【完結】人形と皇子

かずえ

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第七章 冠婚葬祭

57 緋色とおんなじがいい!  成人

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「うふふー」
「今度は何だ?」

 緋色ひいろが、俺をぎゅうって抱っこしながら言う。
 あれ?
 いつの間にか緋色ひいろの膝の上にいた。隣に座ってお話してたはずなのに。
 ま、気持ちいいからいいか。

「半助が指輪してる」
「そりゃしてるだろ」

 だって仕事中は指に付けてない人も多いから、ちゃんと付けてるの見ると嬉しい。

「う、うちも、旅行中は付けとこかな」
「うん!」

 それがいいよ、壱臣いちおみ。鎖つけて首に掛けてても、見えないもん。

「あー、あの!色々と!色々と聞いてもええですか」

 弐角にかくが大きな声を出した。
 何なに?

「まず!おみの結婚式は、いつなんです?」
「いつって?」
「日にちです、日にち!俺も参加したいから、教えてください」
「うーん⋯⋯。あ、お洋服ができたら!」
「お、それでいいな。全員分の服ができたら結婚式だ。作治さくじが張り切ってたからな、良いのが仕上がりそうだな。いいな。成人なるひとの式用の服も作りたいな。作るか」
「俺の?俺のお洋服作るなら、緋色ひいろと一緒のがいい。お揃い。格好良いの」

 緋色ひいろと一緒の服は、格好良い。格好良いの、好き。

「折角、式用の服なんだから、華やかなのにしろ。きっと似合うぞ。俺は華やかなのは似合わないからな。軍服でいい」
「じゃ、俺も軍服ー」
「それも悪くないが、折角の結婚式だぞ。緋椀ひまり用の華やかなのをお前も一緒に着れば、よく似合うんじゃないか」
緋椀ひまりと一緒なの着るのは作治さくじでしょ。俺は緋色ひいろとおんなじがいいの!」
「ふっ。緋椀ひまり作治さくじがお揃いにしたら、作治さくじが面白いことになるだろうが。ははははは」
「やるって祈里いのりが言ってたもん」
祈里いのり?誰だ?」
「衣装部の女の人。友だち」
「へえ」
「あのー」

 ん?どうしたの、弐角にかく

「あー、いや、常陸丸ひたちまる。つまり日にちは決まっとらんの?」
「ええ、はい」
「でも、結婚式をすることは決まっとる、と」
「そうなります」

 はああ、と溜め息が聞こえる。どうかした?

「うちでするんだから、別にいつでもいいだろうが」
「そやけど、おみの結婚式ってところで、俺のことを思い出してほしかったです。俺の式の招待状も送っとるんやから」

 弐角にかく、ちょっと怒ってる。ごめん。離れたところにも家族がいるって、俺、知らなかったんだ。

「だーかーら、結婚式は色々と手間がかかるって言ったでしょうが」

 そういえば常陸丸ひたちまる、言ってたね。

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