた娘、希津奈と非常に似通っていた。
そして――母弓香は娘と二人での生活を経て、新たな出会いを得る。
木田雄二、母弓香の思い人。希津奈からすれば母弓香の新たな〝絆〟の相手。
だが………………。
◇ ◇ ◇
「母親の思い人、木田雄二の狙いは娘の希津奈さんの方だった」
両手を真横に伸ばし、ぶらぶらと歩く回夜歩美。その後を、俺回夜光輝は何も言えずにその後を花束を手に付いていく。
嘗て連日に渡ってテレビの報道によって占領されていたたこの周辺も、事件から何日も経った今ではまばらに人がいる程度だ。
「警察の発表であったわ。女子高生の盗撮やら違法AVやらが、木田のパソコンや家から発見されたって、ね」
「……最悪だな」
思わず眉間にしわが寄る。そんな変態と母親が再婚することになるとは……最早生き地獄に等しい。
「ついでに言うと、希津奈さん一家が木田の家に引っ越すことになったんだけど、用意された希津奈さんの部屋に盗聴器と小型カメラが仕込まれていたとか。もうどうしようもない奴よね」
「っ………………!」
あまりの変態とストーカー気質に、言葉が出なくなる。
「でもねぇ……そんな奴でも、母親の弓香さん? は愛していたみたいねえ。そんな母親を裏切りたくなくて、もしかしたら自分の勘違いかもしれないという可能性にかけて、希津奈さんはそんな疑いを母親に言い出せずにいた。健気だこと」
「……健気、か」
『健気』という一言で片づけられる問題ではない、と俺は感じた。言い出せずにいたのは、何も母親の為だけではない。希津奈自身が「〝絆〟を大事にしなさい」と幼い頃から言い含められて育って来た。故に、当然と言うべきか……母親の〝絆〟を自分のせいで断つのが嫌だったのだろう。
母親の幸せを自分の疑いで奪う訳にはいかない。同時に、母親から〝絆〟を奪うという行為が出来ない。
音無希津奈という少女は、自分や母親の大切にしてきた〝絆〟に絡め捕られ、結果〝絆〟に殺されたのだ。
「……一つ質問する」
歩美に俺はどうでもいいような、それでいて知りたい質問をぶつける。 一つ、どうしても分からない部分が歩美の説明(?)であったのだ。
「希津奈の母親は、娘の希津奈に執着していたとお前は読んだ。だが、本当に母親が娘に執着していたら、学校で友達を作り、遊びに行かせたり等させるか?」
そう。どうにも分からない部分だった。
歩美の説明において本当に母親が娘に執着していたならば、依存していたならば……娘に友人が出来るのは独占出来なくなる。それは、歩美の読みとは矛盾しているように思える。
「ああ、それは簡単」
しかし、歩美は此方に向き直ると肩を竦めて軽く答えた。
「母親の弓香さんは娘を旦那さんの代わりとして依存していたに過ぎないから、よ」
「? 代わり?」
オウム返しに問えば歩美は頷いて続ける。
「母親の弓香さんの心の中にあったのは、飽くまでも離婚した旦那さんがあった。少なくとも、木田と出会うまでは」
言いながら、歩美はその場で回転しながら謳うように続ける。
「つまり……離婚した旦那さんの言葉を、律義に守り続けていたとすれば? 『〝絆〟を大事にする子にしたい』といった旦那さんとの思い出に毎日浸り、それに母親が縋りついていたとしたら? 娘の希津奈さんは、その抜けた旦那さんの代替物でしかなかったとすれば?」
「それ、は……」
言いたいことが、なんとなく分かって来た。
「旦那さんが『〝絆〟を大事にする子にしたい』と言ったのだから、絆を大事にする子にしなければいけない。だから娘の絆が断たれるような真似をしてはいけない。愛しい旦那さんが残してくれた子供だから、愛情深く育てなくてはいけない。良い母親でなければいけない。
そんな風に考えたとしたら?」
「つま、り……娘の為ではなく、飽くまでも離婚した元旦那さんとの思い出の為だった、と?」
俺の理解の範疇を超えたナニカを、どうにか理解し要約し、言葉にしてみる。
「まあ、そういうことになるのかしら?」
