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第七章 冠婚葬祭
69 何かを決める時は目隠しじゃんけんだけど 成人
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合計六回負けて、椿が呟いた。
「イカサマ......?」
「いかさまって何?」
「何か細工があって、ズルをしていると思われてるってことだな」
「さいく。ずる」
「まあ、気にするな。そんなこと言う時点で、どうしようもない」
「な......な、な......」
うーん。そうだね。
「おしまい。ね?駄目だったでしょ、橙々」
「え?いや、でも。たかがじゃんけんで、こんな大事なことを決めるんですか......?」
「橙々。たかがじゃんけんって言う時点で、もうあかんのや」
「でも、角......さま。そりゃ全部負けたけど、でもじゃんけんやし、勝つことも負けることもあるやん?」
「ほな、俺とじゃんけんしよか?」
「うちと角兄さまが?なんで?」
「ええから。これで橙々が勝ったら、言うこと聞いたるわ」
む、とした橙々と弐角のじゃんけんは、もちろん弐角が全部勝った。
「な、なんで......」
「ふわあ。これ、めっちゃ疲れるな。すごいですね、成人さま」
「んー。椿となら、疲れない」
「ああ......うん、せやな」
弐角は、橙々の耳に顔を近付けて、何か言った。橙々が、九鬼の人らしい細くて長い目を大きく見開く。それから、俺を見て、椿を見て......。
「ほな、橙々と椿でじゃんけんしてみ」
「訳分かりません、若様。これと、護衛をやめさせられる話と、何の関係があるんです?」
「ええから、やり。命令や。ほら、じゃんけんぽん」
最初の一回は、あいこ。はあ、と橙々が息を吐く。橙々がすごく真剣だから、椿からも緊張が伝わってきた。でもやっぱり椿は、ちっとも相手の手を見ていない。相手の出す手を見ないと、勝てないよねえ?なんで、見ないんだろ?見ないと勝てないのに。じゃんけんに勝てって言われてるのに。
「ええか?もう一回いくで。......あいこでしょ」
弐角の合図で、二人が出した手は、橙々の勝ち。うん。やっぱり、橙々はよく鍛えている。
「できました!」
「ほらな」
「せやけど、簡単なことちゃいます。成人さま、すごいです」
何にもすごくないよ。橙々もできたでしょ?
「何なんです?何のカラクリか私だけ知らなんだら、勝てるわけ無い!」
うーん。椿たちは、じゃんけんをあんまりしないのかな。でも、じゃんけんの事は知っていたし、同じかけ声だった。あ、そうか。いつもは目隠しじゃんけんみたいな感じ?じゃあ、教えてあげないと。
「じゃんけんは、相手が出す手を見て、勝つ手を出すでしょ?椿はちっとも見てないから、誰にも勝てないんだよ」
「へ?」
相手の出す手を見るんだよって教えても、壱臣は、いや、見えんけど?って言ってたから、鍛えていない人は見えないんだって、俺は知ってる。でも、護衛を名乗ってるなら鍛えてるのは当たり前。いつもは目隠しじゃんけんだとしても、俺のじゃんけんを見て、弐角と才蔵はすぐに気付いた。だから、椿は本当は、自分で気付かなくちゃいけなかった。
橙々の護衛だと名乗るなら。
「びっくりやわ。じゃんけんが、えらい事になってたわ」
やっぱり弐角たちは、いつもは目隠しじゃんけんなのかあ。うちと一緒だ。そうじゃないと、同じ人ばかり負けちゃうもんね。
「イカサマ......?」
「いかさまって何?」
「何か細工があって、ズルをしていると思われてるってことだな」
「さいく。ずる」
「まあ、気にするな。そんなこと言う時点で、どうしようもない」
「な......な、な......」
うーん。そうだね。
「おしまい。ね?駄目だったでしょ、橙々」
「え?いや、でも。たかがじゃんけんで、こんな大事なことを決めるんですか......?」
「橙々。たかがじゃんけんって言う時点で、もうあかんのや」
「でも、角......さま。そりゃ全部負けたけど、でもじゃんけんやし、勝つことも負けることもあるやん?」
「ほな、俺とじゃんけんしよか?」
「うちと角兄さまが?なんで?」
「ええから。これで橙々が勝ったら、言うこと聞いたるわ」
む、とした橙々と弐角のじゃんけんは、もちろん弐角が全部勝った。
「な、なんで......」
「ふわあ。これ、めっちゃ疲れるな。すごいですね、成人さま」
「んー。椿となら、疲れない」
「ああ......うん、せやな」
弐角は、橙々の耳に顔を近付けて、何か言った。橙々が、九鬼の人らしい細くて長い目を大きく見開く。それから、俺を見て、椿を見て......。
「ほな、橙々と椿でじゃんけんしてみ」
「訳分かりません、若様。これと、護衛をやめさせられる話と、何の関係があるんです?」
「ええから、やり。命令や。ほら、じゃんけんぽん」
最初の一回は、あいこ。はあ、と橙々が息を吐く。橙々がすごく真剣だから、椿からも緊張が伝わってきた。でもやっぱり椿は、ちっとも相手の手を見ていない。相手の出す手を見ないと、勝てないよねえ?なんで、見ないんだろ?見ないと勝てないのに。じゃんけんに勝てって言われてるのに。
「ええか?もう一回いくで。......あいこでしょ」
弐角の合図で、二人が出した手は、橙々の勝ち。うん。やっぱり、橙々はよく鍛えている。
「できました!」
「ほらな」
「せやけど、簡単なことちゃいます。成人さま、すごいです」
何にもすごくないよ。橙々もできたでしょ?
「何なんです?何のカラクリか私だけ知らなんだら、勝てるわけ無い!」
うーん。椿たちは、じゃんけんをあんまりしないのかな。でも、じゃんけんの事は知っていたし、同じかけ声だった。あ、そうか。いつもは目隠しじゃんけんみたいな感じ?じゃあ、教えてあげないと。
「じゃんけんは、相手が出す手を見て、勝つ手を出すでしょ?椿はちっとも見てないから、誰にも勝てないんだよ」
「へ?」
相手の出す手を見るんだよって教えても、壱臣は、いや、見えんけど?って言ってたから、鍛えていない人は見えないんだって、俺は知ってる。でも、護衛を名乗ってるなら鍛えてるのは当たり前。いつもは目隠しじゃんけんだとしても、俺のじゃんけんを見て、弐角と才蔵はすぐに気付いた。だから、椿は本当は、自分で気付かなくちゃいけなかった。
橙々の護衛だと名乗るなら。
「びっくりやわ。じゃんけんが、えらい事になってたわ」
やっぱり弐角たちは、いつもは目隠しじゃんけんなのかあ。うちと一緒だ。そうじゃないと、同じ人ばかり負けちゃうもんね。
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