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しおりを挟むあと、結構多い「絶対に嫌だ項目」に意外にくーくんは独占欲が強いのかなって思った。…なら、今のも含めて、どうしようどんなのがいいかなと悩んで、んーとひたすら首を傾けていると、
「じゃあ、」とくーくんが小指を差し出してきた。
「俺は他の人とキスしない。まーくんは、俺以外に傷つけられないし、泣かないし笑わないし、触らせない。どう?」
「……」
ほら、と浴衣の大きな袖から見える腕と、子どものような仕草で差し出されている小指。
それに対して、並べ立てられた言葉とのギャップに一瞬絶句した。
…しかもなんか言ってなかったことも一個増えてるし。
そんなおれの反応に、「……何」と彼は眉を顰めて拗ねたような顔をする。
「…だめ?」と小首を傾げて上目遣いで見られれば、くっそうくーくん格好いいくせに可愛い!とよくわからない感情で…堪えられずに顔を手で覆った。
…うう…負けた。
「ちょ、ちょっとなんかくーくんのとおれのとで項目に差があるような気がしないでもないけど、…うん。だいじょうぶ」
「……まーくん、絶対に約束守れる?」
「うん」
疑い深く聞いてくるくーくんに、こくんと頷く。
傷つけられないっていうのはおれが悪いことさえしなければ大丈夫だし、泣かないっていうのも基本的にくーくん以外の前で泣いたことないから…大丈夫、だし、…笑わない、触らせないっていうのも、…なんとかなる。…う?…うむ。だいじょうぶ、だと思いたい。
「…絶対?」
「しない!!絶対にしません!!」
声高らかに宣言して、にへらっと笑ってみせた。
うん。だいじょーぶだいじょうぶ。
任せなさい!と若干開き直りつつ胸を張ってぽんぽんとそこを叩いた。
そうすると、少しだけくーくんの表情が明るくなる。
「くーくんは?」
「俺も、まーくん以外とはしない。約束する」
「うん!!」
指切げんまん!嘘ついたらーとちょっと音痴に歌いながら指を絡めた。
おれより少し大きくて長いくーくんの小指にきゅ、と絡めて振る。
「破ったら、…んー…どうしようかな」
「…どうする?」
「一生くーくんと話さない!絶交!」
ぷいと横を向く。
というか、想像もできないけど、…そんなことがあったら泣いて泣いてそもそも絶交とか言ってられない気がする。
ぶるぶると想像して震えた。
「それは嫌だな」
「お!じゃ、それで決定!」
「まぁ、絶交なんてそんなこと、まーくんに出来たらの話だけど」
「…ぐ、」
見透かされていたようで、悔しい。
「ちなみに、まーくんが破ったら…かなりキツめのお仕置き。」
「…え、何?」
「…ナイショ。だけどきっと凄く嫌がることだから、破らない方がいいよ」
「う、なんだろ…」
怖いな、とちょっと寒気を感じながら、だけど守ればいいんだからと元気よく指切りをした。
「少しは安心した?」
「うん。ありがとう、まーくん」
大分明るくなったくーくんの格好良い笑顔に見惚れて、こっちまで自然と笑顔になる。
「よし!くーくんと無事約束もしたことだし、ぎゅー」
「ぎゅー」
甘えたな声を出して、へへ、と嬉しさを頬に滲ませて笑う。くーくんはぎこちなくほぼほぼ棒読みだったけど、その口から珍しいぎゅーって言葉が聞けてきゅんとしてしまった。
…きっと、守れると思う。
だって、おれはくーくんがいれば他なんかいらないから当たり前なのだ。
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