1,258 / 1,321
第十章 されど幸せな日々
49 連絡 成人
しおりを挟む
俺以外の皆がたくさん食べたお昼ご飯が終わると、西賀に滞在する時にいつも使っていた部屋に案内してもらった。お客さん用のお部屋だ。城の主が変わっても、城は何にも変わっていなかった。
お客さん用の部屋は、今までほとんど使っていなかったんです、って竹光は言っていた。使ってもらえて部屋も喜んどるやろ、いつでも使てください、って。
梅光も、これからも他にお客さんが来る予定はないんで、ここはずっと殿下方のお部屋ですよって言ってくれた。俺たちがいつでも来て使っていいんだって。嬉しい。
「夜ご飯はいっぱい食べるね?」
案内してくれた千代に言ったら、千代はにこにこと首を横に振った。
「成人殿下、いっぱい食べんでもええんですよ。ちょうどええ量を美味しく食べてもらえたら、それが嬉しいです」
そっか。
「うん」
「お前、すっかり泊まる気だな。今日は日帰りの予定だったんだが。千代、世話をかける」
あれ? 今日はお泊まりじゃなかったっけ?
あ。
すぐ帰るって亀吉に約束したな、俺。
……。
まあ、ほら、明日帰るし? 明日って、一日後だよ、一日後。一日なんて、すぐじゃないかな? 明日帰れば、すぐ帰る、の約束は守ったことになるんじゃない?
「いいえ、緋色殿下。うちの子らが夕食のお誘いをした、とお聞きしとりますよ?」
「はは、確かに。ぼたん鍋とやらが美味しいから、食べていってください、と言ってくれていたな」
「お誘いに乗ってくださってありがとうございます。ごゆっくりなさってください」
「そうするとしよう。成人お勧めの風呂屋も行かなきゃならんし」
やった。お風呂屋さん!
「朔がひとっ走り行きました。すぐに貸し切りにできる思いますよ」
「できれば、でいい。急な話だからな。無理ならまた来る」
「いえ。時間はいつでも、と仰ってくださったんで、夕方以降の混み合う前にお時間が取れる思います」
「そうか。着替えも、まあ多分、その頃までに届くだろ」
今日は一ノ瀬を連れて来ていなかったので、西賀国の人にお願いして西中国におつかいに行ってもらった。俺たちが一泊することを連絡して、着替えを持って来てくれるって。
「西賀国にも、早めに電信の機械を設置しよう」
緋色が言った。電信? と首を傾げる千寿や寿々丸に、機械で書いた文を別の場所にある同じ機械に飛ばして連絡ができる道具だ、って緋色が説明したら、二人は、ほえーって驚いていた。
西中国にはあったからね。使い方を覚えろ、って言われた鶴丸が頭を抱えていたけど、もう覚えたかな? 西賀国では、千寿と寿々丸が覚えることになるのかな。
あ。俺は実は使い方を知っているから、電信が使えるようになったら、それで連絡したりできるようになるんじゃない? すぐ連絡できると便利。いつでも遊べるね!
常陸丸とじいじは、順番に昼ご飯を食べに行った。
俺は、昼寝しろって言われたけど、来る時にバスでちょっと寝たから眠くないよ。
ん? 腹ごなしの鍛錬?
わ、俺も行く。
緋色は行かないの? そう? 仕事? それも嫌? ええー?
俺は行くからね。
お客さん用の部屋は、今までほとんど使っていなかったんです、って竹光は言っていた。使ってもらえて部屋も喜んどるやろ、いつでも使てください、って。
梅光も、これからも他にお客さんが来る予定はないんで、ここはずっと殿下方のお部屋ですよって言ってくれた。俺たちがいつでも来て使っていいんだって。嬉しい。
「夜ご飯はいっぱい食べるね?」
案内してくれた千代に言ったら、千代はにこにこと首を横に振った。
「成人殿下、いっぱい食べんでもええんですよ。ちょうどええ量を美味しく食べてもらえたら、それが嬉しいです」
そっか。
「うん」
「お前、すっかり泊まる気だな。今日は日帰りの予定だったんだが。千代、世話をかける」
あれ? 今日はお泊まりじゃなかったっけ?
あ。
すぐ帰るって亀吉に約束したな、俺。
……。
まあ、ほら、明日帰るし? 明日って、一日後だよ、一日後。一日なんて、すぐじゃないかな? 明日帰れば、すぐ帰る、の約束は守ったことになるんじゃない?
「いいえ、緋色殿下。うちの子らが夕食のお誘いをした、とお聞きしとりますよ?」
「はは、確かに。ぼたん鍋とやらが美味しいから、食べていってください、と言ってくれていたな」
「お誘いに乗ってくださってありがとうございます。ごゆっくりなさってください」
「そうするとしよう。成人お勧めの風呂屋も行かなきゃならんし」
やった。お風呂屋さん!
