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***

好きな相手に恋人がいようが俺には関係ない。
だって俺は、彼女よりも愛されている自覚があるからだ。


「あー、まだ出てくんじゃねーか」


風呂で後処理をしながら、湯と一緒に太腿を伝って落ちていくそれを見下ろす。
好きな男との行為の証明。
数分前までの感触。声音。体温。表情。
文句じみた言葉とは反対に、顔は明らかににやけていた。

風呂から上がり、タオルで髪を拭きながらリビングに戻る。


「毎度毎度中出ししやがって」
「ごめんって。悠真の厭らしいとこ見てたら我慢できなくてさ」
「…ったく、」


好きな男に抱かれ、ラストスパートというように打ち付けられ、挙句おねだりの如く懇願されては許してしまうのも仕方がない。


「お前だって気持ち良かっただろ?」
「…そりゃ、そーだけど。玄関で盛ってくんな」


汗やら精液やらでドロドロに汚れたフローリングを掃除するのも一苦労だ。


「彼女がいるんだから、そっちとしてろよ」
「悠真だからいいんだって」
「…俺の体力の限界も考えろばか」


拗ねた口調で言ってみるが、上がろうとする口角を抑えるのに必死だった。
だって、どう計算しても彼女より俺の方が週にセックスしている回数が多い。

好きな奴に恋人がいることを気にするのは、負け犬だけだ。

確実に俺の方が好かれてるだろこれ。実は彼女っていうのはただの隠れ蓑で、本当は翔は俺の方が好きなんじゃねーかと思う。もし彼女の方が好きなら、俺なんかと会ってないであっちに行ってるだろ。
そうしないのは、翔が俺に気があるからなんじゃないだろうか。

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