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出会いました
準備は万全…旅の始まりです
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「アルス!」
「ミーナ。いくら嫌いだからって決めつけてはダメだよ。それに、マイアは行くと言っているんだ。頭ごなしに止めるのはよくない」
「でも」
「ダメ。マイアは行きたいんでしょう?」
「うん!」
力一杯頷くと父は優しく笑って頷き返してくれました。
「それなら行きなさい。朝食を作っておくから、準備をしておいで。一人でできるね?」
「うん!」
普段は頼りない父だけど、たまには頼りになる。
母に一番負けるのは父です。だけど、母を抑え込むことができるのも父です。
私は安心して後のことを父に任せ、自分の部屋に戻りました。
「雨除け、着替え、傷薬とか、薬系は一応一通り持っていこう。手土産は…途中の街で買うとして、後は何が必要でしょうか。一応毛布も持って行ったほうがいいですかね?」
徒歩しか行く手段がないのでできるだけ身軽になって行く方が負担が少なくてすみます。
(保存食と路銀はお父さんにもらおう)
薬草や木の実を拾うために買ってもらったリュックに必要なものを入れて、リビングに戻ります。
お母さんはふてくされたような顔をしていたけど、お父さんは笑って手を招いてくれました。
「用意はできたかい?」
「あの、路銀と保存食を少し欲しいです」
「ああ、そうだね。それは持ってきてあげるから、ご飯を食べなさい」
「うん」
用意されていたのはスクランブルエッグとサラダ、スープとパン。そんなありきたりな朝ごはんです。
だけど、しばらくは食べれなくなるのが少しだけ寂しくて、味わって食べようと思いながらパンに手を伸ばしました。
「本当に行くの」
パンを持った時、不意にお母さんが話しかけてきました。
もしかしたら今日はこれ以上話せないかもしれないと思っていたから、少しだけ驚きました。
「うん」
「女の一人旅は危ないのよ?」
「知ってる。でも、おばあちゃんは一人暮らしだから心配なの」
まっすぐに目を見て言ったら渋々とだけど頷いてくれました。
そして、片手を出されます。何かを渡したいらしいです。
「お守り。ちょっと大きいけど、持って行って。ちゃんと私に返してね」
「うん!!」
渡されたのはお母さんが大事にしているペンダント。赤い目を持つ鹿が掘られています。
この国で鹿は神獣です。そして、鹿の彫られたものをお守りに渡すのも定番とされています。
内心気まずい朝食になるかも…とおもっていたけど、それは杞憂で気持ちが軽くなりました。
「マイア。リュクの中に入れておくよ」
「うん!」
朝食を食べ終わり、準備も終わりました。
私は家の前に立ちます。
「いってきます」
「「いってらっしゃい」」
私は背を向けて村の外への一歩を踏み出したのでした。
「ミーナ。いくら嫌いだからって決めつけてはダメだよ。それに、マイアは行くと言っているんだ。頭ごなしに止めるのはよくない」
「でも」
「ダメ。マイアは行きたいんでしょう?」
「うん!」
力一杯頷くと父は優しく笑って頷き返してくれました。
「それなら行きなさい。朝食を作っておくから、準備をしておいで。一人でできるね?」
「うん!」
普段は頼りない父だけど、たまには頼りになる。
母に一番負けるのは父です。だけど、母を抑え込むことができるのも父です。
私は安心して後のことを父に任せ、自分の部屋に戻りました。
「雨除け、着替え、傷薬とか、薬系は一応一通り持っていこう。手土産は…途中の街で買うとして、後は何が必要でしょうか。一応毛布も持って行ったほうがいいですかね?」
徒歩しか行く手段がないのでできるだけ身軽になって行く方が負担が少なくてすみます。
(保存食と路銀はお父さんにもらおう)
薬草や木の実を拾うために買ってもらったリュックに必要なものを入れて、リビングに戻ります。
お母さんはふてくされたような顔をしていたけど、お父さんは笑って手を招いてくれました。
「用意はできたかい?」
「あの、路銀と保存食を少し欲しいです」
「ああ、そうだね。それは持ってきてあげるから、ご飯を食べなさい」
「うん」
用意されていたのはスクランブルエッグとサラダ、スープとパン。そんなありきたりな朝ごはんです。
だけど、しばらくは食べれなくなるのが少しだけ寂しくて、味わって食べようと思いながらパンに手を伸ばしました。
「本当に行くの」
パンを持った時、不意にお母さんが話しかけてきました。
もしかしたら今日はこれ以上話せないかもしれないと思っていたから、少しだけ驚きました。
「うん」
「女の一人旅は危ないのよ?」
「知ってる。でも、おばあちゃんは一人暮らしだから心配なの」
まっすぐに目を見て言ったら渋々とだけど頷いてくれました。
そして、片手を出されます。何かを渡したいらしいです。
「お守り。ちょっと大きいけど、持って行って。ちゃんと私に返してね」
「うん!!」
渡されたのはお母さんが大事にしているペンダント。赤い目を持つ鹿が掘られています。
この国で鹿は神獣です。そして、鹿の彫られたものをお守りに渡すのも定番とされています。
内心気まずい朝食になるかも…とおもっていたけど、それは杞憂で気持ちが軽くなりました。
「マイア。リュクの中に入れておくよ」
「うん!」
朝食を食べ終わり、準備も終わりました。
私は家の前に立ちます。
「いってきます」
「「いってらっしゃい」」
私は背を向けて村の外への一歩を踏み出したのでした。
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