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10 職場見学
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「職場見学?」
私はかねてからの約束通り、晴人さんにご馳走するべく今話題のレストランのランチバイキングに来ていた。
物凄く人気があって予約が取りにくいと聞いていた店だけど、晴人さんが予約が取れたと言うのでここに来たのだ。
あらかた食べ終えてこれからどうしようかと相談している時に晴人さんから提案されたのがそれだった。
今日の晴人さんは黒いジャケットに黒いスラックスと、シンプルな装いながら、鮮やかな青のティーシャツを中に着ているのでいつもより爽やかさがあり、昨日うっかり噛み切ってしまったという赤みの差した唇が色気までプラスしている。
実は先日晴人さんとハヤッチに獣管の寮に住む事を誘われて、その流れで転職が決まったのだ。
獣管の事務員に。
しかも、びっくりする位の好待遇で。
一応上司には話しておいたものの、晴人さんと会えない間に話が流れてたらどうしようかと思っていたところだ。
「実はこの近くなんですよ獣管。ここも系列店舗の一つなので」
「そうなの!? 結構手広いのね」
獣人管理室、通称獣管は獣人さんに芸能活動を斡旋して、その売り上げ等を獣人さんの保護活動費に充てている機関だ。
「ほら、店員の姿、何か気づきませんか?」
「え? あ……」
言われて周囲を見渡すと、店員さんの頭やお尻に耳や尻尾がついている。
私は料理に夢中でちゃんと見てなかったけど、店員が全員美形で、お客は料理そっちのけで店員ばかり見ていた。
何と、店員が獣人さんの店だったのだ。しかも結構若い子ばっかり。
「芸能活動をしようとしている獣人達の研修施設みたいなものなんです。ここで知名度を少しでも稼いでから活動を始める事で、よりスムーズに芸能活動に移行するっていう狙いがあるんですよ。お金も稼げて一石二鳥」
「へー。合理的なのね」
ジロジロ見ては失礼かなと思っていたら、目が合った高校生くらいの犬獣人さんにウィンクされて、お隣のテーブルから歓声が上がった。
流石だ。
晴人さんが時計を確認してそろそろ行きましょうか。と伝票の側に何かカードを置いた。
「ちょ、私がご馳走するって言ったでしょ! ん、何これ?」
支払いは私がするのよと手を伸ばすと、クレジットカードとかでは無く名刺だと気付いた。
「獣管関係者には割引が効くんですよ」
と、お茶目にウィンクしてくれた。
いい歳した男がそんな事してもイタイだけだと言いたいところだが、晴人さんの美形ぶりに圧倒されて何も言えなかった。
さっきの獣人さんより破壊力があるとは何事だ。
私はかねてからの約束通り、晴人さんにご馳走するべく今話題のレストランのランチバイキングに来ていた。
物凄く人気があって予約が取りにくいと聞いていた店だけど、晴人さんが予約が取れたと言うのでここに来たのだ。
あらかた食べ終えてこれからどうしようかと相談している時に晴人さんから提案されたのがそれだった。
今日の晴人さんは黒いジャケットに黒いスラックスと、シンプルな装いながら、鮮やかな青のティーシャツを中に着ているのでいつもより爽やかさがあり、昨日うっかり噛み切ってしまったという赤みの差した唇が色気までプラスしている。
実は先日晴人さんとハヤッチに獣管の寮に住む事を誘われて、その流れで転職が決まったのだ。
獣管の事務員に。
しかも、びっくりする位の好待遇で。
一応上司には話しておいたものの、晴人さんと会えない間に話が流れてたらどうしようかと思っていたところだ。
「実はこの近くなんですよ獣管。ここも系列店舗の一つなので」
「そうなの!? 結構手広いのね」
獣人管理室、通称獣管は獣人さんに芸能活動を斡旋して、その売り上げ等を獣人さんの保護活動費に充てている機関だ。
「ほら、店員の姿、何か気づきませんか?」
「え? あ……」
言われて周囲を見渡すと、店員さんの頭やお尻に耳や尻尾がついている。
私は料理に夢中でちゃんと見てなかったけど、店員が全員美形で、お客は料理そっちのけで店員ばかり見ていた。
何と、店員が獣人さんの店だったのだ。しかも結構若い子ばっかり。
「芸能活動をしようとしている獣人達の研修施設みたいなものなんです。ここで知名度を少しでも稼いでから活動を始める事で、よりスムーズに芸能活動に移行するっていう狙いがあるんですよ。お金も稼げて一石二鳥」
「へー。合理的なのね」
ジロジロ見ては失礼かなと思っていたら、目が合った高校生くらいの犬獣人さんにウィンクされて、お隣のテーブルから歓声が上がった。
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支払いは私がするのよと手を伸ばすと、クレジットカードとかでは無く名刺だと気付いた。
「獣管関係者には割引が効くんですよ」
と、お茶目にウィンクしてくれた。
いい歳した男がそんな事してもイタイだけだと言いたいところだが、晴人さんの美形ぶりに圧倒されて何も言えなかった。
さっきの獣人さんより破壊力があるとは何事だ。
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