上 下
79 / 89

生配信29 看病?

しおりを挟む
 どうも、皆さん。サキサキこと佐々木です!

 今、私は滝くん家に来ています。

 今回で2回目なのかな、滝くん家に来たのは。

 滝くんは隣の寝室で眠っているので、この場には私とえっちゃんしかいません。

「ねぇ、サキちゃん! ここが滝さんの家なんだ。結構綺麗にしてるんだね!」

「えっちゃん、シーだよ。寝てるんだから」

 滝くんを起こさない様にしなくてはならないのに、えっちゃんときたら、初めてこの家に来たことで興奮して。

「ねぇ、サキちゃん」

「うん、何?」

「見て!」

 私の顔の前で広げられる布。最初はなんなのか分からなかったが、よく見ると、

「ちょっ! 何してるの、えっちゃん!」

「滝さんのパンツ!」

 黒色のボクサーパンツが私の目の前に。

 た、滝くんはボクサーパンツ派なん………ってそうじゃない!

「えっちゃん、いい加減静かにしないと怒るよ」

「はーい」

 ソファに座るもキョロキョロするえっちゃん。

 もう、本当に子供なんだから。

 えっちゃんが取り出してきた滝くんのパンツを畳みながら、えっちゃんを見る。

「このパンツは何処から持ってきたの?」

「あそこのタンスから!」

「そう、じゃあ片付けてき」

「そういえば、なんか女性用の物もあった様な」

「………片付けてくるから大人しくしてて」

 女性用の物って………下着のこと?

 でもでもでも、滝くん「彼女さん? いないない」って言ってたし。

 え、じゃあえっちゃんが見たものは誰の下着?

 頭の中がグルグルしてきたが、見れば分かること。

 ゴクリ。

 人様のタンスを開けるのはいけない事。でも、私の場合は許されるよね?

 だって、えっちゃんが取り出して来たものを片付けるためだもん。

 決して、どんなパンツがあるんだろう、女性用の下着ってどういう事、とか1ミリも思ってないから。

 そう言い聞かせて、タンスを開ける。

「ん? えっちゃん、何処に女性の下着があるの?」

 タンスの中には黒色のパンツしか入っていなかった。

 えっちゃんの方を振り向くと、口元がピクピクと動いている。

 な、なるほどね、おちょくったのね。

「べ、別にフフフッ、あるとは言ってないしねクククッ」

 ベシッ。

「痛いな、叩かなくても良いじゃん!」

「うるさい」

 大人を揶揄うからです。

「ひまひまひま!」と言うえっちゃんは置いといて、滝くんは何か食べたのだろうか?

 食べてないならお粥でも作ってあげようかな。

 私は「漁ったりしないんだよ」とえっちゃんに釘を刺し、台所へと向かう。

 材料はここに来る前に買っておいたので、あとはを見ながらお粥を作るだけ。

 お粥にレシピが必要かって?

 必要でしょ? だって、爆発とかしたら困るじゃない。

 レシピ通りに作れば爆発を防げるし、美味しくも作れる

 さて、レシピを検索しますか。

 スマホで『お粥 美味しい』で検索をかけていると、

「そういえば!」

 何かを思い出した様にえっちゃんが近付いて来て、「良かったね」と耳打ちしてくる。

 何が良かったのだろうか、とえっちゃんに向けて首を傾げると、

「ほら、さっきさ『佐々木さんは美人だ』って滝さん言ってたじゃん」

「………」

 ポーッと頬から顔全体にかけて熱が広がってくるのが分かる。

 今、きっと顔は真っ赤になってるのだろう。

「おかしいな、サキちゃんより、JKブランドのわたしを可愛く見れないなんて熱でも………あるんだった」

 滝くんの言葉を思い出して惚けていると、聞き捨てならない言葉が聞こえて来た気がする。

「ゔうん! まあ、えっちゃんみたいなよりも大人の魅力がある私の方が好きみたいだね」

「おっぱいはわたしの方が大きいけどね!」

「スタイルは私の方が良いけどね」

 決して譲れない女の戦いが起きる。

「ガキンチョ」

「おばさん!」

「まだ24ですけど? おバカさんですか?」

「高校生はもうガキンチョじゃないんじゃないですかね? この貧乳!」

「カップ数が1つ上だからってマウント取らないでもらっても良いですかね?」

「上は上ですから!」

 ぐぬぬぬ、と威嚇し合う私とえっちゃん。

 ここに第三者がいたら、きっと私達の後ろに虎と龍が見えているのだろう。

「———聞いてくる」

「ん?」

「だから、滝さんに聞いてくれば解決よ!」

「ちょ、ちょっと待ちなさい!」

 えっちゃんを捕まえようとするも、あと指1本分足らず行かせてしまった。

「えっちゃん、なんで私達が滝くん家に来たのか忘れてない?」

 そうこぼすも、えっちゃんには届いてなかった。

「………お粥でも作るか」

 私は検索しっぱなしだったスマホを手に持ち、レシピ通りにお粥を作る。

「どうでも良い事を病人に聞くんじゃあねぇ!」

「だって!」

 ふっ、これだからお子様は。

 起こされた滝くんの元に行き、お粥が作り終わる事を伝える。シュンとしたえっちゃんの手を引き、居間へと連れ帰ることも忘れていない。

「今日は滝くんの看病に来たんだよ、えっちゃん」

「………そういえばそうだった」

 えっちゃんの面倒を見ながら、お粥の完成を待つ。

「よし、出来た」

 出来立てほやほやのお粥を滝くんのところに持っていく。

「はい、あーん」

「待って、ちょっと待って! 湯気が、絶対熱いでしょ! 口元に持って来たってあっつうう!」

 こうして無事に看病をすることができました!

「………これ、塩と砂糖間違えてない?」

「サキちゃん、料理下手だし、甘党だから」

 お粥も綺麗に食べれて偉いね、滝くんにえっちゃん!









 


 







しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】箱根戦士にラブコメ要素はいらない ~こんな大学、入るんじゃなかったぁ!~

テツみン
青春
高校陸上長距離部門で輝かしい成績を残してきた米原ハルトは、有力大学で箱根駅伝を走ると確信していた。 なのに、志望校の推薦入試が不合格となってしまう。疑心暗鬼になるハルトのもとに届いた一通の受験票。それは超エリート校、『ルドルフ学園大学』のモノだった―― 学園理事長でもある学生会長の『思い付き』で箱根駅伝を目指すことになった寄せ集めの駅伝部員。『葛藤』、『反発』、『挫折』、『友情』、そして、ほのかな『恋心』を経験しながら、彼らが成長していく青春コメディ! *この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件・他の作品も含めて、一切、全く、これっぽっちも関係ありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

Guraduation

後藤千尋
青春
テーマは多様性。 高校2年生の彼らが『ワル』になり 誰かの心を救うかもしれないお話。 元々台本として書いたものを小説に直して書きました☺︎ 筆者の事情により かなーり遅い筆ております すみません🙇‍♀️

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

おそらくその辺に転がっているラブコメ。

寝癖王子
青春
普遍をこよなく愛する高校生・神野郁はゲーム三昧の日々を過ごしていた。ルーティンの集積の中で時折混ざるスパイスこそが至高。そんな自論を掲げて生きる彼の元に謎多き転校生が現れた。某ラブコメアニメの様になぜか郁に執拗に絡んでくるご都合主義な展開。時折、見せる彼女の表情のわけとは……。  そして、孤高の美女と名高いが、その実口を開けば色々残念な宍戸伊澄。クラスの問題に気を配るクラス委員長。自信家の生徒会長……etc。個性的な登場人物で織りなされるおそらく大衆的なラブコメ。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...