クスッと笑う歩美。どこに笑う要素があったというのか。
「まあそれも、木田雄二が現れるまでの話」
「………………」
俺の顔が嫌でも曇る。どうにか無表情を取り繕いたいが……無理だった。希津奈のことを思うと。
「新しい恋人である木田が出来たから、母親は昔の男なんて忘れたわ。新たな依存先の完成。木田の方も、自分にすり寄って来てくれるから扱いやすかったんでしょうねぇ」
そこまで言って、歩美は意味深げに笑みを深くする。
「ま……その母親の弓香さんの依存度までは、分からなかったんでしょうけど。
きっと同居が始まったら、束縛が酷くなって心身共に疲労して、木田から別れを切り出したんじゃないのかしら? ま、今となっては『たられば』のもしもでしかないけど」
「………………」
もしも、歩美の話す通りなら……もう少しだけ、待つことが出来れば、音無は……或いは――
「まあでも。さっき言った通り、これは飽くまでも私の『考察』でしかないけどね」
そう、歩美は締めくくった。
俺は溜息を吐く。そう言いつつも、こいつは自分の『考察』に絶対の自信があるんだろうな、と辟易する。『人間観察』が趣味だと言い張り、その為に女なのに夜中に独りで街へと繰り出すような奴だ。恐らくは……当たっているのだろう。
そんな会話をして、俺が悶々とした気分になっていると、
「到着、かしらね」
「っ………………」
目的地に、着いていた。
通っている学校の敷地を取り囲むフェンス。その一角に、ポツンと置かれた献花台。無数の花や供え物が並ぶ。
「………………」
嗚呼、と俺は何とも言えない……自分でもよく分からない感情でその献花台を視界に収め……持って来た花束をそっとそこに加える。そして俺は……手を合わせ……鎮魂を祈る。
音無希津奈が母親とその恋人、そして友人の柳川を刃物で殺害した挙句友人グループの他の三人をスマホを使ってなりすまして夜の学校に呼び出し、ガソリンを使って無理心中を図った事件から幾日が経った。
この事件は多感な時期の女子高生による他に類を見ない犯行として、センセーショナルに連日に渡って報道されていた。
日を追うごとに音無の知らなかった事情が報道によって分かって来て……俺は後悔の念に歯噛みした。
血塗れの服を見た時に、すぐに動くべきだった。警察に連絡すべきだったといくら後悔しても足りない。音無本人が「大丈夫」と言ったので、後日学校で話を聞こうと思っていたが……後手に回った。否、遅きに失した。
もしも、あの時すぐさま動いていれば……どうにか、被害を減らせたはずだ。
いや……いや、違う。もしも、もしももっと早くに動いていたならば……そう、学校でグループから無視が始まった時に動いて止めさせることが出来たならば、或いは……。
そんな風に、『もしも』を考えてしまう。
「………………」
せめてもの懺悔に精一杯もの祈りを捧げながら、俺はふとこの捧げられた献花や供え物を捧げた人達の中に、どれだけの人が彼女達のことをどこまで知っているのだろうか……と漠然とそんなことを考えてしまった。
傍から見れば、変態の母親の恋人と暮らすことになり、母親は娘よりも恋人を選び、挙句友人達からはイジメられて孤立した。追い詰められた末の凶行。
しかし――俺は知っている。音無は、決して友人や母親を〝恨んでいた〟訳ではないことを。もっと、自分にとって譲れないものを守る為の行為。変わりゆく世界で、変わらないでいる為の行い。
――この世界で、どれだけの人が音無のことを理解しているのだろうか? ネットを見てみれば、好き勝手に音無やその母親、友人達のことが書かれており、罵倒したり称賛したり、或いは憶測をさも真実のように語っていたりする。
だが、俺は知っている。音無希津奈という少女の真実を。だからこそ、俺は必死に祈りを捧げる。どうか、安らかな眠りを。そしてせめてあの世で幸せに。
「いやに真剣に祈るわね」
「……このくらいしか出来ないからな」
皮肉な笑みを浮かべる歩美に、俺は漸く祈りを終えて顔を向けて応じる。