「朔がひとっ走り行きました。すぐに貸し切りにできる思いますよ」
「できれば、でいい。急な話だからな。無理ならまた来る」
「いえ。時間はいつでも、と仰ってくださったんで、夕方以降の混み合う前にお時間が取れる思います」
「そうか。着替えも、まあ多分、その頃までに届くだろ」
今日は一ノ瀬を連れて来ていなかったので、西賀国の人にお願いして西中国におつかいに行ってもらった。俺たちが一泊することを連絡して、着替えを持って来てくれるって。
「西賀国にも、早めに電信の機械を設置しよう」
緋色が言った。電信? と首を傾げる千寿や寿々丸に、機械で書いた文を別の場所にある同じ機械に飛ばして連絡ができる道具だ、って緋色が説明したら、二人は、ほえーって驚いていた。
西中国にはあったからね。使い方を覚えろ、って言われた鶴丸が頭を抱えていたけど、もう覚えたかな? 西賀国では、千寿と寿々丸が覚えることになるのかな。
あ。俺は実は使い方を知っているから、電信が使えるようになったら、それで連絡したりできるようになるんじゃない? すぐ連絡できると便利。いつでも遊べるね!
常陸丸とじいじは、順番に昼ご飯を食べに行った。
俺は、昼寝しろって言われたけど、来る時にバスでちょっと寝たから眠くないよ。
ん? 腹ごなしの鍛錬?
わ、俺も行く。
緋色は行かないの? そう? 仕事? それも嫌? ええー?
俺は行くからね。
1,227
お気に入りに追加
5,000
あなたにおすすめの小説
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
追放されたボク、もう怒りました…
猫いちご
BL
頑張って働いた。
5歳の時、聖女とか言われて神殿に無理矢理入れられて…早8年。虐められても、たくさんの暴力・暴言に耐えて大人しく従っていた。
でもある日…突然追放された。
いつも通り祈っていたボクに、
「新しい聖女を我々は手に入れた!」
「無能なお前はもう要らん! 今すぐ出ていけ!!」
と言ってきた。もう嫌だ。
そんなボク、リオが追放されてタラシスキルで周り(主にレオナード)を翻弄しながら冒険して行く話です。
世界観は魔法あり、魔物あり、精霊ありな感じです!
主人公は最初不遇です。
更新は不定期です。(*- -)(*_ _)ペコリ
誤字・脱字報告お願いします!
【完】ちょっと前まで可愛い後輩だったじゃん!!
福の島
BL
家族で異世界転生して早5年、なんか巡り人とか言う大層な役目を貰った俺たち家族だったけど、2人の姉兄はそれぞれ旦那とお幸せらしい。
まぁ、俺と言えば王様の進めに従って貴族学校に通っていた。
優しい先輩に慕ってくれる可愛い後輩…まぁ順風満帆…ってやつ…
だったなぁ…この前までは。
結婚を前提に…なんて…急すぎるだろ!!なんでアイツ…よりによって俺に…!??
前作短編『ゆるだる転生者の平穏なお嫁さん生活』に登場する優馬の続編です。
今作だけでも楽しめるように書きますが、こちらもよろしくお願いします。
【完結】狼獣人が俺を離してくれません。
福の島
BL
異世界転移ってほんとにあるんだなぁとしみじみ。
俺が異世界に来てから早2年、高校一年だった俺はもう3年に近い歳になってるし、ここに来てから魔法も使えるし、背も伸びた。
今はBランク冒険者としてがむしゃらに働いてたんだけど、 貯金が人生何周か全力で遊んで暮らせるレベルになったから東の獣の国に行くことにした。
…どうしよう…助けた元奴隷狼獣人が俺に懐いちまった…
訳あり執着狼獣人✖️異世界転移冒険者
NLカプ含む脇カプもあります。
人に近い獣人と獣に近い獣人が共存する世界です。
このお話の獣人は人に近い方の獣人です。
全体的にフワッとしています。
【完結】塔の悪魔の花嫁
かずえ
BL
国の都の外れの塔には悪魔が封じられていて、王族の血筋の生贄を望んだ。王族の娘を1人、塔に住まわすこと。それは、四百年も続くイズモ王国の決まり事。期限は無い。すぐに出ても良いし、ずっと住んでも良い。必ず一人、悪魔の話し相手がいれば。
時の王妃は娘を差し出すことを拒み、王の側妃が生んだ子を女装させて塔へ放り込んだ。
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
公爵様のプロポーズが何で俺?!
雪那 由多
BL
近衛隊隊長のバスクアル・フォン・ベルトランにバラを差し出されて結婚前提のプロポーズされた俺フラン・フライレですが、何で初対面でプロポーズされなくてはいけないのか誰か是非教えてください!
話しを聞かないベルトラン公爵閣下と天涯孤独のフランによる回避不可のプロポーズを生暖かく距離を取って見守る職場の人達を巻き込みながら
「公爵なら公爵らしく妻を娶って子作りに励みなさい!」
「そんな物他所で産ませて連れてくる!
子作りが義務なら俺は愛しい妻を手に入れるんだ!」
「あんたどれだけ自分勝手なんだ!!!」
恋愛初心者で何とも低次元な主張をする公爵様に振りまわされるフランだが付き合えばそれなりに楽しいしそのうち意識もする……のだろうか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる