8 / 11
0章 ~プロローグ~
たとえば、九曜千暁【八】
しおりを挟む
「両者入場~!!!!!」
司会の挨拶とともに花田豪、九曜千暁が会場の両端から中心に近づく。
会場は相変わらず喧噪としている。
目の前にいるのは、準特選組の男だ。果たして俺はやれるだろうか。
さっきまで勝つとか負けるとか考えもしなかったが、今の俺はどうやら勝つことを考えている。華恋に絆されたことは言うまでもない。
「昨日は良く眠れたかい?勝敗が分かっているから逆によく眠れたんじゃないかなぁ?」
花田先輩が皮肉めいた表情で問いかけてくる。
心底、自身の勝利を確信しているといった感じだ。
「いやあ、あんまり眠れなかったっすね。緊張してたんで」
昨夜とは違い、緊張はあるものの落ち着きを払っていた。
「ふーん。まぁどっちでも構わないけど」
つまらなそうにそっぽを向く花田。
俺は、今日負けても良いと思っていた。でもそうじゃなかった。いい加減、前を向こう。深呼吸する。大丈夫だ俺はやれる。
会場は妙な緊張感に包まれ、試合開始を見逃すまいと先程とは打って変わって、静まりかえったいた。
自身の心臓の音がうるさい。
司会が唾を飲み込む音が聞こえる。もう始まるのだろう。
「では、試合を開始する!!!」
司会が声高らかに宣言する。会場中にその声は響き渡り、観客が一斉に声を上げる。ボルテージは最高潮だ。
観客の熱気とは裏腹に主役とも言うべき中央の二人は落ち着いていた。
九曜千暁も花田豪もその場を動くことはない。
意外だった。最初から魔法なりを使ってくると思っていたが、警戒しているのか、それとも俺の出方をうかがっているのか。まあ恐らく後者だろう。
呼吸を整え俺は、一歩後ろに飛び下がる。そして跳躍中に魔法の詠唱を始める。
一瞬花田は、反応が遅れたように見えたが、まだその場を動くことはない。不敵な笑みを浮かべ顎を突き出しながらまっすぐ俺を見つめる。
その隙に高速で詠唱を終え、魔法名を叫ぶ。
「緋弾!!」
日本式の火属性魔法を発動する。
すると、一瞬で炎が形成され、その塊は、花田の元へと向かう。
しかし、花田はレイピアのような自身の神器を魔力で強化し、これをあっさりと切り捨てる。
司会の挨拶とともに花田豪、九曜千暁が会場の両端から中心に近づく。
会場は相変わらず喧噪としている。
目の前にいるのは、準特選組の男だ。果たして俺はやれるだろうか。
さっきまで勝つとか負けるとか考えもしなかったが、今の俺はどうやら勝つことを考えている。華恋に絆されたことは言うまでもない。
「昨日は良く眠れたかい?勝敗が分かっているから逆によく眠れたんじゃないかなぁ?」
花田先輩が皮肉めいた表情で問いかけてくる。
心底、自身の勝利を確信しているといった感じだ。
「いやあ、あんまり眠れなかったっすね。緊張してたんで」
昨夜とは違い、緊張はあるものの落ち着きを払っていた。
「ふーん。まぁどっちでも構わないけど」
つまらなそうにそっぽを向く花田。
俺は、今日負けても良いと思っていた。でもそうじゃなかった。いい加減、前を向こう。深呼吸する。大丈夫だ俺はやれる。
会場は妙な緊張感に包まれ、試合開始を見逃すまいと先程とは打って変わって、静まりかえったいた。
自身の心臓の音がうるさい。
司会が唾を飲み込む音が聞こえる。もう始まるのだろう。
「では、試合を開始する!!!」
司会が声高らかに宣言する。会場中にその声は響き渡り、観客が一斉に声を上げる。ボルテージは最高潮だ。
観客の熱気とは裏腹に主役とも言うべき中央の二人は落ち着いていた。
九曜千暁も花田豪もその場を動くことはない。
意外だった。最初から魔法なりを使ってくると思っていたが、警戒しているのか、それとも俺の出方をうかがっているのか。まあ恐らく後者だろう。
呼吸を整え俺は、一歩後ろに飛び下がる。そして跳躍中に魔法の詠唱を始める。
一瞬花田は、反応が遅れたように見えたが、まだその場を動くことはない。不敵な笑みを浮かべ顎を突き出しながらまっすぐ俺を見つめる。
その隙に高速で詠唱を終え、魔法名を叫ぶ。
「緋弾!!」
日本式の火属性魔法を発動する。
すると、一瞬で炎が形成され、その塊は、花田の元へと向かう。
しかし、花田はレイピアのような自身の神器を魔力で強化し、これをあっさりと切り捨てる。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜
櫛田こころ
ファンタジー
料理人の人生を絶たれた。
和食料理人である女性の秋吉宏香(あきよしひろか)は、ひき逃げ事故に遭ったのだ。
命には関わらなかったが、生き甲斐となっていた料理人にとって大事な利き腕の神経が切れてしまい、不随までの重傷を負う。
さすがに勤め先を続けるわけにもいかず、辞めて公園で途方に暮れていると……女神に請われ、異世界転移をすることに。
腕の障害をリセットされたため、新たな料理人としての人生をスタートさせようとした時に、尾が二又に別れた猫が……ジビエに似た魔物を狩っていたところに遭遇。
料理人としての再スタートの機会を得た女性と、猟りの腕前はプロ級の猫又ぽい魔物との飯テロスローライフが始まる!!
おっかなびっくり料理の小料理屋さんの料理を召し上がれ?
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる