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Evo17 「ソニアの脅威」

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 私を独り占めしたいと考えてしまった魔美華ちゃんは、魔術師である卑美呼さんの遣いになってしまったのです。

 そして私達は戦う事になってしまったのですが、私は天使エム君の能力で、魔美華ちゃんと硬い縁を結び、落着となりかけたのでした。

 だけど、安堵する魔美華ちゃんの背中を、他の遣いであるソニアちゃんが撃ち抜いてしまったです。その能力により魔美華ちゃんの魔力は消え失せて行き、最終手段として魔術師の卑美呼さに、遣いの任を解かれてしまったのでした。

 そして魔美華ちゃんは、数年分の記憶を消された状態で一般世界へと戻る事になってしまったのです。


「アキナ君、魔美華ちゃんの居場所を特定出来る?」

「お安い御用だよ。ん~……自宅で寝てるね」

 魔美華ちゃんの記憶は3年分程消されていたらしく、中学3年生の記憶に戻されていた様でした。そして、3年前も夏休みであった為、家で寝ていたみたいです。


「私、魔美華ちゃんの所へ行って来るね」

 魔法の国から直で、魔美華ちゃんの家の前へ移動した私。そして、魔美華ちゃんの部屋へと入れて貰う事になりました。因みに、私と魔美華ちゃんは中学1年生からの親友なのです。


「どうしたの翡翠、急に押し掛けて?」

「魔美華ちゃん、微分積分とは?」

 私は少し前に勉強の復習としと、魔美華ちゃんに教えた問題を出してみました。しかし当然、チンプンカンプンな魔美華ちゃんだったのです。


「うう……じゃあ、アリスちゃんは覚えてる?」

「アリス? 不思議の国に行っちゃった、ちょっとアレな人の事?」

「惜しいっ。魔法の……いえ、何でもないです」


 その後も私は何度か質問してみましたが、結果は同じであったのです。

 だけど、夏休みが終われば魔美華ちゃんは高校に行かなければいけないので、それまでに何とかしようと私は考えていました。

 そして翌日、バイト先にアリスちゃんと笑姫ちゃんを呼び、相談する事となったのです。


「魔美華が遣いになっていたのですか?」

「うん。でも任を解かれて、記憶を消されちゃったみたいなの」

「成る程。じゃあ、魔美華さんの記憶を取り戻す方法を考えたら良いんだよね」

 3人は、少しの間沈黙し考えました。そして先ず、1つの方法を思い浮かべたアリスちゃんが意見したのです。


「簡単です。魔美華をタコ殴りにすれば良いのですよ」

「アリスちゃん、それってショック療法だよね? 普通に無理かと」

 存在しない記憶を、殴ったところで思い出す事は無いでしょう。そして次に、笑姫ちゃんがまともな意見を出してくれたのです。


「私のタロット魔法の1つに、『運命の輪』 って言う能力があるんですけど、それを使えばもしかしたら……」 

 運命の輪は別名『ロウ デ フォーチュン』 と言うらしのですが、能力として『転換』 の力を持つ魔法だそうです。

 この力をどう使うのかは、まだ私には分からなかったのですが、一先ず笑姫ちゃんは魔術師の元へ行き、魔術師アライスターさんに詳しい情報を聞く事になりました。そして一瞬で帰って来た笑姫ちゃん。


「どうだった、笑姫ちゃん?」

「えっとですねぇ、何とかなるかも知れないのですがぁ……」

 笑姫ちゃんが言うには、転換魔法により魔美華ちゃんに起きた状況だけを巻き戻すと言う方法であったのです。

 そしてそこから転換魔法を応用させ、魔美華ちゃんの記憶だけを前に進める事により、思い出させる事が出来るかも知れないらしいのですが。

 だけどその方法の成功確率は、10%しかないと笑姫ちゃんは聞かされてたそうなのです。もし失敗すれば反動で、魔美華ちゃんの記憶は更に失わされてしまうかも知れないと告げたのでした。


「どうします、翡翠? これ以上、ややこしくするのは得策ではないよ」

 私は少し考えた後、今の状況を笑姫ちゃんに占って貰う事にしました。そして私は、1枚のカードを引いたのですが、そのカードは『女教皇』 であったのです。これは別名『ハイ プリステス』 と言うらしく、『安心』 を意味するカードであったのでした。


「笑姫ちゃん、魔美華ちゃんの記憶を取り戻して」

 3人は、魔美華ちゃんの家へと向かう事になりました。だけど魔美華ちゃんは、アリスちゃんと笑姫ちゃんの事を忘れてしまっている為、取り敢えず私の友達だと誤魔化し、部屋へ上げて貰う事となったのです。

 そして笑姫ちゃんは、魔美華ちゃんの今後を占うと言う名目で魔法を掛ける事にしたのでした。


「それでは魔美華さん、目を閉じて下さい」

 この間に笑姫ちゃんは変身し、ロウ デ フォーチュンを魔美華ちゃんに掛けました。そして数秒後、静かに目を開く魔美華ちゃんであったのですが……。


「魔美華……ちゃん?」

「え? 何で3人が私の部屋にいるのよ? 不法侵入的な?」

「記憶が……戻ったんだねっ!?」

 笑姫ちゃんの魔法は無事、魔美華ちゃんの記憶を取り戻していたのです。

 だけどその効果は完全では無く所々抜けていて、魔法に関する事はスッポリ消えていました。そこで私達は話を濁す様に誤魔化したのです。

 そして落ち着いた頃、魔美華ちゃんに異変が起きたのでした。


「あれ、あれれ? 私……何で涙が溢れてるんだろう? でも……翡翠……なんかゴメン」

「何が?」

「私……翡翠を……傷付けた気がするの。だから……翡翠っ!!」

 エム君のの能力で掛けた縁は、切れる事など無かったのです。

 そして私の胸に埋もれ泣き崩れる魔美華ちゃんと、魔美華ちゃんを笑顔で抱きしめた私でした。終わり良ければそれで良しなのです。

 と、その頃、魔法の国にて。


「我を彩りしその力 今この時この瞬間 世界を塗り替えん……ブレンダ……エボリューションっ! レオナ、強化武器を精製するんだっ!」

「遅いわ。ガンガー、彼女を餌にしちゃって良いわよ~」

 ブレンダさんとソニアちゃんが戦っていたのです。

 そして、ガンガーは『ワニの化身』 であるそうなのですが、ブレンダさんを容赦無く痛め付けて行ったそうです。

 だけどブレンダさんもミケランの能力である『生命の吹き』 の魔法を使ったらしく、身体の再生をしながら持ち堪えていたと、私は後に知る事になりました。


「クソっ……。(このままでは、魔力が尽きてしまう。しかし負ける訳にはっ!)」

「どうしたの? もう抵抗しないなら、終わらせちゃうわよ~」

「…………フェルメっ!!」

 フェルメは『青いターバン』 を意味するらしく、頭に巻き付ける事により、最後の力を振り絞る能力を持つそうです。

 そしてブレンダさんはその力によりガンガーを引き裂く事が出来たらしいのですが、そこで力尽きてしまったのだと聞いています。


「凄い、凄~い。ガンガーを素手で倒したのは貴女が始めてよ。でもね……ハヌマーン、踏んづけちゃいなよ」

 ハヌマーンは『大猿』 の化身であるそうで、そのままブレンダさんを踏み潰してしまったと……。

 そしてブレンダさんの魔力は残り僅かとなってしまったのですが、その時マリアさんが現れたらしいのです。


「何をしているのですかっ」

「あっ、もう1人湧いてきた。でも、今日は疲れたから帰るわね。バイバ~イ」

 マリアさんはブレンダさんに駆け寄ったそうなのですが、風前の灯になってしまったていたブレンダさんの魔力。 


「ブレンダ、しっかりなさい」

「マリア様……申し訳御座いません……私は……ここまでです」

 ブレンダさんは薄れ行く意識の中、マリアさんに抱き抱えられていたそうです。そして。