「〝出来る〟……ね」
「………………」
歩美の――恐らくは世間的には〝可愛い〟と形容されるだろう――微笑。
だが、
「光輝が余計なことをしなければ、少なくとも音無さんの友人――柳川晴子、谷口広江、飯垣百合、池田千佳の四人は死なずに済んだかもよ?」
「………………っ!」
痛烈な、皮肉。そして、
「ついでに……
担任の、尾田先生もね」
「………………」
紡がれた名に、俺は瞑目した。
誰かに依存しないと生きていけない女。誰かに寄生せずにはいられない女性。その精神構造は、実際はかなり幼稚だったのだろう。
自身の娘を『希津奈』と名付けたのも、夫の「〝絆〟を大事にする子にしたい」というその場しのぎの適当な台詞を真に受けたからに過ぎず、その夫から見捨てられても尚『クラスメイトや友達との絆を大事にしなさいね』と言い続けた。
見捨てられても尚、縋るしかなかったのだ、夫の残したその言葉に。
そして――母親である弓香は、今度は娘に依存を始めた。
離婚して夫との絆を断たれた母弓香はその穴を娘で埋めようとした。「〝絆〟を大事にする子にしたい」と夫の放った言葉を言い続け、別れても尚夫にしがみつき続けた。
誰かと一緒でなければ生きていけない。依存相手がいなければ心の安定を得られない。奇しくもそれは〝絆〟に執着し続けた娘、希津奈と非常に似通っていた。
そして――母弓香は娘と二人での生活を経て、新たな出会いを得る。
木田雄二、母弓香の思い人。希津奈からすれば母弓香の新たな〝絆〟の相手。
だが………………。
◇ ◇ ◇
「母親の思い人、木田雄二の狙いは娘の希津奈さんの方だった」
両手を真横に伸ばし、ぶらぶらと歩く回夜歩美。その後を、俺回夜光輝は何も言えずにその後を花束を手に付いていく。
嘗て連日に渡ってテレビの報道によって占領されていたたこの周辺も、事件から何日も経った今ではまばらに人がいる程度だ。
「警察の発表であったわ。女子高生の盗撮やら違法AVやらが、木田のパソコンや家から発見されたって、ね」
「……最悪だな」
思わず眉間にしわが寄る。そんな変態と母親が再婚することになるとは……最早生き地獄に等しい。
「ついでに言うと、希津奈さん一家が木田の家に引っ越すことになったんだけど、用意された希津奈さんの部屋に盗聴器と小型カメラが仕込まれていたとか。もうどうしようもない奴よね」
「っ………………!」
あまりの変態とストーカー気質に、言葉が出なくなる。
「でもねぇ……そんな奴でも、母親の弓香さん? は愛していたみたいねえ。そんな母親を裏切りたくなくて、もしかしたら自分の勘違いかもしれないという可能性にかけて、希津奈さんはそんな疑いを母親に言い出せずにいた。健気だこと」
「……健気、か」
『健気』という一言で片づけられる問題ではない、と俺は感じた。言い出せずにいたのは、何も母親の為だけではない。希津奈自身が「〝絆〟を大事にしなさい」と幼い頃から言い含められて育って来た。故に、当然と言うべきか……母親の〝絆〟を自分のせいで断つのが嫌だったのだろう。
母親の幸せを自分の疑いで奪う訳にはいかない。同時に、母親から〝絆〟を奪うという行為が出来ない。
音無希津奈という少女は、自分や母親の大切にしてきた〝絆〟に絡め捕られ、結果〝絆〟に殺されたのだ。
「……一つ質問する」
歩美に俺はどうでもいいような、それでいて知りたい質問をぶつける。 一つ、どうしても分からない部分が歩美の説明(?)であったのだ。
「希津奈の母親は、娘の希津奈に執着していたとお前は読んだ。だが、本当に母親が娘に執着していたら、学校で友達を作り、遊びに行かせたり等させるか?」
そう。どうにも分からない部分だった。
歩美の説明において本当に母親が娘に執着していたならば、依存していたならば……娘に友人が出来るのは独占出来なくなる。それは、歩美の読みとは矛盾しているように思える。
「ああ、それは簡単」
しかし、歩美は此方に向き直ると肩を竦めて軽く答えた。
