26 / 127
子供
1
しおりを挟むこれからどーしよ。
手元にあるのはスマホだけ。
もうちょっと計画立ててから雄斗と喧嘩して、家出すれば良かったかな。
そうだ。
俺はずっとそうだった。
いつも後先考えずに行動して後悔して、その度に雄斗が助けてくれる。
………
嫌な気分になってきたな。
とりあえず隼人に電話してみるか?
でもちょっとお節介じゃないかな、
うん、本気でどうしよ。
ブーッ
メールが来た。
(誰だ、雄斗か?)
『梶原、大丈夫?』
隼人だ。
「隼人……」
「『やばい。』」
『やばいって何?今何処?』
「『2丁目のコンビニ前』」
『今から行く。』
まじか。
来てくれるんだ。
「優しいな…」
頭の良い隼人は察してくれたんだろう。
本当に頼もしい。だけど、なんか申し訳ないな。
家出した話とか、雄斗の話とか、どうやってしよう。
なんか適当な口実考えておくか、……?
うーん、うーん、と首を捻って考えていると後ろからまた声が聞こえた。
「かーじはらっ」
「隼人…」
思ったよりも早く隼人は着いた。
走ったのか、少し息が乱れていて少し髪の毛が崩れている。
「走ったの?」
「うん。梶原の為に走ったんだよ?俺の嫌な予感、当たったしょ?」
「………まあな。」
「で、今は家に帰れない状況ってこと?」
「…本当にお察しがいいな、隼人君は。」
「予言者なんで☆」
「なにそれ…」
隼人は少しふざけたようにそう言ったけど、俺は笑える気になれない。
「とりあえず水飲む?コンビニで買うよ。」」
「えっ、いいよ…」
「いやいや、なんか気分悪そうだから水とか飲んだほうがいいって。一応トイレも行きな。」
こいつ、俺がゲロ吐いたの知ってるのか…?
「お前さ、雄斗とグルじゃないよな?」
「は?そんな訳ないでしょ。」
「あ、ごめん…」
いつもヘラヘラしてる隼人にしては少しキレ気味になったのですぐに謝った。
本当に、こいつは超能力者なのか?
配慮と予言者と察しが良すぎる……
「はい、お水。」
「ありがと…」
「いえいえ。それよりも、これからどうしよっか。梶原は家、帰れそう?」
「……帰れない。」
「そっか。」
少し沈黙が続く。
隼人が帰ってしまったら俺はホームレス生活。
もう外も暗いしまだ季節は春だし、こんな薄着じゃ絶対寒い。
凍死するのか?
雄斗に殺されかけて、次は凍死とか…
結局死ぬ運命なのかよ。
「梶原。」
「ん?」
隼人が真面目な顔をしてこちらを見る。
「うち来る?」
10
お気に入りに追加
235
あなたにおすすめの小説

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる