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第七章 冠婚葬祭
151 大きくなったら 成人
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「おめでとう!」
「おめでとう!」
たくさんの拍手と声の中を緋色は堂々と歩く。周りへ視線をやって、ふふんって顎をちょっと上げてから俺を見て笑う。楽しい時の顔だ。すごく楽しんでる時の顔。
俺も嬉しくて楽しくて、周りを見たり緋色を見たり忙しい。抱っこしてもらってて良かった。歩いてたら、周りを見過ぎて転びそうになってたかもしれない。
後ろの壱臣は、ぎゅうって半助の一つしかない腕を掴んで真っ直ぐ前を向いている。いつも優しく笑っている顔が、きりと引き締まってて弐角とよく似ていた。似てる、そっくりって言われているけど、いつもはそうでも無いんだよ。最初は同じ形だったかもしれないけれど、いつも違う表情をしている二人は、ちょっと違う顔になっている。いつもほわほわ笑ってる壱臣は、きりっとしたら弐角になるんだね。じゃあ、弐角がほわほわ笑ったら壱臣になるのかって考えたけど、ちっとも思い浮かばなくて笑ってしまった。弐角はほわほわ笑わない。きっと笑えない。
半助はいつも、表情が顔にほとんど出ないけど、今日は優しい顔で壱臣をずっと見ていた。俺は、仕事の時の半助しかあんまり知らないけれど、離宮で壱臣が近くにいる時は優しい顔だから、今日はずっと優しい顔なんだな。氷が溶けたみたい。とても綺麗だ。
二人はそんなに背の高さは変わらないから、すぐ近くに顔があっていいね。今日は俺も、抱っこだから緋色の首に右手で掴まっていて、すぐに頬っぺたがくっつきそうだよ。このくらい近くにいっつもいられるのはいいなあ。
その後ろの緋椀は作治よりだいぶ背が低い。作治はずっと、腕にしっかりと掴まっている緋椀の方を向いてにこにこ、にこにこしているんだ。緋椀は、少しつんとした顔をして真っ直ぐ前を見ている。壱臣と一緒だ。周りを見ないで進むんだね。それもいいかも。よそ見してるとつまづいたりぶつかったりするから。見可はよく、前を向いて歩けって言われてる。
睦峯も真っ直ぐ前を向いて歩いている。睦峯の腕を掴んでいる斎が楽しそうに何か話しかける度に、少しづつ周りを見て笑顔になっていく。
俺、緋色が抱っこして歩いてくれるから、最初から周りを見れてよかった。もう少し大きくなるまでは、この形でもいいな。
大きくなったら、皆みたいに横に並んで腕を組んで歩くことにしよう。そうしよう。
「おめでとう!」
たくさんの拍手と声の中を緋色は堂々と歩く。周りへ視線をやって、ふふんって顎をちょっと上げてから俺を見て笑う。楽しい時の顔だ。すごく楽しんでる時の顔。
俺も嬉しくて楽しくて、周りを見たり緋色を見たり忙しい。抱っこしてもらってて良かった。歩いてたら、周りを見過ぎて転びそうになってたかもしれない。
後ろの壱臣は、ぎゅうって半助の一つしかない腕を掴んで真っ直ぐ前を向いている。いつも優しく笑っている顔が、きりと引き締まってて弐角とよく似ていた。似てる、そっくりって言われているけど、いつもはそうでも無いんだよ。最初は同じ形だったかもしれないけれど、いつも違う表情をしている二人は、ちょっと違う顔になっている。いつもほわほわ笑ってる壱臣は、きりっとしたら弐角になるんだね。じゃあ、弐角がほわほわ笑ったら壱臣になるのかって考えたけど、ちっとも思い浮かばなくて笑ってしまった。弐角はほわほわ笑わない。きっと笑えない。
半助はいつも、表情が顔にほとんど出ないけど、今日は優しい顔で壱臣をずっと見ていた。俺は、仕事の時の半助しかあんまり知らないけれど、離宮で壱臣が近くにいる時は優しい顔だから、今日はずっと優しい顔なんだな。氷が溶けたみたい。とても綺麗だ。
二人はそんなに背の高さは変わらないから、すぐ近くに顔があっていいね。今日は俺も、抱っこだから緋色の首に右手で掴まっていて、すぐに頬っぺたがくっつきそうだよ。このくらい近くにいっつもいられるのはいいなあ。
その後ろの緋椀は作治よりだいぶ背が低い。作治はずっと、腕にしっかりと掴まっている緋椀の方を向いてにこにこ、にこにこしているんだ。緋椀は、少しつんとした顔をして真っ直ぐ前を見ている。壱臣と一緒だ。周りを見ないで進むんだね。それもいいかも。よそ見してるとつまづいたりぶつかったりするから。見可はよく、前を向いて歩けって言われてる。
睦峯も真っ直ぐ前を向いて歩いている。睦峯の腕を掴んでいる斎が楽しそうに何か話しかける度に、少しづつ周りを見て笑顔になっていく。
俺、緋色が抱っこして歩いてくれるから、最初から周りを見れてよかった。もう少し大きくなるまでは、この形でもいいな。
大きくなったら、皆みたいに横に並んで腕を組んで歩くことにしよう。そうしよう。
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