上 下
21 / 52

札幌ラーメンを求めて

しおりを挟む
 夫はロング缶を2本飲んでから寝たようだ。よく入るな。でもまあ、夕飯の時間は早かったし、そんなもんなのかな。私は昼のスープカレーで終わってたけど。
 さて、今日(2日目)の朝食は札幌ラーメンにしようという事になった。だが、ラーメン屋は大抵11時半に開店するらしい。ガイドブックを見ても大体そうだし、夫もネットで調べていたが、11時か11時半開店のところが多いと言っていた。
 札幌ラーメンは味噌ラーメンのイメージが強い。しかしガイドブックによれば、最初は醤油が一般的だったのだが、「味の三平」という店が味噌味を考案し、広まったのだとか。実際、醤油ラーメンの店や塩ラーメンの店も見かけた。味噌ラーメンが食べたければ、味噌ラーメンの店に行かなければならない。
 ラーメン屋が多くあるという、すすきのへ行く事にした。
「並んでるか、見たい。」
という夫の要望により、9時過ぎにホテルを出た。またさっぽろ駅からすすきの駅まで2駅分だけ地下鉄に乗り、地上へ出た。すると、目の前にはニッカおじさんが!
 ウイスキーで有名な「NIKKA」だが、赤い帽子を被った、ひげのおじさんの絵がトレードマークだ。目の前には「すすきのビル」があり、そこにでっかいニッカおじさんの看板があったのだ。ガイドブックにも「ニッカおじさんと記念写真を撮ろう」などと書いてあったので、私もここで自撮りを。
 と、そのニッカおじさんの前で視線を右に転じれば、なんと、そこが雪まつりの会場だった。昨日寿司屋から出た時には、どこが会場なんだろうね、と話していたのだ。ここだったか。氷像が道路の真ん中にあるようだが、道路には車が行き交っている。まだ通行止めの時間ではないのだろう。時刻は9:50だ。
 夫にこっちだ、あっちだと言われながら、ラーメン屋を目指して歩いて行った。途中、有名な「ラーメン横丁」の入り口の前を通ったが、全く閑散としていた。まだどの店も開店していないからだろう。
 つまり、朝早くから並んでいるラーメン屋などない、という事なのかと思っていると、あるラーメン屋の扉が開いていて、その外に2人ほど客が並んでいるのを見かけた。店の煙突からは湯気がもうもうと出ており、そろそろ10時だから開店なのかなと思った。すると、少し通り過ぎたところで夫が、
「今のところが、行こうと思っていた店なんだけど。」
と言った。それなら入ればいいと思ったら、
「まだ開店まで30分あるよ。」
と言う。ええ?それじゃ、あの2人はこの寒い中、あと30分もあの狭っ苦しい所に立っているのか?驚いた。まあ、夫がどうしても並びたいと言うなら考えなくもないが、あの店は諦めると言ってくれた。ホッとしたよね。
 実は、その前にちらっと見かけた24時間営業の店があった。ちゃんと味噌ラーメンの店だった。人が入って行くのが見えたので、間違いなく開店していた。一応、そこはスルーしてこの店の前まで来てみたのだが、やっぱりさっきの24時間営業の店に入る事にした。
 やっと10時だが、我々は朝ごはんを食べていないのだ。本当はもう少し早く食べたかったのだが、11時にならないとどこも開いていないと思って、この時間に出てきたのだ。しかし、24時間営業の店があるなら、もっと早く来ても良かったのだ。ちょっと拍子抜けというか、笑えるというか。
 店に入った。食券を買って席へ。ラーメンはすぐに出てきた。私はオーソドックスな味噌ラーメン。夫は麻辣何とかという辛いラーメンにしていた。夫が、
「札幌ラーメンって、デフォルトでコーンとバターが付いてくるわけじゃないんだね。」
と言った。トッピングを追加する事も出来るが、デフォルトで乗っているのはチャーシューとネギ、もやしとひき肉、すりおろしショウガだった。ガイドブックの味噌ラーメンの写真を見ても、大体具はこんな感じだ。これがオーソドックスと思っていいだろう。
 味の方は、思った以上に甘かった。夫が、
「味噌ラーメンは大抵甘いんだよね。だから辛いのにしたんだ。」
と言っていた。なるほど。私はあまり、外で味噌ラーメンを食べた事がないかもしれない。でも、インスタントラーメンの味噌味は、ソースの中に唐辛子が入っていて、辛いというイメージが強い。味噌味が甘いから、唐辛子を加えると良い、という原理なのだろうか。知らんけど。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

初めての一人旅in金沢~富山

夏目碧央
エッセイ・ノンフィクション
 小説はイメージが大事だ。だから作家はミステリアスな方がいい……と、ペンネームを夏目碧央にしてからは、年齢、性別、本職などを明かさずに来た。だが、作風に行き詰まりを感じ、エッセイでも書いてみうようかと思った。幸い一人旅をするチャンスが訪れ、なかなかにドラマチック、いや、珍道中になったので、旅行記を書いてみた。どうも碧央はエッセイが得意分野のようで、ぜひ多くの人に読んでもらいたい出来栄えになった。もうこれは、本性をさらけ出してでも、エッセイを公開するしかない。これを読めば作家のすべてが分かってしまうのだが。  2022年8月、碧央は初めての一人旅に出かけた。新幹線で金沢へ。普段の生活から離れ、自由を謳歌するも、碧央は方向音痴だった……。さて、この旅はどうなるのか。どうか最後まで見届けて欲しい。

カルバート

角田智史
エッセイ・ノンフィクション
連想させるのは地下を走る水。 あまり得るものはないかもしれません。 こんな人間がいる、こんな経験がある、それを知る事でまたあなた自身を振り返る、これからのあなたを考える、そのお手伝いが少しでもできればいいかなと思っています。 また時折出てくる対人間関係のアドラー、フロム、ニーチェに感化された僕の考え方が今後の皆様の生活の参考になる事があれば、幸いです。 もし最後まで、僕にお付き合いされる方がいらっしゃれば、心より感謝致します。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

もちもちもっちー

無言の圧力(むごんさん)
エッセイ・ノンフィクション
文鳥のもっちー(♀)と飼い主男子高校生の日常系ハートフルコメディ。

発達障害の長男と母としての私

遥彼方
エッセイ・ノンフィクション
発達障害の長男と母としての私の関わり方の記録というか、私なりの子育てについて、語ろうと思います。 ただし、私は専門家でもなんでもありません。 私は私の息子の専門家なだけです。心理学とか、医学の知識もありません。きっと正しくないことも語るでしょう。 うちの子とは症状が違うから、参考になんてならない方も沢山いらっしゃるでしょう。というよりも、症状は一人一人違うのだから、違うのは当たり前です。 ですからあなたは、あなたのお子さんなり、ご家族の方の専門家になって下さい。 願わくば、その切っ掛けになりますよう。 ※私の実際の経験と、私の主観をつらつらと書くので、あまり纏まりがないエッセイかもしれません。 2018年現在、長男は中学3年、次男小6年、三男小4年です。 発達障害だと発覚した頃は、長男3歳、次男6カ月、三男はまだ産まれていません。 本作は2017年に、小説家になろうに掲載していたものを転記しました。 こちらでは、2018年10月10日に完結。

短編エッセイ集 さよならハッピーバースデイ(一話完結・短編集)

尾駮アスマ(オブチアスマ おぶちあすま)
エッセイ・ノンフィクション
1話完結、短編作品集、日常のトラウマ的出来事など徒然な記録 もしよければお気に入り登録・投票・感想など、よろしくお願いいたします。 大変励みになります。 ありがとうございます

徒然ホウレン草

ントゥンギ
エッセイ・ノンフィクション
日々のよしなし事を脈絡なく

さたけの男女四人ルームシェア日記

茶竹抹茶竹
エッセイ・ノンフィクション
20歳の男女2人と30歳男2人が色々あってルームシェア。部屋が足りなくてリビングにテントをこしらえたり、極度の人見知りが故に1人はずっと部屋から出てこなかったり。 なし崩し的に家長となった私のノンフィクションエッセイ。

処理中です...