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そして勇者は選んだ
49 子ども扱い
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「滅多なことはないだろうし、君たちはそこで座っていてくれていい。急な依頼で悪かったね。予定は無かったのか?」
「ここには冒険者ギルドの総意として、お触れの撤回を求めに来ただけです。他に用は無いんですが、そうですね。ギルドへの連絡だけは、しといた方がいいから、一人抜けても構いませんか?」
マールクが領主さまに、丁寧に返事を返す。
「もちろん、構わない。彼の結界があれば、君たちが居なくても、誰も部屋を出入りできなかったのだから、結界をかけておいてくれればいい、と言いたいところだが、呼んだ文官が入れないのは困るな」
「あ、あの、条件指定とか、俺、まだあまり得意でなくて」
セナが申し訳なさそうに、身を縮める。
「いや、褒めてるんだよ。誤解させたなら悪かった。条件指定?そんなことができるのか、結界にも色々あるのだな」
「あの、はい。母さん……母のは凄くて、村の周りに広域展開してても、魔力切れとかなく普通に暮らしてて。それで、その結界は、村人は自由に出入りできるけど、他の人は簡単には入れないみたいで。俺はその、結界はそんなに得意じゃなくて」
「そんな凄い結界士が田舎の村にいるんだねえ。セナは得意じゃないのに、あんなに強固な結界を張れるのか、えらいな」
領主は、ふっと手を伸ばしてセナの頭を撫でた。セナは、驚いて首を竦めながらも、嬉しそうにしている。いいなあ、羨ましい。
「それじゃあ、申し訳ないが護衛は残ってもらおうかな」
領主の言葉に、マールクがこちらを見た。
「ユーゴー、行けるか?」
「あ、うん……」
ここに残っていたかったが、仕方ない。立ち上がると、待て、と領主が言った。
「子どもを一人で行かせるのか?」
「え?あ、はい」
マールクが何気なく返すと、領主は嫌そうな顔をした。
「冒険者登録してあるとはいえ、まだこの二人を個人で活動させるのは……、いや、そういえば、ランクは?」
「領主さま。ユーゴーは、実はまだ成人しておりませんが、そこらの冒険者より余程強いです。心配はいりません」
「成人していない、だって?何故もう、冒険者登録しているんだ?」
「ギルド登録の年齢は、自己申告制で……。あの、領主さま、ユーゴーは……」
「俺は勇者だから、誰より強いと思います。大丈夫です」
心配されるなんて経験したことがなく、驚いてしまう。
「勇者?え?神託の……?」
「え、と。たぶん?」
「何故、成人していないのに、それが?鑑定はまだなのだろう?」
「生まれたときから知ってる」
「そういう、ものなのか……」
「俺は知らなかったよ」
セナが口を挟んだ。
「鑑定の儀を受けるまで、自分が聖者だなんて、全然知らなかった」
「…………」
領主は、絶句して俺たちを見比べている。領主に、言っていなかったっけ?その話は、領主が来る前にしていたのだったか?
「ギルドへの報告は、俺が行く。ゆっくり話しててくれ」
ガウナーが立ち上がって、素早く部屋を出ていった。
どちらかというと残りたかった俺は、黙ってソファに座り直した。
「ここには冒険者ギルドの総意として、お触れの撤回を求めに来ただけです。他に用は無いんですが、そうですね。ギルドへの連絡だけは、しといた方がいいから、一人抜けても構いませんか?」
マールクが領主さまに、丁寧に返事を返す。
「もちろん、構わない。彼の結界があれば、君たちが居なくても、誰も部屋を出入りできなかったのだから、結界をかけておいてくれればいい、と言いたいところだが、呼んだ文官が入れないのは困るな」
「あ、あの、条件指定とか、俺、まだあまり得意でなくて」
セナが申し訳なさそうに、身を縮める。
「いや、褒めてるんだよ。誤解させたなら悪かった。条件指定?そんなことができるのか、結界にも色々あるのだな」
「あの、はい。母さん……母のは凄くて、村の周りに広域展開してても、魔力切れとかなく普通に暮らしてて。それで、その結界は、村人は自由に出入りできるけど、他の人は簡単には入れないみたいで。俺はその、結界はそんなに得意じゃなくて」
「そんな凄い結界士が田舎の村にいるんだねえ。セナは得意じゃないのに、あんなに強固な結界を張れるのか、えらいな」
領主は、ふっと手を伸ばしてセナの頭を撫でた。セナは、驚いて首を竦めながらも、嬉しそうにしている。いいなあ、羨ましい。
「それじゃあ、申し訳ないが護衛は残ってもらおうかな」
領主の言葉に、マールクがこちらを見た。
「ユーゴー、行けるか?」
「あ、うん……」
ここに残っていたかったが、仕方ない。立ち上がると、待て、と領主が言った。
「子どもを一人で行かせるのか?」
「え?あ、はい」
マールクが何気なく返すと、領主は嫌そうな顔をした。
「冒険者登録してあるとはいえ、まだこの二人を個人で活動させるのは……、いや、そういえば、ランクは?」
「領主さま。ユーゴーは、実はまだ成人しておりませんが、そこらの冒険者より余程強いです。心配はいりません」
「成人していない、だって?何故もう、冒険者登録しているんだ?」
「ギルド登録の年齢は、自己申告制で……。あの、領主さま、ユーゴーは……」
「俺は勇者だから、誰より強いと思います。大丈夫です」
心配されるなんて経験したことがなく、驚いてしまう。
「勇者?え?神託の……?」
「え、と。たぶん?」
「何故、成人していないのに、それが?鑑定はまだなのだろう?」
「生まれたときから知ってる」
「そういう、ものなのか……」
「俺は知らなかったよ」
セナが口を挟んだ。
「鑑定の儀を受けるまで、自分が聖者だなんて、全然知らなかった」
「…………」
領主は、絶句して俺たちを見比べている。領主に、言っていなかったっけ?その話は、領主が来る前にしていたのだったか?
「ギルドへの報告は、俺が行く。ゆっくり話しててくれ」
ガウナーが立ち上がって、素早く部屋を出ていった。
どちらかというと残りたかった俺は、黙ってソファに座り直した。
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