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子供
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しおりを挟む現在、まだ15階。
遅すぎないか?このエレベーター。
早く、早く開いてくれ。
じゃないと…
「梶原…」
隼人がなんか知らんけど色っぽい顔で見つめてくる。
近い。
あと少しでキスしそうな距離……
「そんなに頬を赤らめて可愛い顔してたら誰だって襲いたくなっちゃうよ。」
「へ…?」
「あっ、20階。着いたよ。ほら行こ。」
「あぁ…?おう…」
え?
何?
何の時間?
キスされるかと、思った…
やばい。本当にやばい。雄斗のせいでそう考えてしまう。
せっかく助けてくれたのにこんなこと考えてしまうなんて、やっぱり俺は異常だ。
「そんな泣きそうな顔しないで。」
隼人が俺の頭を撫でる。
「試すようなことしてごめん。でもちょっと妬いちゃった。」
困ったような顔で微笑む隼人。
だけど隼人の言ってる意味が分からない。
(なんで妬くんだ…?)
まさか俺のこと好き…なんてことないよな。
「いや、こっちこそ何かごめんな…」
「別に謝る必要ないのに。」
こっちだよ、と隼人は部屋を案内してくれて案外エレベーターから近い距離に隼人の部屋はあった。
「ちょっと待ってね。」
隼人はそう言ってカードキーで扉を開けた。
「はい、どうぞ入って良いよ。」
「あっお邪魔します…」
家の中にお邪魔すると玄関とは思えないくらい広いスペースに、自転車も置いてある…
それになんか柑橘系の良い匂いまでする。
「その扉開けてリビング入っていいよ。」
「あ、うん…」
扉を開ける。
お金持ちやセレブの人って部屋の家具が少なくて、その代わりカッコよくて収納できる高そうな家具が沢山置いてあるじゃん?
隼人の家はまさにそれだ。
「隼人…お前の家お金持ちだったんだな…」
「うん。まぁその代わり仕事で全然親は帰ってこないけどね。」
「あっ、そうなんだ…」
「それよりも、ここはオートロックで防犯対策もバッチリな安全地帯だよ。梶原、いま親に電話しな。」
「え」
「このままじゃ行方不明届け出されちゃうから、友達の家にしばらく居るとか言いなよ。」
「確かに…わかった、」
母さんと電話か…
膝から崩れ落ちて泣いてた母さんが最後に見た親の像…
でも電話は掛けないと行方不明届けだされて隼人に迷惑かけちまうし…
プルルル…プルルル…ガチャッ
「あ、母さん。もしもし。しばらく友達の家に泊まるから。」
「…そうなのね。分かったわよ。」
プチッ
プー…プー…プー…
え、早。
めっちゃ早く電話終わった。
「もう終わったの?早いね~」
「うん…大丈夫かな…」
「”大丈夫”?どうかしたの?」
「あ、いや…」
「まぁ、あとで話は聞くよ。その前にお腹減ってない?それともお風呂?それとも、俺?」
「ははっ…何言ってんだよ」
隼人は優しいな。
こういう時は笑わせてくれるし、いざとなったら助けてくれるし。
俺が女だったら惚れてたかも、なんてな。
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