「母親の弓香さんは娘を旦那さんの代わりとして依存していたに過ぎないから、よ」
「? 代わり?」
オウム返しに問えば歩美は頷いて続ける。
「母親の弓香さんの心の中にあったのは、飽くまでも離婚した旦那さんがあった。少なくとも、木田と出会うまでは」
言いながら、歩美はその場で回転しながら謳うように続ける。
「つまり……離婚した旦那さんの言葉を、律義に守り続けていたとすれば? 『〝絆〟を大事にする子にしたい』といった旦那さんとの思い出に毎日浸り、それに母親が縋りついていたとしたら? 娘の希津奈さんは、その抜けた旦那さんの代替物でしかなかったとすれば?」
「それ、は……」
言いたいことが、なんとなく分かって来た。
「旦那さんが『〝絆〟を大事にする子にしたい』と言ったのだから、絆を大事にする子にしなければいけない。だから娘の絆が断たれるような真似をしてはいけない。愛しい旦那さんが残してくれた子供だから、愛情深く育てなくてはいけない。良い母親でなければいけない。
そんな風に考えたとしたら?」
「つま、り……娘の為ではなく、飽くまでも離婚した元旦那さんとの思い出の為だった、と?」
俺の理解の範疇を超えたナニカを、どうにか理解し要約し、言葉にしてみる。
「まあ、そういうことになるのかしら?」
クスッと笑う歩美。どこに笑う要素があったというのか。
「まあそれも、木田雄二が現れるまでの話」
「………………」
俺の顔が嫌でも曇る。どうにか無表情を取り繕いたいが……無理だった。希津奈のことを思うと。
「新しい恋人である木田が出来たから、母親は昔の男なんて忘れたわ。新たな依存先の完成。木田の方も、自分にすり寄って来てくれるから扱いやすかったんでしょうねぇ」
そこまで言って、歩美は意味深げに笑みを深くする。
「ま……その母親の弓香さんの依存度までは、分からなかったんでしょうけど。
きっと同居が始まったら、束縛が酷くなって心身共に疲労して、木田から別れを切り出したんじゃないのかしら? ま、今となっては『たられば』のもしもでしかないけど」
「………………」
もしも、歩美の話す通りなら……もう少しだけ、待つことが出来れば、音無は……或いは――
「まあでも。さっき言った通り、これは飽くまでも私の『考察』でしかないけどね」
そう、歩美は締めくくった。
俺は溜息を吐く。そう言いつつも、こいつは自分の『考察』に絶対の自信があるんだろうな、と辟易する。『人間観察』が趣味だと言い張り、その為に女なのに夜中に独りで街へと繰り出すような奴だ。恐らくは……当たっているのだろう。
そんな会話をして、俺が悶々とした気分になっていると、
「到着、かしらね」
「っ………………」
目的地に、着いていた。
通っている学校の敷地を取り囲むフェンス。その一角に、ポツンと置かれた献花台。無数の花や供え物が並ぶ。
「………………」
嗚呼、と俺は何とも言えない……自分でもよく分からない感情でその献花台を視界に収め……持って来た花束をそっとそこに加える。そして俺は……手を合わせ……鎮魂を祈る。
音無希津奈が母親とその恋人、そして友人の柳川を刃物で殺害した挙句友人グループの他の三人をスマホを使ってなりすまして夜の学校に呼び出し、ガソリンを使って無理心中を図った事件から幾日が経った。
この事件は多感な時期の女子高生による他に類を見ない犯行として、センセーショナルに連日に渡って報道されていた。
日を追うごとに音無の知らなかった事情が報道によって分かって来て……俺は後悔の念に歯噛みした。
血塗れの服を見た時に、すぐに動くべきだった。警察に連絡すべきだったといくら後悔しても足りない。音無本人が「大丈夫」と言ったので、後日学校で話を聞こうと思っていたが……後手に回った。否、遅きに失した。
もしも、あの時すぐさま動いていれば……どうにか、被害を減らせたはずだ。
いや……いや、違う。もしも、もしももっと早くに動いていたならば……そう、学校でグループから無視が始まった時に動いて止めさせることが出来たならば、或いは……。