「……ブレンダ、貴女の記憶は数年分消えてしまうでしょう。しかし……また、私の肖像画を描いて下さいな」

「……はい。マリア……様」

 ブレンダさんは小さく頷き、言葉を噛み締めながら一般世界へと戻って行ったそうです。

 そして時を待たず、ソニアちゃんは次の標的へと向かっていたらしいのですが、その場所とは。


「後9人かぁ。だけど、この調子なら楽勝ね」

「ちょっとアンタ、うちの領土ギリギリで何やってんのよ? まさか入れろって言うんじゃ無いでしょうね?」

 ブレンダさんの次は、ルアンユーさんの領土へと出向いていたソニアちゃん。


「え? 何で分かったの?」

「そんなん分かるに決まってんでしょっ! まあ良いわ。子供を相手するのは気が引けるけどね」

 ルアンユーさんは変身呪文を唱え先制したそうです。だけどソニアちゃんもそれに合わせるかの様に対応したと、私は聞きました。


「あ~あ。短気は損気だよ。ヴリトリ、遊んであげなさい」

 ヴリトリは『蛇の化身』 だそうです。蛇はその見た目から考えられない程の動きで、木から木へと飛び移る事が出来るそうで、最大で100m程、飛べる蛇もいるらしいのだとか。

 でもヴリトリは重力を全く気にせず空を飛び回り、ルアンユーさんに襲い掛かったらしいのです。


「キッモ。だけど、この程度の魔物なんかっ。黼、コイツを八つ裂きにするわよっ!」

 黼(ほ) は『斧』 を意味し、『断ち切る』 能力を持つそうです。そしてルアンユーさんは見事、ヴリトリを鎮める事となったらしいのですが。


「へ~。良く切れる斧だね。蛇のブツ切りって、食べられるのかなぁ?」

 己を守護する魔獣を、食べようと考えたソニアちゃん。流石のルアンユーさんも危険な存在だと気が付き、一旦距離を取る事にしたそうです。


「……あんた、最近じゃ見ない顔ね?いつ、遣いになったのよ?」

「1週間前だよ。でも私は、生まれた時から素質があったんだぁ」 

 神に愛され、生まれて来たと言われているソニアちゃん。産声を上げると共に、病院の周りには沢山の動物が集まって来ていて、まるでソニアちゃんの誕生を祝っている風景であったらしいのです。


「あんたそれ、祝われてるんじゃ無くて、祟られてんじゃないの?」

「違うよ。私はね、動物だけじゃなくて、神様にも愛されてるんだよ。スーリア、この人を焼き殺して」

 スーリアは『太陽神』 を示し、光と共に『高熱を発する』 能力を持つそうです。


「ぐっ、藻、私を冷やしなさいっ!」

 藻(も)は『水と清浄』 の能力を持つそうで、その力によってルアンユーさんは、スーリアの攻撃を何とか凌ぐ事となっていたらしいのです。だけど、ソニアちゃんは立て続けに魔法を放ち出したと、私は聞きました。


「面倒な人だなぁ。ピシャーチャ、メガナーダ、さっさと終わらせちゃって」

 ピシャーチャは『鬼神』、メガナーダは『羅刹王』 であるらしいです。


「くそっ、何よこの魔法の力は……」

 2体の攻撃により防御に徹するルアンユーさんと、それを楽しそうに眺めているだけのソニアちゃん。力の差は歴然であったらしいです。

 そして…………。


「ピシャーチャ、メガナーダ、トドメを刺しちゃいなさい」

 左右から振り下ろされた大剣により、ルアンユーさんの身体は真っ二つにされてしまったそうなのです。


「がはっ!!」

「はぁ、後8人かぁ……。もう飽きて来ちゃった。でも、シャリニヴァーサとの約束は守らなきゃね」

 絶大な魔法を宿しているソニアちゃんは、今回の戦いで3人目の遣いを倒してしまったのでした。

 だけど、ソニアちゃんは今よりも幼い時期に、魔法の使い方を誤り1度臨死状態になってしまった事があるそうなのです。その時ソニアちゃんを救った者が、インドの魔術師シャリニヴァーサさんであり、最近漸く物心がついて来たと判断し遣いにしたのだと、私は後に知る事になりました。

 でもソニアちゃんの魔法には物を精製する能力が無いらしく、神黒翡翠を手に入れる願いとして、自分だけのお菓子の国を作って貰う事であったそうなのです。

 そして次の標的として向かった先は、雲影さんの領土であったと聞きました。


「貴様、魔力が底無しであるのか……」

「その格好、日本の言葉でコスプレって言うんだよね。ソニアも着てみたいなぁ」

「愚弄するのも大概にしておけ。秘術忍法、飛跳雷速っ!」

 避ける場所など無い程の手裏剣を投げ付けた雲影さん。だけどソニアちゃんは、いとも容易く防いでしまい、攻撃に転じていたそうです。


「ルドラ、ラートリー」

 ルドラの暴風を使い全ての手裏剣を吹き飛ばし、ラートリーの『夜の女神』 で辺りを闇にしたソニアちゃんだったそうです。


「ふっ。飛跳雷速を破った事は褒めてやるが、魔法の使い方を誤ったな。暗闇は忍者にとって最適な場所よっ!」

 雲影さんは電光石火の術で暗闇の中を、目にも止まらぬ速さで駆け抜けたそうです。

 そして金遁の術(手裏剣を投げ、その音で自分の居場所を誤認させる) を使ったらしく、最大秘術忍法の隠剣の神髄である『神魔滅殺』 で仕留めに入ったそうなのですが。


「神を滅殺ねぇ。……そんなの人間に出来る訳無いじゃん」

 ソニアちゃんは雲影さんの技を受ける瞬間、ヤマ の能力である『冥界の主』 を使い、逆に雲影さんを葬り去ってしまったらしいのです。

 これで残る遣いは残り7人になってしまったのでした。私も1度ソニアちゃんと戦ってはいますが、その圧倒的な真髄の力は見ていないのです。このままでは私は疎か、強敵であるソフィーさんでさえ、ソニアちゃんには敵わないかも知れません。

 その頃、私はそんな状況である事もつゆ知らず、夏休みの終わりとして、魔美華ちゃん達と商店街に買い物へと来ていたのでした。


「翡翠、さっき店で貰った、その券は何ですか?」

「これはね、福引が引ける券だよ。3枚あるから皆んなで引いてみよう」

 抽選機を1回しずつ回す私達。


「沖縄旅行当たれ~っ!」

「はい、飴玉3個ね」

 先ずは、魔美華ちゃんが参加賞をゲットしました。続いてアリスちゃんが勢い良く抽選機を回したのです。


「魔美華、こういう事は勢いが大事なのです。デリャーっ!」

「はい、飴玉3個ね」

 アリスちゃんも見事、参加賞をゲットしました。そして最後に私の番となっのですが。


「翡翠、私達の無念を晴らしてよね」

「そうです。飴玉では納得出来ません」

「と、言われましても運ですから。取り敢えず、チョコレートの掴み放題当たってっ!」

 この福引の景品は1等が沖縄旅行で、そこから参加賞の10等まで決められていました。そこで、私がもし5等を当てれば、チョコレートの掴み放題になるのです。


「おめでとう、4等の映画チケット2枚だよ」

 1つ上を当ててしまった私。だけどチケットは2枚であったので、魔美華ちゃんとアリスちゃんは提案してくれたのでした。


「翡翠、そのチケットはさ」

「光也と行って来なさい」

 2人に背中を押され、光也君を映画に誘う事になってしまった私。そして私は、意を決して光也君に話し掛けるのでした。
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