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第三章 幸せの行方
52 成人 62
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「お茶を運ぶのが、仕事なの?」
「色々あるけど。」
俺は仕事中なので、あまりお喋りをする気はない。でも、村正さんの部屋にお客様をご案内してると思えば、まあ、少しくらいは喋ってもいいか。
「俺と買い物に行くんだろ?いつ行く?」
急に出ていって、しばらく来なかったくせに勝手だなあ。
「緋色に聞いてみる。」
「なんで殿下が出てくるんだよ。」
「緋色も行くから。」
「は?なんで?」
「デートは、緋色としかしない。」
「デート?ただ買い物に行くだけだろ?」
「でも、駄目。」
ちょっと機嫌の悪い力丸は放っておいて、村正さんの部屋の前でノックをする。返事を聞いて、扉を開けて。
「失礼、します。お茶を、お持ちしました。」
「ご苦労様。ありがとうございます。」
大きな机の前に座って仕事をしていた村正さんが、にこりと笑ってくれる。
力丸も、失礼します、と入ってきた。
「今日からお世話になります。」
「ああ。聞いています。そちらに座っていて。」
力丸は勧められたソファに座り、村正さんもそちらに移動したので、ソファの前の机に湯呑みを二つ置いて頭を下げた。
そのまま出ていこうとすると、力丸が振り返る。
「ちょっと待ってろよ。付いていってやるから。」
「いらない。」
「は?」
「失礼しました。」
頭を下げて、扉を閉める。さて、次は吉野にお茶をあげよう。
部屋を訪ねて吉野にお茶を出すと、手作りの鞄と財布をくれた。丈夫な帆布で作られた鞄は、斜め掛けにするとちょうど左腰の辺りにおさまった。ボタンは片手で開けやすいようにマグネットで、手を離したら勝手にくっついてくれる。暖かみのある白に、真っ赤な大きいボタンが綺麗だった。お財布も同じ布とボタンで作ってくれた。
嬉しい!
「ありがとう、吉野。」
吉野は、にこっと笑う。
「なるちゃん、ご苦労様。また、おいで。」
「うん。」
飴を一つくれたから、鞄の中に財布と一緒に入れた。
厨房でワゴンを返して、食堂の机を拭く。
忙しい。
楽しい。
お昼ごはんを食べるために座ると、あっという間に眠たくなった。
「色々あるけど。」
俺は仕事中なので、あまりお喋りをする気はない。でも、村正さんの部屋にお客様をご案内してると思えば、まあ、少しくらいは喋ってもいいか。
「俺と買い物に行くんだろ?いつ行く?」
急に出ていって、しばらく来なかったくせに勝手だなあ。
「緋色に聞いてみる。」
「なんで殿下が出てくるんだよ。」
「緋色も行くから。」
「は?なんで?」
「デートは、緋色としかしない。」
「デート?ただ買い物に行くだけだろ?」
「でも、駄目。」
ちょっと機嫌の悪い力丸は放っておいて、村正さんの部屋の前でノックをする。返事を聞いて、扉を開けて。
「失礼、します。お茶を、お持ちしました。」
「ご苦労様。ありがとうございます。」
大きな机の前に座って仕事をしていた村正さんが、にこりと笑ってくれる。
力丸も、失礼します、と入ってきた。
「今日からお世話になります。」
「ああ。聞いています。そちらに座っていて。」
力丸は勧められたソファに座り、村正さんもそちらに移動したので、ソファの前の机に湯呑みを二つ置いて頭を下げた。
そのまま出ていこうとすると、力丸が振り返る。
「ちょっと待ってろよ。付いていってやるから。」
「いらない。」
「は?」
「失礼しました。」
頭を下げて、扉を閉める。さて、次は吉野にお茶をあげよう。
部屋を訪ねて吉野にお茶を出すと、手作りの鞄と財布をくれた。丈夫な帆布で作られた鞄は、斜め掛けにするとちょうど左腰の辺りにおさまった。ボタンは片手で開けやすいようにマグネットで、手を離したら勝手にくっついてくれる。暖かみのある白に、真っ赤な大きいボタンが綺麗だった。お財布も同じ布とボタンで作ってくれた。
嬉しい!
「ありがとう、吉野。」
吉野は、にこっと笑う。
「なるちゃん、ご苦労様。また、おいで。」
「うん。」
飴を一つくれたから、鞄の中に財布と一緒に入れた。
厨房でワゴンを返して、食堂の机を拭く。
忙しい。
楽しい。
お昼ごはんを食べるために座ると、あっという間に眠たくなった。
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