そんな風に、『もしも』を考えてしまう。
「………………」
せめてもの懺悔に精一杯もの祈りを捧げながら、俺はふとこの捧げられた献花や供え物を捧げた人達の中に、どれだけの人が彼女達のことをどこまで知っているのだろうか……と漠然とそんなことを考えてしまった。
傍から見れば、変態の母親の恋人と暮らすことになり、母親は娘よりも恋人を選び、挙句友人達からはイジメられて孤立した。追い詰められた末の凶行。
しかし――俺は知っている。音無は、決して友人や母親を〝恨んでいた〟訳ではないことを。もっと、自分にとって譲れないものを守る為の行為。変わりゆく世界で、変わらないでいる為の行い。
――この世界で、どれだけの人が音無のことを理解しているのだろうか? ネットを見てみれば、好き勝手に音無やその母親、友人達のことが書かれており、罵倒したり称賛したり、或いは憶測をさも真実のように語っていたりする。
だが、俺は知っている。音無希津奈という少女の真実を。だからこそ、俺は必死に祈りを捧げる。どうか、安らかな眠りを。そしてせめてあの世で幸せに。
「いやに真剣に祈るわね」
「……このくらいしか出来ないからな」
皮肉な笑みを浮かべる歩美に、俺は漸く祈りを終えて顔を向けて応じる。
「〝出来る〟……ね」
「………………」
歩美の――恐らくは世間的には〝可愛い〟と形容されるだろう――微笑。
だが、
「光輝が余計なことをしなければ、少なくとも音無さんの友人――柳川晴子、谷口広江、飯垣百合、池田千佳の四人は死なずに済んだかもよ?」
「………………っ!」
痛烈な、皮肉。そして、
「ついでに……
担任の、尾田先生もね」
「………………」
紡がれた名に、俺は瞑目した。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
ゾンビだらけの世界で俺はゾンビのふりをし続ける
気ままに
ホラー
家で寝て起きたらまさかの世界がゾンビパンデミックとなってしまっていた!
しかもセーラー服の可愛い女子高生のゾンビに噛まれてしまう!
もう終わりかと思ったら俺はゾンビになる事はなかった。しかもゾンビに狙われない体質へとなってしまう……これは映画で見た展開と同じじゃないか!
てことで俺は人間に利用されるのは御免被るのでゾンビのフリをして人間の安息の地が完成するまでのんびりと生活させて頂きます。
ネタバレ注意!↓↓
黒藤冬夜は自分を噛んだ知性ある女子高生のゾンビ、特殊体を探すためまず総合病院に向かう。
そこでゾンビとは思えない程の、異常なまでの力を持つ別の特殊体に出会う。
そこの総合病院の地下ではある研究が行われていた……
"P-tB"
人を救う研究のはずがそれは大きな厄災をもたらす事になる……
何故ゾンビが生まれたか……
何故知性あるゾンビが居るのか……
そして何故自分はゾンビにならず、ゾンビに狙われない孤独な存在となってしまったのか……
【完結】新人機動隊員と弁当屋のお姉さん。あるいは失われた五年間の話
古都まとい
ライト文芸
【第6回ライト文芸大賞 奨励賞受賞作】
食べることは生きること。食べるために生きているといっても過言ではない新人機動隊員、加藤将太巡査は寮の共用キッチンを使えないことから夕食難民となる。
コンビニ弁当やスーパーの惣菜で飢えをしのいでいたある日、空きビルの一階に弁当屋がオープンしているのを発見する。そこは若い女店主が一人で切り盛りする、こぢんまりとした温かな店だった。
将太は弁当屋へ通いつめるうちに女店主へ惹かれはじめ、女店主も将太を常連以上の存在として意識しはじめる。
しかし暑い夏の盛り、警察本部長の妻子が殺害されたことから日常は一変する。彼女にはなにか、秘密があるようで――。
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
あいつを呼べ!
