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小さな幸せを願った勇者の話
93 隣町の冒険者ギルド
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掲示板の依頼書は、あらかた剥がされていた。低ランク向けの常設の薬草採りと、王都までの護衛を三日後に頼みたい、というAランクパーティ向けの依頼書だけが貼ってある。
王都の冒険者ギルドよりも、高ランクの冒険者が多く存在する、ということか?
「王都よりランクが高い冒険者が多いのか?」
同じことを思ったらしいマールクの声がした。
「……そういえば、王都のマスターが言っていたな。ランクの高い者やパーティは王家に目をつけられるって。」
「冒険者を自由に続けたい者は、こちらの町に移っているのかも?」
「あり得る。今日は無理だな。薬草採ってるくらいなら、早く宿を決めて体を休めよう。明日から早起きして依頼書の争奪戦に加わるぞ。」
「うわ、できるかな。田舎の村に居たから、大勢の人にも慣れてないんだ。」
まずは受付で、今日からお世話になること、個人依頼でなくパーティ依頼を受けるつもりであることを伝えて、この町の地図を売ってもらった。
「王都から来たの?Aランクパーティね。期待してる。」
大人の女性といった雰囲気の受付嬢が、ぱちんとウインクした。
「ただね、王都から来た人達は、依頼を取るのが下手なの。しばらくは苦労するわよ。」
予想は大方正しかったようだ。王都の冒険者ギルドでは、依頼を受ける冒険者が少なくて、高ランクの個人やパーティにギルドからお願いしている状態なのだから。
「何時から開く?頑張って早起きするよ。」
「いいわね、坊や。そのやる気、好きよ。朝の六時には扉を開けるわ。」
方針は決まったので、お礼を言ってその場を離れた。
セナとガウナーは、まだ何か言いたそうにこちらを見ているが、まずは食事だ、とギルドに併設されている食堂へと入る。
昼の食堂は、とても空いていた。
「いらっしゃい、見ない顔だね。」
「ついさっき、王都からこちらに着いた。食事はできるかな。」
「へえ。また、王都から。あちらは、何か不都合があるのかね?」
「いや、依頼だよ、護衛の。片道だから、しばらくこちらで腰を落ち着けようかと思って。」
「そうかい、ま、こんな時間じゃすること無かったろ?ゆっくり食べていきな。」
「ありがとう、日替わり定食を四つ頼む。」
マールクが店員と上手く話をしてくれるので、ありがたく黙って席に着く。こういうやり取りも、大切だな。ただ食事するだけじゃなく、情報も手に入る。少しずつ慣れようと、先ほどの受付嬢と話してみたが、不自然ではなかっただろうか?
「ねえ、やっぱりさっきの馬車の人達を助けに行けないかな?」
やはり俺でも、道中は少しは緊張していたのだろう。腰を下ろしてほっと息を吐いていると、セナが固い顔で言った。
さっきの?
何のことだ?
王都の冒険者ギルドよりも、高ランクの冒険者が多く存在する、ということか?
「王都よりランクが高い冒険者が多いのか?」
同じことを思ったらしいマールクの声がした。
「……そういえば、王都のマスターが言っていたな。ランクの高い者やパーティは王家に目をつけられるって。」
「冒険者を自由に続けたい者は、こちらの町に移っているのかも?」
「あり得る。今日は無理だな。薬草採ってるくらいなら、早く宿を決めて体を休めよう。明日から早起きして依頼書の争奪戦に加わるぞ。」
「うわ、できるかな。田舎の村に居たから、大勢の人にも慣れてないんだ。」
まずは受付で、今日からお世話になること、個人依頼でなくパーティ依頼を受けるつもりであることを伝えて、この町の地図を売ってもらった。
「王都から来たの?Aランクパーティね。期待してる。」
大人の女性といった雰囲気の受付嬢が、ぱちんとウインクした。
「ただね、王都から来た人達は、依頼を取るのが下手なの。しばらくは苦労するわよ。」
予想は大方正しかったようだ。王都の冒険者ギルドでは、依頼を受ける冒険者が少なくて、高ランクの個人やパーティにギルドからお願いしている状態なのだから。
「何時から開く?頑張って早起きするよ。」
「いいわね、坊や。そのやる気、好きよ。朝の六時には扉を開けるわ。」
方針は決まったので、お礼を言ってその場を離れた。
セナとガウナーは、まだ何か言いたそうにこちらを見ているが、まずは食事だ、とギルドに併設されている食堂へと入る。
昼の食堂は、とても空いていた。
「いらっしゃい、見ない顔だね。」
「ついさっき、王都からこちらに着いた。食事はできるかな。」
「へえ。また、王都から。あちらは、何か不都合があるのかね?」
「いや、依頼だよ、護衛の。片道だから、しばらくこちらで腰を落ち着けようかと思って。」
「そうかい、ま、こんな時間じゃすること無かったろ?ゆっくり食べていきな。」
「ありがとう、日替わり定食を四つ頼む。」
マールクが店員と上手く話をしてくれるので、ありがたく黙って席に着く。こういうやり取りも、大切だな。ただ食事するだけじゃなく、情報も手に入る。少しずつ慣れようと、先ほどの受付嬢と話してみたが、不自然ではなかっただろうか?
「ねえ、やっぱりさっきの馬車の人達を助けに行けないかな?」
やはり俺でも、道中は少しは緊張していたのだろう。腰を下ろしてほっと息を吐いていると、セナが固い顔で言った。
さっきの?
何のことだ?
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