上 下
14 / 18

耳が弱い?

しおりを挟む
 「もっと……」
テツヤが言った。
「もっと、名前を呼んで。」
俺はテツヤの耳元に唇を寄せ、
「テツヤ、愛してるよ……」
と囁いた。
「あっ……」
本当に名前を囁かれるのが好きだな。
「もっと……」
「テツヤ……」
「あ……レイジ、レイジ……」
テツヤが俺の背中にしがみついた。可愛い。でも、その顔は美しく、艶めかしい。ずっと覚えていたい。会えない間もずっと。
 たくさん愛し合った。これでもう充分という事はないけれど、体力の続く限り頑張った。テツヤが浮気しないように、たくさん自分を刻み込んだつもりだ。もちろん、自分の気持ちも浮つかないように。大丈夫だ。ずっと修行僧のように我慢していた時代があったのだから(テツヤに抱き着かれて寝ながら、ずっと友達を装ってきたのだ)。

 ひとしきり愛し合った後、お風呂に入り、二人ともバスローブ姿になってソファに並んで座った。ルームサービスを頼み、食事が運ばれてくるのを待ちながら隣に座っているテツヤの髪を弄んでいると、ふと疑問が浮かんだ。テツヤはどうしてあんなに名前を呼ばれるのが好きなのか。耳が敏感なのかな、と。
「耳、感じるの?」
耳をいじってみても、それほど反応しないテツヤ。じゃ、試しに名前以外の言葉を囁いてみるか。
「や・き・に・く」
すると、ブルっと体を震わせるテツヤ。
「あれ?名前じゃなくてもいいの?」
「お前は声が良すぎるんだよ。」
テツヤがちょっと頬を膨らませて言った。
「テツヤ……」
また囁いてみると、テツヤはヘタッと俺に寄りかかった。あらら。こりゃ簡単だな。ん?つまり声の良いやつには要注意という事ではないか。また心配の種が……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?

こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。 自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。 ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

プロデューサーの勃起した乳首が気になって打ち合わせに集中できない件~試される俺らの理性~【LINE形式】

あぐたまんづめ
BL
4人の人気アイドル『JEWEL』はプロデューサーのケンちゃんに恋してる。だけどケンちゃんは童貞で鈍感なので4人のアプローチに全く気づかない。思春期の女子のように恋心を隠していた4人だったが、ある日そんな関係が崩れる事件が。それはメンバーの一人のLINEから始まった。 【登場人物】 ★研磨…29歳。通称ケンちゃん。JEWELのプロデューサー兼マネージャー。自分よりJEWELを最優先に考える。仕事一筋だったので恋愛にかなり疎い。童貞。 ★ハリー…20歳。JEWELの天然担当。容姿端麗で売れっ子モデル。外人で日本語を勉強中。思ったことは直球で言う。 ★柘榴(ざくろ)…19歳。JEWELのまとめ役。しっかり者で大人びているが、メンバーの最年少。文武両道な大学生。ケンちゃんとは義兄弟。けっこう甘えたがりで寂しがり屋。役者としての才能を開花させていく。 ★琥珀(こはく)…22歳。JEWELのチャラ男。ヤクザの息子。女たらしでホストをしていた。ダンスが一番得意。 ★紫水(しすい)…25歳。JEWELのお色気担当。歩く18禁。天才子役として名をはせていたが、色々とやらかして転落人生に。その後はゲイ向けAVのネコ役として活躍していた。爽やかだが腹黒い。

イケメンに惚れられた俺の話

モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。 こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。 そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。 どんなやつかと思い、会ってみると……

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

友達が僕の股間を枕にしてくるので困る

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
僕の股間枕、キンタマクラ。なんか人をダメにする枕で気持ちいいらしい。

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる

天災
BL
 高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる。

処理中です...