田古みゆう
ライト文芸
「今すぐアイツを呼べ!」
秘書室に隣接する扉が開けられ、突然そう命じられた新人秘書の森坊丸と力丸。
「申し訳ありません。アイツとは一体、どなたのことでしょうか?」
決死の覚悟で、そう聞き直してみたが、返ってきた言葉は、全くもって答えになっていなかった。
「アイツだ。アイツ。いつもの奴を呼べ」
「はぁ……ですから……一体どなたを?」
途方に暮れる坊丸と力丸。
それでもやるしかないと、新人秘書二人は奮闘する。
果たして二人は、アイツを呼ぶ事ができるのか?
新人秘書二人が織りなすドタバタ痛快コメディ。
別れの曲
石田ノドカ
ライト文芸
主人公・森下陽和は幼少の頃、ピアノを弾くことが好きだった。
しかし、ある日医師から『楽譜“だけ”が読めない学習障害を持っている』と診断されたことをきっかけに、陽和はピアノからは離れてしまう。
月日が経ち、高校一年の冬。
ピアニストである母親が海外出張に行っている間に、陽和は不思議な夢を視る。
そこで語り掛けて来る声に導かれるがまま、読めもしない楽譜に目を通すと、陽和は夢の中だけではピアノが弾けることに気が付く。
夢の中では何でも自由。心持ち次第だと声は言うが、次第に、陽和は現実世界でもピアノが弾けるようになっていく。
時を同じくして、ある日届いた名無しの手紙。
それが思いもよらぬ形で、差出人、そして夢の中で聞こえる声の正体――更には、陽和のよく知る人物が隠していた真実を紐解くカギとなって……
優しくも激しいショパンの旋律に導かれた陽和の、辿り着く答えとは……?
特殊装甲隊 ダグフェロン 『特殊な部隊』始まる!
橋本 直
ライト文芸
青年は出会いを通じて真の『男』へと成長する
『特殊な部隊』への配属を運命づけられた青年の驚きと葛藤の物語
登場人物
気弱で胃弱で大柄左利きの主人公 愛銃:グロックG44
見た目と年齢が一致しない『ずるい大人の代表』の隊長 愛銃:VZ52
『偉大なる中佐殿』と呼ばれるかっこかわいい『体育会系無敵幼女』 愛銃:PSMピストル
明らかに主人公を『支配』しようとする邪悪な『女王様』な女サイボーグ 愛銃:スプリングフィールドXDM40
『パチンコ依存症』な美しい小隊長 愛銃:アストラM903【モーゼルM712のスペイン製コピー】
でかい糸目の『女芸人』の艦長 愛銃:H&K P7M13
『伝説の馬鹿なヤンキー』の整備班長 愛する武器:釘バット
理系脳の多趣味で気弱な若者が、どう考えても罠としか思えない課程を経てパイロットをさせられた。
そんな彼の配属されたのは司法局と呼ばれる武装警察風味の『特殊な部隊』だった
しかも、そこにこれまで配属になった5人の先輩はすべて一週間で尻尾を撒いて逃げ帰ったという
そんな『濃い』部隊で主人公は生き延びることができるか?
SFドタバタコメディーアクション
私と継母の極めて平凡な日常
当麻月菜
ライト文芸
ある日突然、父が再婚した。そして再婚後、たった三ヶ月で失踪した。
残されたのは私、橋坂由依(高校二年生)と、継母の琴子さん(32歳のキャリアウーマン)の二人。
「ああ、この人も出て行くんだろうな。私にどれだけ自分が不幸かをぶちまけて」
そう思って覚悟もしたけれど、彼女は出て行かなかった。
そうして始まった継母と私の二人だけの日々は、とても淡々としていながら酷く穏やかで、極めて平凡なものでした。
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる