3 / 41
前日
しおりを挟む
出発日前日になった。決めておかないようにしようと思っていても、あれこれ急に調べだしたりするのは、やっぱり私の質だから仕方がない。
実は、スターバックスコーヒー(スタバ)のチケットを持っていた。私は滅多に外でお茶したり外食したりしないので、期限が切れる前に使うには、わざわざスタバへ行かないといけないな、と思っていた。旅行に行って外食するなら、そのタイミングでスタバのチケットを使えばいい。いや、使うべきだ。
最初は帰る日(3日目)の朝食にしようか、と考えていた。松江駅にスタバがある事を突き止めたのだ。しかし、スーツケースを持ったままでいいのか、時間的にどうか、などと不安に思っていたら、ふと前日になって思いついた。
「羽田空港にもスタバがあるんじゃない?」
と。調べたら、あった。これだ。朝はそれなりに早いので、朝食を食べずに家を出て、スタバで朝食を買って、搭乗を待つ間に食べようではないか。すごくいい事を思いついたと思った。
だが、これがけっこう大変な事になるのだ。それは追々語ろう。
衣類を選ぶにも、直前まで迷った。3日目の天気予報を見ると、松江はどうやら気温が低くなるらしい。2日目が暑くて、3日目が寒い。松江の気温は東京と変わらないが、天気は西から崩れるので、1日早く雨が降ったり気温が変わったりする。
どうしようか。気温は20度程度のようだが、もしかしたらもっと寒くなるかもしれない。一応カイロを持っていくか。下着よりも上に着るものの方が、脱着しやすいか。迷った挙句、カイロと毛糸のベストを入れた。
それから、機内持ち込み可能な大きさのスーツケースを持っていくのだが、ふと「機内持ち込み荷物は1人2つまで」というルールを思い出した。家族で行くと、みんなが1つだから、私が3つ持っていても大丈夫だったりするが、1人だと数は明らかだ。実は、ポーチに財布などを入れ、上着や傘などをトートバッグに入れて、2つを持ち歩こうとしていた。だが、機内にスーツケースを持ち込むとなると、合計3つになってしまう。それで、乗り込む時などにはトートバッグにポーチを無理やり入れればいいか……と考えた。が、ふと思いついた。
「やっぱり、スーツケースは預けた方がいいんじゃないか?」
と。そうすれば、空港内のトイレにスーツケースを持ち込む必要もない。そもそも機内の狭い通路を通る際にもあれは邪魔だし、上の棚に乗せるのも一苦労だ。それなら、最初から預けてしまった方が楽ではないか。なぜ預けないつもりだったかと言えば、飛行機を降りた後に、スーツケースが出てくるのを待たなければならないのが嫌だったからだ。でも、オフシーズンにそれほど混み合うわけでもないし、国内線なら機内に持ち込む人が多いから、それほど荷物が出てくるまでに時間もかからないだろう。
とすれば、白いスーツケースに何か目立つ目印が必要だ。赤いハンカチを結ぼうか。
と思ったが、赤いハンカチは古くなって色あせている。じゃあ、こっちの花柄の新しいハンカチにしよう。そう思って結んでいると、次男が帰ってきた。それを見せると、
「うーん、ちょっとおばさん感が……。」
確かに、そんな気がしてきた。おばさん感が出ている。花柄が良くないのだろうか。ならば、やっぱり赤いハンカチの方がいいだろうか。赤いハンカチを出してきて、持ち手のところに結んだ。だが、そのままだとスーツケースを横に寝かせた時に地面についてしまう。
「どうにか、下につかないようにできないかな。」
そう言ってぐちゃぐちゃハンカチをいじっていると、次男が、
「ちょっと貸して。」
と言って、一度結んだハンカチの先を束ねてひねり、輪っかを作って先っぽを通して……適当にやってくれたのだが、それがなかなか可愛いではないか!これはいいぞ。でも、自分では二度と同じように結べない気がする。
「よし、このままで行こう。ずっと、これを付けたままにする。」
決定。
実は、スターバックスコーヒー(スタバ)のチケットを持っていた。私は滅多に外でお茶したり外食したりしないので、期限が切れる前に使うには、わざわざスタバへ行かないといけないな、と思っていた。旅行に行って外食するなら、そのタイミングでスタバのチケットを使えばいい。いや、使うべきだ。
最初は帰る日(3日目)の朝食にしようか、と考えていた。松江駅にスタバがある事を突き止めたのだ。しかし、スーツケースを持ったままでいいのか、時間的にどうか、などと不安に思っていたら、ふと前日になって思いついた。
「羽田空港にもスタバがあるんじゃない?」
と。調べたら、あった。これだ。朝はそれなりに早いので、朝食を食べずに家を出て、スタバで朝食を買って、搭乗を待つ間に食べようではないか。すごくいい事を思いついたと思った。
だが、これがけっこう大変な事になるのだ。それは追々語ろう。
衣類を選ぶにも、直前まで迷った。3日目の天気予報を見ると、松江はどうやら気温が低くなるらしい。2日目が暑くて、3日目が寒い。松江の気温は東京と変わらないが、天気は西から崩れるので、1日早く雨が降ったり気温が変わったりする。
どうしようか。気温は20度程度のようだが、もしかしたらもっと寒くなるかもしれない。一応カイロを持っていくか。下着よりも上に着るものの方が、脱着しやすいか。迷った挙句、カイロと毛糸のベストを入れた。
それから、機内持ち込み可能な大きさのスーツケースを持っていくのだが、ふと「機内持ち込み荷物は1人2つまで」というルールを思い出した。家族で行くと、みんなが1つだから、私が3つ持っていても大丈夫だったりするが、1人だと数は明らかだ。実は、ポーチに財布などを入れ、上着や傘などをトートバッグに入れて、2つを持ち歩こうとしていた。だが、機内にスーツケースを持ち込むとなると、合計3つになってしまう。それで、乗り込む時などにはトートバッグにポーチを無理やり入れればいいか……と考えた。が、ふと思いついた。
「やっぱり、スーツケースは預けた方がいいんじゃないか?」
と。そうすれば、空港内のトイレにスーツケースを持ち込む必要もない。そもそも機内の狭い通路を通る際にもあれは邪魔だし、上の棚に乗せるのも一苦労だ。それなら、最初から預けてしまった方が楽ではないか。なぜ預けないつもりだったかと言えば、飛行機を降りた後に、スーツケースが出てくるのを待たなければならないのが嫌だったからだ。でも、オフシーズンにそれほど混み合うわけでもないし、国内線なら機内に持ち込む人が多いから、それほど荷物が出てくるまでに時間もかからないだろう。
とすれば、白いスーツケースに何か目立つ目印が必要だ。赤いハンカチを結ぼうか。
と思ったが、赤いハンカチは古くなって色あせている。じゃあ、こっちの花柄の新しいハンカチにしよう。そう思って結んでいると、次男が帰ってきた。それを見せると、
「うーん、ちょっとおばさん感が……。」
確かに、そんな気がしてきた。おばさん感が出ている。花柄が良くないのだろうか。ならば、やっぱり赤いハンカチの方がいいだろうか。赤いハンカチを出してきて、持ち手のところに結んだ。だが、そのままだとスーツケースを横に寝かせた時に地面についてしまう。
「どうにか、下につかないようにできないかな。」
そう言ってぐちゃぐちゃハンカチをいじっていると、次男が、
「ちょっと貸して。」
と言って、一度結んだハンカチの先を束ねてひねり、輪っかを作って先っぽを通して……適当にやってくれたのだが、それがなかなか可愛いではないか!これはいいぞ。でも、自分では二度と同じように結べない気がする。
「よし、このままで行こう。ずっと、これを付けたままにする。」
決定。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
初めての一人旅in金沢~富山
夏目碧央
エッセイ・ノンフィクション
