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第七章 冠婚葬祭
65 甘酸っぱいお話 弐角
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「まあ、伴侶候補からは選びきれず、橙々にお願いした次第」
頭に浮かんだ場面を振り払うて、簡潔にまとめる。
「大事なところが飛んだぞ」
緋色殿下の楽しそうな顔に、はあと溜め息をこぼした。
「そんなん聞いて、何が面白いんです?」
「お前の反応が面白い」
「大して興味無いでしょうに」
「はは。バレたか」
「何?何が飛んだの?」
うん。成人さまは、飛んだ内容も分かっとらん。色っぽい話をする面子ちゃうやろ。
「うちは聞きたいなあ」
茶を啜っていた臣が、おっとりと言った。お前かて、そんな話聞いても分からへんやろ。
「……伴侶選べ、て言われた時に、橙々がええ、て思たから、言うてみたら、了承して貰えたんです」
「へええ。急に?急に言うて大丈夫やったん?」
「いや。橙々がええ、て自覚してからは、少しずつ、一応、妹やとは思っとらんてことは伝えつつ……」
あああ。何で俺はこんなとこでこんなこと言わなあかんの。こんな話、大して興味無い人ばっかりやのに!
興味無いて言うたくせに、殿下がわざわざ橙々に聞く。
「伝わってたのか?」
「あの。もともとうちも、角兄さまのこと、憧れの、人やったから、急に、何か変わって、驚いたけど、兄妹ちゃうって知ってたし、言われたら、まあ、嬉しかったんやけど……」
「へ?」
え?ええ?そうやったん?知らん。そんなん知らんかったで。え?憧れの人?俺?
「え?え?ほんまに?」
「え?角兄さまやなければ、そんなん引き受けてへん。当主の伴侶なんて、大変すぎやし。うち、礼儀の勉強はあんまりちゃんとしてへんかったから、頑張っても、前からしとった人からしたら腹立つ状態みたいで、色々言われるし。正解も、よう分からんし」
「そ、そうか。ごめんな」
「え?やから、角……さまのためやから、その」
橙々が、赤くなってうつむいた。
うわあ。なんやこれ、何やこれ、照れる。嬉しいやん。え?橙々もちゃんと、俺のこと好きやったん?うわ。ええこと聞いた。何か、家族の情に訴えて、なし崩し的に婚約者にしたような、そんな後ろめたさがあったから、そうやなかったって知れて嬉しい。
「弐角。良かったなあ。おめでとう」
臣が、にこにこと俺の頭を撫でる。成人さまが、にこにことこちらを見とる。殿下が、ふ、と笑う。
やば。俺、今、どんな顔しとる?
頭に浮かんだ場面を振り払うて、簡潔にまとめる。
「大事なところが飛んだぞ」
緋色殿下の楽しそうな顔に、はあと溜め息をこぼした。
「そんなん聞いて、何が面白いんです?」
「お前の反応が面白い」
「大して興味無いでしょうに」
「はは。バレたか」
「何?何が飛んだの?」
うん。成人さまは、飛んだ内容も分かっとらん。色っぽい話をする面子ちゃうやろ。
「うちは聞きたいなあ」
茶を啜っていた臣が、おっとりと言った。お前かて、そんな話聞いても分からへんやろ。
「……伴侶選べ、て言われた時に、橙々がええ、て思たから、言うてみたら、了承して貰えたんです」
「へええ。急に?急に言うて大丈夫やったん?」
「いや。橙々がええ、て自覚してからは、少しずつ、一応、妹やとは思っとらんてことは伝えつつ……」
あああ。何で俺はこんなとこでこんなこと言わなあかんの。こんな話、大して興味無い人ばっかりやのに!
興味無いて言うたくせに、殿下がわざわざ橙々に聞く。
「伝わってたのか?」
「あの。もともとうちも、角兄さまのこと、憧れの、人やったから、急に、何か変わって、驚いたけど、兄妹ちゃうって知ってたし、言われたら、まあ、嬉しかったんやけど……」
「へ?」
え?ええ?そうやったん?知らん。そんなん知らんかったで。え?憧れの人?俺?
「え?え?ほんまに?」
「え?角兄さまやなければ、そんなん引き受けてへん。当主の伴侶なんて、大変すぎやし。うち、礼儀の勉強はあんまりちゃんとしてへんかったから、頑張っても、前からしとった人からしたら腹立つ状態みたいで、色々言われるし。正解も、よう分からんし」
「そ、そうか。ごめんな」
「え?やから、角……さまのためやから、その」
橙々が、赤くなってうつむいた。
うわあ。なんやこれ、何やこれ、照れる。嬉しいやん。え?橙々もちゃんと、俺のこと好きやったん?うわ。ええこと聞いた。何か、家族の情に訴えて、なし崩し的に婚約者にしたような、そんな後ろめたさがあったから、そうやなかったって知れて嬉しい。
「弐角。良かったなあ。おめでとう」
臣が、にこにこと俺の頭を撫でる。成人さまが、にこにことこちらを見とる。殿下が、ふ、と笑う。
やば。俺、今、どんな顔しとる?
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