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しおりを挟む慌てた表情のくーくんが心配そうに眉を下げて、覗き込んでくる。
…だめ、なのに。
ふるふると首を横に振る。
「ちが、ちがう、あの、おれ…っ、」
「…ゆっくりで、いいから」
「…っ、う…、う゛ー」
…くーくんが泣いてないのに、またおればっかり泣いたら、だめだって、わかってるのに。
片手で抱き寄せられて、優しく抱きしめられる。
その体温に安心してまた更に涙が零れるのを感じながら肩に瞼を押しつけた。
「ちが、う…っ、」
「……」
「痛かった、とかじゃ、なくて」
…そうじゃないなら、何なんだろう。
なんでこんな気持ちになるのか、わからなくて、でも必死に言葉をまとめようとする。
ひっく、ひっくと意味もなくしゃくりあげて、その度に喉が痙攣して言葉が変になる。
「く、くーくんに、…っ」
「?うん、」
ぎゅう、と掴んだ服を握る。
くーくん、くーくん、と何度も心の中で叫ぶ。
「凄いなって、言ってもらったり、好きだよって、言ってもらうと」
「…うん」
「なんでか、わかんないけど、涙が、とまんなくて…っ、」
くーくんが、だいすき。
だいすきなんだよ。
胸が苦しい。
でも、痛いって感じじゃなくて、嫌な感じでもなくて、
だからきっと、言葉じゃ表せられないくらい、…そのくらい好きで、大好きで、
…そう思えば思うほど、こんな気持ちを抱えきれずに持て余してしまう。
「どうしたら、いいかわかんな…っ、」
話している間にもぼろぼろと涙が零れ落ちて、声が詰まった。
濡れていく頬。
そこを拭うように優しく触れる指に、ぎゅっと一瞬瞑る。
「…ひ、く……く、-くん…っ、」
「………、」
嗚咽ばかりな声で呼んで顔を上げる。
すると、やっぱり泣いてばかりのおれに、彼はちょっと困ったような表情をしてて、
でも…なんだかくーくんまで泣きそうな顔をしているように見えた。
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