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第八章 郷に入っては郷に従え
9 お城の厨房見学会 成人
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何日かして、お城の厨房から帰ってこいと言われた公里は、ここでずっと仕事がしたいですう、と半泣きで帰って行った。やっぱり声は大きかった。
そんなにメモがしたかったのか。お城の厨房では、メモを取ってたら怒られるんだもんね。困るよねえ。メモ、あるとすごく助かるのに。
お城の厨房に帰りたくなさそうな公里が気になるし、先に帰った安次嶺も気になるので、お城の厨房に行ってみた。すごくたくさんの料理人がいて、びっくりした。
お城の厨房は、調理師免許が無いと入れないって聞いていたから、入り口とか窓からちょっと覗かせてもらおうかな、と思って行った。なのに、どうぞって言われから、中に入っちゃった。いいの?ほんとに?って思ったんだけど、案内してくれた人は包拳礼をして頭を下げて、どうぞ、としか言わない。ならまあ、いいのか。
村次と一緒だったから入れたのかな。でも前に、広末と一緒に行っても入れなかったって、免許がまだ無かった村次が言ってたよね。お城と離宮で、届くのが間違えてた材料を取り替えに行っただけなのに厳しいな、って困ってた。いつも広末が取り替えに行かなくちゃならなくて、困ってた。
お城の厨房には、見習いは一人もいないってことなのかな。じゃあ、お手伝いの使用人も入れない?
父さまや母さま、朱実殿下、赤璃さまの分の料理の他に、たくさんの使用人たちの料理も作っているのに、免許持ちしか入っちゃ駄目って言ってたら、大変じゃない?
思わず、きょろきょろしてしまう。こういうの、良くないかな。でも、うちと違う、よそのおうちを見るのって楽しい。
おお。お皿とかお鍋とか洗うとこは、厨房の中じゃ無いのか。厨房の横に、お皿洗ったり、野菜洗ったり皮を剥いたりするお手伝い部屋があるのか。免許持ちは、あんまりそういう作業をしないのかな。何だか色々、大変そうだ。
「矢渡。相変わらず何をしても鈍いな、お前は」
「すみません」
「安次嶺さんが、何日前に帰ったと思っている」
「すみません」
怒られているのは公里だ。矢渡って呼ばれている。どちらかが名字で、どちらかが名前なんだな、きっと。俺には分からないぞ。公里に、ちゃんと聞いておけば良かった。
「公里」
って呼んだら、そこに居た三人が全員、こちらを向いた。
名字だな、これ……。
そんなにメモがしたかったのか。お城の厨房では、メモを取ってたら怒られるんだもんね。困るよねえ。メモ、あるとすごく助かるのに。
お城の厨房に帰りたくなさそうな公里が気になるし、先に帰った安次嶺も気になるので、お城の厨房に行ってみた。すごくたくさんの料理人がいて、びっくりした。
お城の厨房は、調理師免許が無いと入れないって聞いていたから、入り口とか窓からちょっと覗かせてもらおうかな、と思って行った。なのに、どうぞって言われから、中に入っちゃった。いいの?ほんとに?って思ったんだけど、案内してくれた人は包拳礼をして頭を下げて、どうぞ、としか言わない。ならまあ、いいのか。
村次と一緒だったから入れたのかな。でも前に、広末と一緒に行っても入れなかったって、免許がまだ無かった村次が言ってたよね。お城と離宮で、届くのが間違えてた材料を取り替えに行っただけなのに厳しいな、って困ってた。いつも広末が取り替えに行かなくちゃならなくて、困ってた。
お城の厨房には、見習いは一人もいないってことなのかな。じゃあ、お手伝いの使用人も入れない?
父さまや母さま、朱実殿下、赤璃さまの分の料理の他に、たくさんの使用人たちの料理も作っているのに、免許持ちしか入っちゃ駄目って言ってたら、大変じゃない?
思わず、きょろきょろしてしまう。こういうの、良くないかな。でも、うちと違う、よそのおうちを見るのって楽しい。
おお。お皿とかお鍋とか洗うとこは、厨房の中じゃ無いのか。厨房の横に、お皿洗ったり、野菜洗ったり皮を剥いたりするお手伝い部屋があるのか。免許持ちは、あんまりそういう作業をしないのかな。何だか色々、大変そうだ。
「矢渡。相変わらず何をしても鈍いな、お前は」
「すみません」
「安次嶺さんが、何日前に帰ったと思っている」
「すみません」
怒られているのは公里だ。矢渡って呼ばれている。どちらかが名字で、どちらかが名前なんだな、きっと。俺には分からないぞ。公里に、ちゃんと聞いておけば良かった。
「公里」
って呼んだら、そこに居た三人が全員、こちらを向いた。
名字だな、これ……。
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