小説はイメージが大事だ。だから作家はミステリアスな方がいい……と、ペンネームを夏目碧央にしてからは、年齢、性別、本職などを明かさずに来た。だが、作風に行き詰まりを感じ、エッセイでも書いてみうようかと思った。幸い一人旅をするチャンスが訪れ、なかなかにドラマチック、いや、珍道中になったので、旅行記を書いてみた。どうも碧央はエッセイが得意分野のようで、ぜひ多くの人に読んでもらいたい出来栄えになった。もうこれは、本性をさらけ出してでも、エッセイを公開するしかない。これを読めば作家のすべてが分かってしまうのだが。
2022年8月、碧央は初めての一人旅に出かけた。新幹線で金沢へ。普段の生活から離れ、自由を謳歌するも、碧央は方向音痴だった……。さて、この旅はどうなるのか。どうか最後まで見届けて欲しい。
長年の憧れ!さっぽろ雪まつり~ウポポイ(民族共生象徴空間)
夏目碧央
エッセイ・ノンフィクション
長年の憧れだったさっぽろ雪まつりに行く事に。しかし、寒さが心配。あれこれ準備するが……。予期せぬ前日の用事から始まり、あまりに幸先の悪い出来事。何とか到着したものの、お腹が……。最後まで目が離せない!……多分。
ちゃぼ茶の実際に見た変な夢シリーズ
ちゃぼ茶
エッセイ・ノンフィクション
私ちゃぼ茶は夢を見ることが多くその夢はいい夢ではほとんどないです。後から考えても意味のわからない、ストーリー性が全くない話ばかりです。自己満ですが記録として残せたらなと思います。みなさんが見た変な夢があったら感想で教えてください🙇♂️
とある少年の入院記録
Cazh
エッセイ・ノンフィクション
高校二年の秋——うつ病の僕は入院することとなった。
この日記は、僕の高校生活の中にある空白の三週間を埋めるピースである。
アイコン画像提供
http://www.flickr.com/photos/armyengineersnorfolk/4703000338/ by norfolkdistrict (modified by あやえも研究所)
is licensed under a Creative Commons license:
http://creativecommons.org/licenses/by/2.0/deed.en
姉らぶるっ!!
藍染惣右介兵衛
青春
俺には二人の容姿端麗な姉がいる。
自慢そうに聞こえただろうか?
それは少しばかり誤解だ。
この二人の姉、どちらも重大な欠陥があるのだ……
次女の青山花穂は高校二年で生徒会長。
外見上はすべて完璧に見える花穂姉ちゃん……
「花穂姉ちゃん! 下着でウロウロするのやめろよなっ!」
「んじゃ、裸ならいいってことねっ!」
▼物語概要
【恋愛感情欠落、解離性健忘というトラウマを抱えながら、姉やヒロインに囲まれて成長していく話です】
47万字以上の大長編になります。(2020年11月現在)
【※不健全ラブコメの注意事項】
この作品は通常のラブコメより下品下劣この上なく、ドン引き、ドシモ、変態、マニアック、陰謀と陰毛渦巻くご都合主義のオンパレードです。
それをウリにして、ギャグなどをミックスした作品です。一話(1部分)1800~3000字と短く、四コマ漫画感覚で手軽に読めます。
全編47万字前後となります。読みごたえも初期より増し、ガッツリ読みたい方にもお勧めです。
また、執筆・原作・草案者が男性と女性両方なので、主人公が男にもかかわらず、男性目線からややずれている部分があります。
【元々、小説家になろうで連載していたものを大幅改訂して連載します】
【なろう版から一部、ストーリー展開と主要キャラの名前が変更になりました】
【2017年4月、本幕が完結しました】
序幕・本幕であらかたの謎が解け、メインヒロインが確定します。
【2018年1月、真幕を開始しました】
ここから読み始めると盛大なネタバレになります(汗)
屋台の夜から暮らす猫
猫の侍
エッセイ・ノンフィクション
年に1度のお祭り。初恋の男の子とのデートを親友に譲った私は花火の音で目が覚めた。千里屋台と呼ばれるとても長い屋台の行列。猫じゃらしゲームで出会った猫と儀式をしないと町が滅ぶってどういう事?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる