上 下
1 / 24

Evo1 「初めての変身」

しおりを挟む
「それでは頼んだぞ、アキナ」

「かしこまりました、アグリッタ様」

「そうだなぁ、今回は青年を選定して来てくれ」


 ここは、魔術師達が創造した魔法の国だそうです。一般の世界とは次元が異なる場所で、魔法を使う事により空を飛ぶ事や、火や水などを自由に操る事が出来る夢の世界なのですが、そんな幸せな世界にも争い事が起きていました。

 この魔法の国の何処かには、『神黒翡翠』 (しんくろひすい) と呼ばれる強い魔力を持ち、『人生の成功』 が約束されていると言われている、秘宝が隠されているそうなのです。魔術師の中にはその神黒翡翠を我が物とし、魔法の国を支配しようとする者もいるそうなのですが。

 そこで、平和を望む魔術師のアグリッタ・ハインリヒ・コルネリウスさんは、己の魔術により天使を12体創造し、神黒翡翠を見付け出せる者を探そうとしていたのです。

 そして天使の一人であるアキナキエル君は今、『遣い』 を探す為に一般世界へ向かおうとしてたのでありました。


「さて、アグリッタ様から預かった地図を広げてっと……えいっ」

 アキナ君は地図に宝石を投げ付け、行き先を決め様としていたそうです。そしてそれにより示された場所は、とても小さな島国、日本であったのでした。

 その頃、日本のある私達の高校では生徒達が下校し始める時間帯であったのです。


「翡翠、藍原君帰っちゃうよ」

「わわわ……分かってます」

 私は、同級生の藍原 光也(あいはら こうや) 君に片思いをしている、同い年の若竹 翡翠(わかたけ ひすい) です。これと言った特技などは無いのですが、光也君を想う気持ちだけは……。


「さて、バイトに行くか」

「あのっ、光也君……」


 私は勇気を振り絞り、やっとの思いで光也君に声を掛けました。しかしその後の言葉が思い浮かばず、固まってしまう事になってしまったのです。


「どうした、翡翠?」

「えとぉ……今日も快晴だね~……なんて……」

 結局、本日も告白は疎か、まともに話す事も出来なかった私……。

 光也君と私は小学生からの知り合いなのですが、私の臆病な性格の為、関係は一向に進ま無いままでありました。そして、友達の魔美華ちゃんからも呆れられてしまう事になってしまったのです。


「翡翠は、臆病者確定ね」

「その通りです……」 

 その頃アキナ君は日本に到着していたらしいのですが、何と光也君を遣いに選定しようと考え、観察を始めていたと、後に私は聞かされる事になりました。

 そしてその結果、光也君の適正はバッチリであったそうで、アキナ君は一段落してから話し掛ける事にした様です。

 因みに、アキナ君の姿は一般人には見えないらしいのですが、適正者には見る事が出来るのだとか。


「光也、注文聞いて来てくれ」

「はいっ。いらっしゃいませ~」

 光也君が働いている店は、個人経営の喫茶店だそうなのですが、中々の混み具合であった様です。

 そして夜になり、光也君は仕事を終え帰宅する事になり、アキナ君もタイミングを見計らい話し掛けたと言っていました。


「疲れた……さっさと帰えろう」

「あの~、ちょっといいですか?」

「……ヤベ。疲れ過ぎて幻聴まで聞こえて来たぞ」

 その時、光也君はアキナ君の声と姿をはっきり認識していたらしいのですが、常識的に考えて、羽を生やし飛んでいる物体が存在する訳が無いと、無視をしたそうです。

 そしてその後、アキナ君は何度か光也君に話し掛けたらしいのですが、やはり全く聞き入れて貰えない状況であったと言っていました。

 と、そこへ、夜食を買いに来ていた私が、偶然光也君を目撃する事になったのです。


「あれ、光也君だ?」


 光也君に気付いて貰おうと、何度も話し掛けるアキナ君と、何を話せば良いのかを考えないまま、取り敢えず光也君の元へ駆け出す私。


「ちょっと、聞いてます?」

「くそっ、目の前にいる変な物体が消えないぞ……」

 仕事の疲れとアキナ君のささやきで、注意散漫になっていたのでしょう。光也君は赤信号を無視し、横断歩道を渡ってしまったのです。

 そしてそこに、1台の乗用車が進入して来てしまい…………。


 それを目撃した私は、直ぐに光也君の元へ駆け寄ったのですが。


「光也……君? 光也君っ!!」

「あわわ、これって僕の性?」


 私は救いを求め叫び続けました。そして私の正面では、アキナ君が慌てふためいていたのです。しかし、光也君が轢かれた場所は人通りも少なく、等の運転手は走り去ってしまっていた為、私は成す術がない状態でした。


「光也君、しっかりしてっ!」

「えとぉ……君の名前は?」

「……先ずは止血をしようっ」


 一瞬、アキナ君の姿と声を認識した私。しかし無視して、光也君の介抱をしていました。


「いや、僕の事見えてるよね? 君の・な・ま・え・は?」 

 私はキョトンとし、何故こんな緊急時に幻覚を見ているのかと不思議に思っていました。

 だけどアキナ君は私に、光也君なら助ける事が出来ると告げ、その前に名前を教えて欲しいと尋ねて来たのです。

 そこで私は、光也君が助かるのならばと考え、取り敢えずその物体(アキナ君) に名前を名乗る事にしました。


「私は……若竹 翡翠です。君……光也君を救えるの?」

「うん。その代わり、翡翠にお願いがあるんだ。後で話すから、今は彼の身体を治療しよう」

 私は良く理解出来ないまま、アキナ君の言葉を了承してしまいました。だけど、今起きている出来事は、夢なのだと思い込む事で納得していたのです。

 でも夢の中であれ、光也君を見捨てる事は出来ないと考え、その不思議な物体に光也君を救う様、願った私でした。

 そして私の了承を得たアキナ君は、その場に別の天使を呼び出す事にしたのです。


「どうしたの、アキナ?」

「ミルキ、彼の傷を治して欲しいんだ」

 この物体はミルキダエルさんと言い、魔術師アグリッタさんが創造した、アキナ君と同じ天使の1人でありました。

 そしてミルキさんは、3月の誕生石であるアクアマリンを示し、『癒し』 や『治癒』 等の能力を発揮出来るらしいのです。


「分かったわ。でもアキナ、本当に彼女で良いのね?」

「うん。『翡翠』 って言うらしいんだけど、この人も適正者だよ」

「そう……確かにこの人なら」


 ミルキさんは、自分が今から私と同化する事により、光也君を助ける事が出来る様になると言いました。しかし私は、その前にしなければいけない事があったのです。

 それは天使さんを同化させる為に、『変身』 する事が必要であったのでした。

 そしてアキナ君はその呪文を私に教え、私は変身すると同時に、ミルキさんを同化させる事になったのです。


「分かりました。……我に宿りしその力 今この時この瞬間 開放へと導かん……翡翠……エボリューションっ!」

 私は、両手の指を胸の前で組みながら呪文を唱えました。と、その瞬間、私の身体を鮮やかな透明白色の光が覆っていたのです。

 そして少し大人びた私の身体と、どう言う原理だかは分からないのですが、私はナース姿に変身していたのでありました。

 続いてアキナ君は私に、光也君の損傷部位に手を当てる様指示を出したのです。私はまだ半信半疑でしたが、言われた通り3秒程手を当てる事にしました。すると、光也君の損傷部位は、徐々に塞がって行ったのです。


「うぅっ……ここは……」

「光也君っ!」

 目覚める光也君でありましたが、アキナ君はその場から私を近くの公園へと転送してしまいました。それは、魔法の力を一般人に見せたり、話したりしてはいけないと言う、ルールがあるからだったそうです。

 そしてもし知られてしまうと、魔法は2度と使え無くなるとアキナ君は念を押していました。

 更にアキナ君は、私に魔法を与えた代わりの約束として、自分達の願いを聞いて欲しいと告げたのです。


「私に出来る事なら言って下さい」

「僕達は今、ある物を探しているんだ。それを翡翠にも手伝って欲しいんだよ」

 そのある物とは冒頭で話した、神黒翡翠の事でした。神黒翡翠を手に入れられる者は基本1人だけであり、魔術師達は我先にと遣い達に指示を出し、探させているそうです。

 そして探す手掛かりてして、神黒翡翠からはほんの少しだけ魔力を放っている為、それを頼りに探せば良いとアキナ君は言っていました。

 しかしその神黒翡翠の魔力を感知出来る者は、一般社会に住む者だけであり、更には適正を持っている者でなければ探せないらしいのです。

 それは、アキナ君の様な魔力を与えられた者達も、ある程度は感知出来るらしいのですが、やはり遣いに任せた方が確実であるのだと、私は教わる事になりました。


「私に……その適正があるんですか?」

「うん。本当はさっきの青年を選定しようとしてたんだけど、翡翠にも素質があったんだよ」

「光也君に……」


 その後、私は完全な理解を出来ないまま帰路に就き、深い眠りへと入る事となりました。先程起きた出来事は夢か幻であったのか、おぼろげな記憶を辿りながら……。

 そして翌朝、私の家にて。


「翡翠、朝よ~」

「……ぁ~い。あれ? 私いつのまに寝たんだっけ? あっ、そう言えば昨日、光也君を助けて……」 

 朝御飯を食べる為、食卓へ向かう私でしたが、そこで母の指に絆創膏が巻かれている事に気が付きました。母は朝御飯を作る最中、包丁で切ってしまったらしいのです。

 そこで、昨晩光也君を治療した事をおぼろげに思い出した私は、母の手を取り少しの間眺めました。そして母の指に手を当て、治る様念じてみたのです。


「ちょっと絆創膏剥がすね。……あれ、治ってない?」

 それは当然の事であったのです。私が治癒魔法を使えたのは、天使であるミルキさんが同化した事による現象であったからなのでした。今の私は普通の一般人である為、不思議な力は使えないのです。

 そして昨晩の出来事は、やはり夢であったと結論付けてしまったまま、私は学校へと向かう事になりました。


「おはよう、翡翠。どうしたの、ボヤけた顔して?」

「魔美崋ちゃん、おはよう。何か昨日ね、変な夢を見ちゃったの」

 と、そこへ私達に続き、登校して来た光也君。そして光也君は不思議そうな顔で私に、昨晩会っていないかと尋ねて来たのでした。

 そこで漸くアキナ君の存在を思い出した私。そして魔法の事は、口止めされていた事も思い出し、会っていないと嘘をつく事になりました。


「そうだよな。何か俺、気付いたら路肩で寝てたんだよ」

「光也君は頑張り屋さんだもんね」

「だけどさ……」


 光也君が寝ていた場所には、私がいた様な気がすると言い出してしまいました。しかし私は何とか誤魔化し、気の性だったと言う事で光也君を納得させる事になったのです。

 そして放課後、私はまだ疑心暗鬼のまま帰宅する事になりました。


「んん~、やっぱり私、あの変な生き物に会ってるよねぇ?」

「変な生き物じゃないよ。僕は天使のアキナキエルって言うんだ」

「あっ、あなた……。と言うか、天使?」

 何処からともなく現れたアキナ君。しかし、アキナ君の存在は普通の人には見えない為、ここで話しをしていると私が独り言をしている愉快な人になってしまうと告げられたのです。

 そして、自分達が住んでいると言う魔法の国へと、私は連れて行かれる事になりました。


「ここが魔法の国だよ。一般世界とは、全然違うでしょ?」

「綺麗な場所だねぇ。それに、とても暖かくて落ち着く……」


 私は、当然始めて見る世界でしたが、何故か驚きはしませんでした。この魔法の国には、所かしこに天然石が散りばめられ、正に宝石箱の中にいる様な場所であり、恐れを感じなったのです。

 そしてアキナ君は、私をある場所へと案内しました。そこで私を待ち受けていた人は、城の主人である魔術師のアグリッタさんであったのです。


「ようこそ、若竹 翡翠さん。お待ちしていましたよ」

「は、初めまして……」


 アグリッタさんはアキナ君に指示を出し、食事の用意をさせる事にしていました。

 そしてそこへ、私と同化し魔法の力を貸してくれたミルキさんが現れ、挨拶をしてくれたのです。


「こんにちは、翡翠さん」

「貴女は治癒の魔法を与えてくれた……」

「ミルキダエルよ。ミルキで良いわ」


 状況を今一把握出来ない私だったのですが、アグリッタさんは自己紹介を兼ねて身の上話を始めてくれました。

 自分は魔術師であり、アキナ君やミルキさんの様な『天使』 と名付けた者達を、12体創造していると。

 そして私に、お願いしたい事があるのだと言ったのです。


「えとぉ……神黒翡翠の事ですよね? アキナ君から聞きました」


 現在、魔法の国にはアグリッタさんを含め、何人かの魔術師が存在しているそうです。しかしその魔術師の中には悪しき事を考えている者もいて、神黒翡翠の力を使い、この魔法の国を支配しようとしているのだとアグリッタさんは説明してくれました。

 それほどまでに、神黒翡翠の力は膨大であるらしいのですが、逆に皆んなの為に使う事が出来れば、多くの人が幸せになれるとも。

 しかし魔術師の『遣い』 は、一般人なら誰でも良いと言う訳ではないらしく、私や光也君の様な適正者はそう簡単に見付かる訳では無いらしいのです。

 一般人でも稀にですが、微量の魔力を生まれた時から宿している人がいて、その人に遣いになって貰うしか無いとのだ言っていました。

 だけどアキナ君は、いとも容易く私や光也君の様な適正者を見付ける事が出来ていました。

 それはその能力によるものらしいのですが、アキナ君は11月の誕生石であるトパーズを示し、『何かを探す事』 や、『環境が変わった時に力を貸してくれる』 能力が備わっているのだそうです。


「そう……だったんですね」

「翡翠さん、私も貴女を見て直ぐに分かりました。翡翠さんなら、神黒翡翠を見付け出してくれる筈です」

「私からもお願いするわ。この平和な魔法の国を守って欲しいの」


 突拍子もない話に巻き込まれてしまいそうな私。今まで平々凡々と過ごして来た自分に、宝物探しなど出来るのかと言う不安が、頭の中で渦巻いていました。

 勿論、私以外にも魔術師達が遣いにしている人達はいて、その遣い達と戦う事で勝ち残らなければいけないと言う試練もあるのだそうです。

 そこで、私の出した答えは……。


「はい、是非手伝わせて下さいっ」

 この返事により、私は遣いとして人生を歩む事になってしまったのです。それは希望と同時に、悲しみの未来も待っている事など気付けないままに……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

悪役令嬢にざまぁされた王子のその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。 その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。 そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。 マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。 人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

加護を疑われ婚約破棄された後、帝国皇子の契約妃になって隣国を豊かに立て直しました

ファンタジー
幼い頃、神獣ヴァレンの加護を期待され、ロザリアは王家に買い取られて王子の婚約者となった。しかし、侍女を取り上げられ、将来の王妃だからと都合よく仕事を押し付けられ、一方で、公爵令嬢があたかも王子の婚約者であるかのように振る舞う。そんな風に冷遇されながらも、ロザリアはヴァレンと共にたくましく生き続けてきた。 そんな中、王子がロザリアに「君との婚約では神獣の加護を感じたことがない。公爵令嬢が加護を持つと判明したし、彼女と結婚する」と婚約破棄をつきつける。 家も職も金も失ったロザリアは、偶然出会った帝国皇子ラウレンツに雇われることになる。元皇妃の暴政で荒廃した帝国を立て直そうとする彼の契約妃となったロザリアは、ヴァレンの力と自身の知恵と経験を駆使し、帝国を豊かに復興させていき、帝国とラウレンツの心に希望を灯す存在となっていく。 *短編に続きをとのお声をたくさんいただき、始めることになりました。引き続きよろしくお願いします。

処理中です...