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18 ハヤッチとメーちゃん
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次に眼を覚ますと午前6時過ぎの早朝だった。
しかも二日後の。
そのお陰か細かい傷は癒えて来ているようで、ベタベタと身体に貼られていた絆創膏のようなものやガーゼが取り払われて、肋骨と脚の固定具のみの状態になっている。
骨折やヒビ以外は引き摺られた事による擦り傷が殆どで、一つ一つの怪我は小さかったのだ。
ビンタされた時に負った口内炎みたいな口の中の傷も治っているようだ。これが一番辛かったので助かった。
隣のベッドを伺えば、やはりというか晴人さんが眠っていた。
しかも、スーツと思しきシャツを身に付けたままだ。仮眠、という事なのだろうか。
あの時よりも更に目元に隈が濃くなっていて顔色も酷い。
ふと彼の枕元の携帯が振動したので思わず寝たふりをしたら、晴人さんがすぐに起き上がった気配がした。
そして布団から起き出すような衣摺れの音、床を革靴で歩く音、扉の開閉の音と続いて、それ以降何も聞こえなくなった。
恐らくそのまま仕事に行ってしまったのだろう。
何故寝たふりなどしてしまったのかは自分でも分からないけれど、今はまだ話したく無かった。
寝過ぎた為か眠れなくてテレビを付けてダラダラしていたら、来客があった。
「お姉さん起きてる! 良かったぁ」
「良かったなぁ芽衣子」
メーちゃんが、飛びつくようにベッドの側に駆け寄ってきて、ハヤッチが彼女の後を悠々と付いて歩いて近寄ってくる。
半泣きで喜んでくれるメーちゃんに対して、ハヤッチはメーちゃんしか見ていない。本当ブレないやつ。別にいいけど。
「夢現だったけど、メーちゃんが何度も来てくれてたの覚えてるよ。ありがとう。ごめんね、心配かけて」
謝罪すると、メーちゃんは涙が飛び散りそうな程首を振って、お姉さんの所為じゃないんだから謝らないで! と言ってくれた。
「そういえばハヤッチ仕事は?」
晴人さんは早朝に出て行ったというのに、何をのんびりしているのかと問いかけると、ハヤッチは事も無げに答えてくれた。
「あー今日俺は休み。あいつはお前の為に一週間も休んだんで、溜まっちまった仕事を片付けてるだけだ」
「何ですって!? あ痛つつー!」
「お姉さん、動いちゃだめだよ!」
私を心配してまた泣きそうになっているメーちゃんを宥めつつどういう事なのかと問い質すと、晴人さんは私を救出してから私が一昨日眼を覚ますまで仕事を休んで付きっきりでここに居て、私の入院手続きも、関係者への連絡も全て対応してくれていたらしい。
しかも私が今身につけているパジャマも日用品も晴人さんが用意したものだった。
緊急事態とはいえ私の自宅を荒らしたく無いとの配慮で、自宅には誰も入っていないそうだ。
私の目が覚めた事で仕事には復帰したが、溜まっていた仕事が大変な事になっていて昼も夜も無く走り回る羽目になっているらしい。
「何でそこまで……」
いくら番と主張していたゆりなが起こした事件に巻き込まれたにしてもやり過ぎだ。
あの様子だとまともに寝ていないだろうし、晴人さんの方が参ってしまう。
私が眉間に皺を寄せてぼやくように言うと、ハヤッチが呆れたように告げて来た。
「それはお前が晴人の番だからだ」
しかも二日後の。
そのお陰か細かい傷は癒えて来ているようで、ベタベタと身体に貼られていた絆創膏のようなものやガーゼが取り払われて、肋骨と脚の固定具のみの状態になっている。
骨折やヒビ以外は引き摺られた事による擦り傷が殆どで、一つ一つの怪我は小さかったのだ。
ビンタされた時に負った口内炎みたいな口の中の傷も治っているようだ。これが一番辛かったので助かった。
隣のベッドを伺えば、やはりというか晴人さんが眠っていた。
しかも、スーツと思しきシャツを身に付けたままだ。仮眠、という事なのだろうか。
あの時よりも更に目元に隈が濃くなっていて顔色も酷い。
ふと彼の枕元の携帯が振動したので思わず寝たふりをしたら、晴人さんがすぐに起き上がった気配がした。
そして布団から起き出すような衣摺れの音、床を革靴で歩く音、扉の開閉の音と続いて、それ以降何も聞こえなくなった。
恐らくそのまま仕事に行ってしまったのだろう。
何故寝たふりなどしてしまったのかは自分でも分からないけれど、今はまだ話したく無かった。
寝過ぎた為か眠れなくてテレビを付けてダラダラしていたら、来客があった。
「お姉さん起きてる! 良かったぁ」
「良かったなぁ芽衣子」
メーちゃんが、飛びつくようにベッドの側に駆け寄ってきて、ハヤッチが彼女の後を悠々と付いて歩いて近寄ってくる。
半泣きで喜んでくれるメーちゃんに対して、ハヤッチはメーちゃんしか見ていない。本当ブレないやつ。別にいいけど。
「夢現だったけど、メーちゃんが何度も来てくれてたの覚えてるよ。ありがとう。ごめんね、心配かけて」
謝罪すると、メーちゃんは涙が飛び散りそうな程首を振って、お姉さんの所為じゃないんだから謝らないで! と言ってくれた。
「そういえばハヤッチ仕事は?」
晴人さんは早朝に出て行ったというのに、何をのんびりしているのかと問いかけると、ハヤッチは事も無げに答えてくれた。
「あー今日俺は休み。あいつはお前の為に一週間も休んだんで、溜まっちまった仕事を片付けてるだけだ」
「何ですって!? あ痛つつー!」
「お姉さん、動いちゃだめだよ!」
私を心配してまた泣きそうになっているメーちゃんを宥めつつどういう事なのかと問い質すと、晴人さんは私を救出してから私が一昨日眼を覚ますまで仕事を休んで付きっきりでここに居て、私の入院手続きも、関係者への連絡も全て対応してくれていたらしい。
しかも私が今身につけているパジャマも日用品も晴人さんが用意したものだった。
緊急事態とはいえ私の自宅を荒らしたく無いとの配慮で、自宅には誰も入っていないそうだ。
私の目が覚めた事で仕事には復帰したが、溜まっていた仕事が大変な事になっていて昼も夜も無く走り回る羽目になっているらしい。
「何でそこまで……」
いくら番と主張していたゆりなが起こした事件に巻き込まれたにしてもやり過ぎだ。
あの様子だとまともに寝ていないだろうし、晴人さんの方が参ってしまう。
私が眉間に皺を寄せてぼやくように言うと、ハヤッチが呆れたように告げて来た。
「それはお前が晴人の番だからだ」
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