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後悔と…
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しおりを挟む記憶がない。
たしか俺、隼人の家で…………
「おはよう。ふーくん。」
「…え、」
「気分はどう?大丈夫?」
…は?
なんで、なんで雄斗がここに…
というか、ここは何処…
「…状況を把握できないからって俺を睨まないでよ。ちょっと離れてたからって調子乗ってる?」
雄斗はそうニコリと笑い、俺の体を起こす。
「さぁ起きて。ここ、何処か覚えてる?」
「……雄斗の、家?」
「家、だけど惜しい。誰の部屋でしょう。」
誰の部屋…?
たくさんの、うさぎのぬいぐるみとお姫様が使うようなベッドと机。
…?
棚の上に写真がある。
「…この女の子………」
「麻耶だよ。」
「麻耶……あ、」
「一応精神安定剤打ったからそこまで取り乱さないと思う。自分の腕、見てみて?」
腕……?
なんだ、この大量の切り傷は。
「雄斗、お前がやったのか?」
「違う。やる訳ない。ふーくんがやったんだよ。」
「は…?」
俺が?
やってない。
記憶にない。
「まぁ…、結構荒れてたしね。」
そう言って雄斗は俺にスマホを見せてきた。
「この動画見て。」
「動画?」
雄斗が俺に見せた動画。
小さい箱のような部屋で叫び、泣いて、壁や物、隼人に当たっている俺がいる。
こんな記憶ない。
「美しい。」
雄斗が耳元で言う。
美しい…?こいつは何を言ってるんだ?
なんで隼人がいる?
なんで俺は麻耶の部屋に?
でも、1つ分かったことがある。
「過去の話って…麻耶のことだったんだな。」
「…うん。」
「復讐のつもりか?前に…俺をレイプしたのも、俺の母さんのことも…」
「復讐………?」
「俺も無責任な言葉で麻耶のことを守っていたけど…だけど」
「復讐なんて軽いものじゃないよ。」
「え」
雄斗は俺を押し倒し、キスをした。
「んっ…」
隼人とは違うキス。
レベルが違う。
口内の気持ちいいところ全部舌で撫でてくれて、隼人と比べて丁寧にしてくれる。
「っ…はぁっ」
「あれは俺だって悪い。いや、周りの大人が全部悪いんだ。」
風は何も悪くない” そう言ってまたキスをする。
(俺は、どうしたらいいんだ。)
チラリと腕を見ても痛々しいほどの切り傷。
こんなものだけじゃ、俺の罪は許されないよな。
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