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知らない人
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しおりを挟む数時間後、戻ってきた彼は酷い怪我をしていた。
その綺麗な顔になぐられたような跡が残っている。
しかも、雨に降られたらしい髪からは、絶えず透明な雫と、数滴ほど赤い液体が頬に滴りおちているのが見えた。
「…っ、ち、血が、…大丈夫、ですか…?怪我の手当てをしてもらった方が」
「……」
驚いて声をかけたオレの言葉に、彼は答えたくないというようにふいと顔を背けた。
雫をぽたぽたと垂らし、病室に入ってくる。
…それから、数時間前には泣きそうだったのが嘘みたいな冷たい表情で、ベッドの端に膝を乗せてきた。
「…え、」
かと思ったら、後頭部に回される手と…至近距離に近づく顔。
瞬きをする前に、目の前で長い睫毛が伏せられ、
…ゆっくりと、唇が重なった。
叫ぶ暇も、避ける余裕もない。
目前で瞼を閉じている彼と、触れている温度の低い唇の感触に、思わず息が止まる。
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