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脅迫
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マレーシアの日本大使館から、日本の政府官邸に連絡が入った。
「た、大変です、総理!大変な事が起きました!」
連絡を受けた外務大臣が、総理大臣の元に駆け付けた。
「どうしたの?」
総理大臣が間の抜けた返事を返す。
「マレーシアから知らせがあって、あのSTEが誘拐されたそうです!」
外務大臣の説明に総理大臣は、
「STE?」
はてな顔である。
「Save The Earthです!アイドルの!」
外務大臣がそう言うと、
「な、なんだとー!?あのSTEがかぁ?!確かなのか?」
やっと事情が呑み込めた総理大臣が、素っ頓狂な声を上げた。周りにいた秘書官たちも驚きでみな立ち上がった。
「犯行声明がここに。」
外務大臣はまだ息を切らせながら、手に握りしめていたUSBメモリを見せ、秘書官の1人に渡した。秘書官がパソコンにそのUSBメモリを差し込み、中に収められている動画を再生した。
― はっはっはっはっはー。我々はSTEを誘拐した。日本政府にとっては痛手であろう。我々の要求に従わなければ、24時間ごとにメンバーを1人ずつ殺す―
総理大臣は、その映像を見てひっくり返りそうになり、秘書官に支えられて辛うじて転倒を免れた。
STEを誘拐したのは、アメリカ第一主義をかかげるアメリカの極右団体「Grate America」というグループ(むしろ軍隊)だった。彼らが日本政府に要求した内容は、到底受け入れられるものではなかった。だが、STEは……
「彼らは国宝だ!我が国の、いや、世界の宝なのだ。1人でも欠けてはいかん!どうしたらいいのだ!」
総理大臣も取り乱すはず。STEは今や世界中で人気を誇るアイドルグループであり、名前の通り、地球をも救う尊い存在なのである。
「しかし、彼らの要求に従うわけには……。」
外務大臣が総理大臣の顔色を伺いながら言う。
「分かっておる!何としても、24時間以内に彼らを見つけ出し、救出するのだ!金はいくらかかってもかまわん。そうだ、防衛大臣を読んでくれ。それから、君、アメリカ大使館に連絡してくれ。場合によっては私がアメリカ大統領と直接話す。」
総理が防衛大臣を呼ぶようにと言ったのは、秘書官に向けてである。すぐに防衛大臣がかけつけてきた。
「お呼びでしょうか。」
「困ったことになったのだ。あの、STEがマレーシアで誘拐された。24時間以内に救出しないと、彼らの命が危ないのだ。まず、どこにいるのか、何としても見つけなければならない。マレーシアとも連携して、早急に対処してくれ!」
総理大臣がそう言うと、防衛大臣は、
「な、なんですと!我が国の宝が、誘拐された?!」
素っ頓狂な声を上げた。
「そうだ、これを見てくれ。」
総理大臣は、先程見た犯行声明を防衛大臣にも見せた。
「な、な、何ということ!そんな要求は到底飲めません。だがしかし、STEのメンバーを殺すですと!とんでもない。すぐに見つけ出します!」
「頼んだぞ。」
「はい!では、失礼します。」
防衛大臣は足早に去って行った。
「た、大変です、総理!大変な事が起きました!」
連絡を受けた外務大臣が、総理大臣の元に駆け付けた。
「どうしたの?」
総理大臣が間の抜けた返事を返す。
「マレーシアから知らせがあって、あのSTEが誘拐されたそうです!」
外務大臣の説明に総理大臣は、
「STE?」
はてな顔である。
「Save The Earthです!アイドルの!」
外務大臣がそう言うと、
「な、なんだとー!?あのSTEがかぁ?!確かなのか?」
やっと事情が呑み込めた総理大臣が、素っ頓狂な声を上げた。周りにいた秘書官たちも驚きでみな立ち上がった。
「犯行声明がここに。」
外務大臣はまだ息を切らせながら、手に握りしめていたUSBメモリを見せ、秘書官の1人に渡した。秘書官がパソコンにそのUSBメモリを差し込み、中に収められている動画を再生した。
― はっはっはっはっはー。我々はSTEを誘拐した。日本政府にとっては痛手であろう。我々の要求に従わなければ、24時間ごとにメンバーを1人ずつ殺す―
総理大臣は、その映像を見てひっくり返りそうになり、秘書官に支えられて辛うじて転倒を免れた。
STEを誘拐したのは、アメリカ第一主義をかかげるアメリカの極右団体「Grate America」というグループ(むしろ軍隊)だった。彼らが日本政府に要求した内容は、到底受け入れられるものではなかった。だが、STEは……
「彼らは国宝だ!我が国の、いや、世界の宝なのだ。1人でも欠けてはいかん!どうしたらいいのだ!」
総理大臣も取り乱すはず。STEは今や世界中で人気を誇るアイドルグループであり、名前の通り、地球をも救う尊い存在なのである。
「しかし、彼らの要求に従うわけには……。」
外務大臣が総理大臣の顔色を伺いながら言う。
「分かっておる!何としても、24時間以内に彼らを見つけ出し、救出するのだ!金はいくらかかってもかまわん。そうだ、防衛大臣を読んでくれ。それから、君、アメリカ大使館に連絡してくれ。場合によっては私がアメリカ大統領と直接話す。」
総理が防衛大臣を呼ぶようにと言ったのは、秘書官に向けてである。すぐに防衛大臣がかけつけてきた。
「お呼びでしょうか。」
「困ったことになったのだ。あの、STEがマレーシアで誘拐された。24時間以内に救出しないと、彼らの命が危ないのだ。まず、どこにいるのか、何としても見つけなければならない。マレーシアとも連携して、早急に対処してくれ!」
総理大臣がそう言うと、防衛大臣は、
「な、なんですと!我が国の宝が、誘拐された?!」
素っ頓狂な声を上げた。
「そうだ、これを見てくれ。」
総理大臣は、先程見た犯行声明を防衛大臣にも見せた。
「な、な、何ということ!そんな要求は到底飲めません。だがしかし、STEのメンバーを殺すですと!とんでもない。すぐに見つけ出します!」
「頼んだぞ。」
「はい!では、失礼します。」
防衛大臣は足早に去って行った。
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