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トラック3 聖剣捜索、騎士と博士
04 蒼炎纏いて、出づるは彗星
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「オオ!」
「おおっと」
俺は相手が動くよりも先に、強烈な冷気を放射する。
相手がマントを翻すと、それはかき消されてしまったけれど――本命はそこじゃない。
「ほう、私のことは無視、と。随分冷静じゃないですか」
ほんの少し生じた隙を逃さず、飛び上がる。首を振って周囲から来る蔦や葉っぱなんかを凍らせつつ、祠の前で着地。
今優先すべきは、聖剣の回収だ。博士を背から降ろし、その背後に立って守りの体勢に入る。
「さぁ~て聖剣ちゅわん……ちょーっとおねむの時間だよぉ~っ!」
博士は聖剣の前でかがむと、リュックから機材を取り出し、コードやら何やらを聖剣に繋げだした。
詳しくないからよくはわからないけど、とにかく作業が始まったようだ。
「博士!どんくらいかかりそうっすか!」
「5分……うんにゃ、3分でやる!その間護衛よろしくぅ!」
「押忍!」
「まぁ、鬱陶しいこれを解除してもらえるならこちらとしても好都合です。3分間……遊んであげましょう」
そう言って剣を取り出し走りくるハイヴァンド。俺はディスクラッシャーを構え、迎え撃つ。
剣と剣とがぶつかり合って火花が散る。
そうして何度か剣をぶつけ合うと、つばぜり合いに持ち込んだ。
互いに視線を交わしてにらみ合うその最中、奴が突然、口を開いた。
「それにしても、久々ですねぇ。ジン・レクスウオードさん?」
「何言ってんだ、お前なんか――?」
今日初めて見た。そう続けようとしたが、何故か言いとどまってしまう。
けれど、俺は奴と戦ったことなんかない――そう思っても、頭の片隅に引っかかる何かが邪魔をする。
俺は、こいつを知っているのか?
「いや、その名で呼ぶのは適切であってそうでないか……ならこちらの名前で呼んだほうがいいでしょうか」
俺の様子をよそに、語り続けるハイヴァンド。
その口から飛び出る次のセリフに、俺は驚くことになる――
「ヨロイ・ジンさん」
「なっ……!?」
嘘だろ。コイツ、何で俺のもう一つの名前を知ってるんだ!?
殴りつけられたような感覚が、俺を襲う。
「何で、何でその名前を!」
「クク、そりゃ知っていますとも。何せ私は……」
奴が続けようとした、その時。
「!」
奴が突然、何かを感じ取ったように上を向く。そしてすぐさま俺を蹴って後ろへ飛びのき、剣を構えて防御姿勢を取った。
「うっ……何だ!?」
次の瞬間、2重の意味での『衝撃』が俺を襲う。
俺と奴との間に割り込むようにして、青い炎を纏った光球が降ってきたのだ。
流星のような勢いで着地したそれは、小さなクレーターを地に生じさせる。
しばらくして土煙と光が収まると、その中心には、人影が見えた。
「……」
翼を広げた鳥のようにも、星のようにも見える形をした仮面。
首元に巻いたマフラーは背中で枝分かれし、2対のマントのように広がっている。
各部に走る網目状のラインは、鎖帷子のよう。
一言でまとめるなら、そう。忍者のようだった。
そして、手には二振りの剣が握られている。
その一方には、円盤状のアイテムがはめ込まれているのが見える。
「メモリアナイツ!」
俺の口から、喜びの感情がこもった言葉が漏れた。
援軍が来てくれた。そう思って、駆け寄る。
「誰かは知らないけど、ありがとうございます!一緒にアイツを――」
俺が手を差し出した、次の瞬間。
「邪魔だ!」
なんと、そのメモリアナイツは突然激昂し、俺を殴りつけた!
予想だにしない一撃をもろに喰らい、地を転がる俺。
「ってぇ、何すんだ!」
抗議する俺には目もくれず、彼は既に走り出していた。
その方角には――ハイヴァンド。奴は剣を振りかぶり、襲い掛かる。
「ようやく見つけたぞ!」
「おや?その声は……」
「忘れたとはっ、言わせない!」
「ええ、覚えていますとも?ヒカリ・ツバサさん。わざわざこんな宇宙の果てまで追ってくるとは、随分暇なお方で」
「貴様ぁ!」
ツバサ。そう呼ばれた謎のメモリアナイツとハイヴァンドとが戦闘を続けている最中。
「よっし、解除完了!」
俺の後方から、声が聞こえた。博士の声だ。俺は急いで駆け寄る。
「いけたんですね!」
「もちろん……って、これどういう状況?」
防衛システムの解除に集中していた博士は、困惑した様子で俺に尋ねる。
「俺にもさっぱり……なんか突然殴られましたし」
そんな会話をかわしていた、その時。
「ハァ……とんだ邪魔が入りました。まぁいいでしょう」
ため息を吐き出し、ハイヴァンドが指を鳴らす。
奴の姿は一瞬にして黒い羽根と散り、ツバサの拳が空を切る。
「回収はまた、別の機会にでも。ですが……腹いせだけはして帰るとしましょう、か」
宙に浮かんだハイヴァンドは、そう言って手を振りかざす。すると、
「!」
空間がひずみ、その中から大量の人影が姿を現す。それは、祠の周辺に倒れていた異形の集団と全く同じ姿をしていた。
「あとはお任せします。では」
「待て!」
湧き出た敵を払いのけつつ、ツバサが叫ぶ。
しかし、奴の姿はもうどこにもない。
彼はチッ、と舌打ちをすると、双剣を振るって敵を薙ぎ払い、飛び上がる。そして上空で静止すると――双剣を組み合わせ、弓のような武器を作る。
そして青い炎のごときエネルギー体の弦を引き絞るとーー
「俺の邪魔を……するなあっ!」
地表へ向けて、巨大な光球を打ち出した!
「ヤバい!」
俺は咄嗟に博士に覆いかぶさり、さらに氷のドームを作り出して身を守る。
その攻撃は着弾すると、凄まじい爆発と閃光を引き起こす。
「ぐぅ……っ!」
今にも破られそうな防御壁を必死に維持し、耐える。
そしてしばらくして閃光が収まった時――
「マジかよ……」
変わり果ててしまった光景に、俺は言葉を失った。
あれほど生えていた木々の姿は、もうどこにも見当たらない。
どれだけ辺りを見回してみても、あるのはただの荒れ地のみ。
なんと迷いの森は、一瞬にして跡形もなく消し飛んでしまっていたのだ――!
「おおっと」
俺は相手が動くよりも先に、強烈な冷気を放射する。
相手がマントを翻すと、それはかき消されてしまったけれど――本命はそこじゃない。
「ほう、私のことは無視、と。随分冷静じゃないですか」
ほんの少し生じた隙を逃さず、飛び上がる。首を振って周囲から来る蔦や葉っぱなんかを凍らせつつ、祠の前で着地。
今優先すべきは、聖剣の回収だ。博士を背から降ろし、その背後に立って守りの体勢に入る。
「さぁ~て聖剣ちゅわん……ちょーっとおねむの時間だよぉ~っ!」
博士は聖剣の前でかがむと、リュックから機材を取り出し、コードやら何やらを聖剣に繋げだした。
詳しくないからよくはわからないけど、とにかく作業が始まったようだ。
「博士!どんくらいかかりそうっすか!」
「5分……うんにゃ、3分でやる!その間護衛よろしくぅ!」
「押忍!」
「まぁ、鬱陶しいこれを解除してもらえるならこちらとしても好都合です。3分間……遊んであげましょう」
そう言って剣を取り出し走りくるハイヴァンド。俺はディスクラッシャーを構え、迎え撃つ。
剣と剣とがぶつかり合って火花が散る。
そうして何度か剣をぶつけ合うと、つばぜり合いに持ち込んだ。
互いに視線を交わしてにらみ合うその最中、奴が突然、口を開いた。
「それにしても、久々ですねぇ。ジン・レクスウオードさん?」
「何言ってんだ、お前なんか――?」
今日初めて見た。そう続けようとしたが、何故か言いとどまってしまう。
けれど、俺は奴と戦ったことなんかない――そう思っても、頭の片隅に引っかかる何かが邪魔をする。
俺は、こいつを知っているのか?
「いや、その名で呼ぶのは適切であってそうでないか……ならこちらの名前で呼んだほうがいいでしょうか」
俺の様子をよそに、語り続けるハイヴァンド。
その口から飛び出る次のセリフに、俺は驚くことになる――
「ヨロイ・ジンさん」
「なっ……!?」
嘘だろ。コイツ、何で俺のもう一つの名前を知ってるんだ!?
殴りつけられたような感覚が、俺を襲う。
「何で、何でその名前を!」
「クク、そりゃ知っていますとも。何せ私は……」
奴が続けようとした、その時。
「!」
奴が突然、何かを感じ取ったように上を向く。そしてすぐさま俺を蹴って後ろへ飛びのき、剣を構えて防御姿勢を取った。
「うっ……何だ!?」
次の瞬間、2重の意味での『衝撃』が俺を襲う。
俺と奴との間に割り込むようにして、青い炎を纏った光球が降ってきたのだ。
流星のような勢いで着地したそれは、小さなクレーターを地に生じさせる。
しばらくして土煙と光が収まると、その中心には、人影が見えた。
「……」
翼を広げた鳥のようにも、星のようにも見える形をした仮面。
首元に巻いたマフラーは背中で枝分かれし、2対のマントのように広がっている。
各部に走る網目状のラインは、鎖帷子のよう。
一言でまとめるなら、そう。忍者のようだった。
そして、手には二振りの剣が握られている。
その一方には、円盤状のアイテムがはめ込まれているのが見える。
「メモリアナイツ!」
俺の口から、喜びの感情がこもった言葉が漏れた。
援軍が来てくれた。そう思って、駆け寄る。
「誰かは知らないけど、ありがとうございます!一緒にアイツを――」
俺が手を差し出した、次の瞬間。
「邪魔だ!」
なんと、そのメモリアナイツは突然激昂し、俺を殴りつけた!
予想だにしない一撃をもろに喰らい、地を転がる俺。
「ってぇ、何すんだ!」
抗議する俺には目もくれず、彼は既に走り出していた。
その方角には――ハイヴァンド。奴は剣を振りかぶり、襲い掛かる。
「ようやく見つけたぞ!」
「おや?その声は……」
「忘れたとはっ、言わせない!」
「ええ、覚えていますとも?ヒカリ・ツバサさん。わざわざこんな宇宙の果てまで追ってくるとは、随分暇なお方で」
「貴様ぁ!」
ツバサ。そう呼ばれた謎のメモリアナイツとハイヴァンドとが戦闘を続けている最中。
「よっし、解除完了!」
俺の後方から、声が聞こえた。博士の声だ。俺は急いで駆け寄る。
「いけたんですね!」
「もちろん……って、これどういう状況?」
防衛システムの解除に集中していた博士は、困惑した様子で俺に尋ねる。
「俺にもさっぱり……なんか突然殴られましたし」
そんな会話をかわしていた、その時。
「ハァ……とんだ邪魔が入りました。まぁいいでしょう」
ため息を吐き出し、ハイヴァンドが指を鳴らす。
奴の姿は一瞬にして黒い羽根と散り、ツバサの拳が空を切る。
「回収はまた、別の機会にでも。ですが……腹いせだけはして帰るとしましょう、か」
宙に浮かんだハイヴァンドは、そう言って手を振りかざす。すると、
「!」
空間がひずみ、その中から大量の人影が姿を現す。それは、祠の周辺に倒れていた異形の集団と全く同じ姿をしていた。
「あとはお任せします。では」
「待て!」
湧き出た敵を払いのけつつ、ツバサが叫ぶ。
しかし、奴の姿はもうどこにもない。
彼はチッ、と舌打ちをすると、双剣を振るって敵を薙ぎ払い、飛び上がる。そして上空で静止すると――双剣を組み合わせ、弓のような武器を作る。
そして青い炎のごときエネルギー体の弦を引き絞るとーー
「俺の邪魔を……するなあっ!」
地表へ向けて、巨大な光球を打ち出した!
「ヤバい!」
俺は咄嗟に博士に覆いかぶさり、さらに氷のドームを作り出して身を守る。
その攻撃は着弾すると、凄まじい爆発と閃光を引き起こす。
「ぐぅ……っ!」
今にも破られそうな防御壁を必死に維持し、耐える。
そしてしばらくして閃光が収まった時――
「マジかよ……」
変わり果ててしまった光景に、俺は言葉を失った。
あれほど生えていた木々の姿は、もうどこにも見当たらない。
どれだけ辺りを見回してみても、あるのはただの荒れ地のみ。
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