手足を鎖で縛られる

和泉奏

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過去【少年と彼】

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唇を重ねて軽く舌を絡めれば、寝息混じりに小さく息を漏らす。

着物を着ている状態でもよく見えるように首筋に幾つかキスマークをつけた。
白く透き通るような肌に桜のような朱を散らしていく。
…起きてると絶対に嫌がられるから、こんなにはっきりと跡をつけたりしないんだけど。


その行為に何分間か専念して、やっと満足感を得たところで身体を起こした。

ちらりと様子を窺うと、相変わらず可愛い寝顔で睡眠を貪っている。


「……」


脚がまだ左右に開かれたままの状態だからやりやすい。
膝の裏を掴んで、挿入しやすいように左右に大きく広げながら脚を体の方に向けて持ち上げた。
先程の行為でどろどろに溶け切った後孔に、性器をあてがう。

(…押し戻される…)

亀頭を差し込んだ途端、先程のバイブよりもでかい異物を拒むように、肉壁が厭らしいほどキツく締め付けてきて抵抗をみせる。

ぐ、と強めに腰を押しつければ、信じられないくらい絶妙な締め付けに変わり、硬く勃起した性器の先端はぬるぬる柔らかいそのナカに吸い込まれていった。

トロトロに溶けた内壁がぎゅうと絡みついてくる。

湿っていて温かい。
散々機械で弄られたせいか、まだそこはピクピクと震えて余韻を残していた。

…俺を求めるようになってほしいのに、あんな玩具で気持ちよくなって終わられたら意味がない。


「…まーくんが起きてくれないと、変なプレイみたいになっちゃうんだけど、」

「…っ、んん…、」


寝ていても段々と入ってくる熱の圧迫感を感じるのか、その眉が八の字に寄せられた。
苦しそうに息を漏らす。

…睡眠中の無抵抗な相手に承諾なしで勝手に挿入するのって、


(…なんか、やばい)


「……、」


…少しの罪悪感と背徳感。
片方が寝たままの状態で事を進めていいものかと迷う。

ちょっとやってみたい欲求とさすがにダメだろうという理性がせめぎ合う。
迷っている間に、硬くなった自身を包む内壁の温もりの量は増えていっている。

ズブズブと挿入しかけていた性器を、途中で止めた。……やっと、半分くらい入った。


「………」

「ん、ん…っ、ぅ、」


じゅぶっ、ぬぷっ、

軽く腰を揺すると、まーくんの身体は容易く上下する。
股を無抵抗に開かされ、その股の間に俺のモノを受け入れて、…わざとまだ挿入しきってない性器から与えられる刺激に対してさえ、小刻みに内壁を擦る度に寝息とは違う声を滲ませていた。

全部抜いては亀頭をグチュウ…と挿入し、それを何度も繰り返す。


「…は、っ、ん…ん…」


亀頭が狭い穴を拡げて侵入する度にまーくんの腰が浮き、左右に広げられた足に力が入っているのが目に見えてわかった。

意識がないはずなのに、浅いところを擦っているとその細い腰が本能的にか揺れて、段々頬が紅潮してくる。


「…っ、寝てるのに、感じてるんだ…?」

「…う、っ、ぁ…」


腰を掴んで浅く挿入したまま抜き差しを繰り返せば、一瞬顔を歪ませ、ビクビクっと寝ながら跳ねる身体。

シーツを掴んでぶるぶると震えて悶絶している。

はぁ、はぁ、と息を吐いてくたりとして…けど、まだ目を覚ます様子のないまーくんを見下ろして…なんだか『睡眠』っていう物に負けてる気がしてきた。

だから窒息寸前の激しいキスをすることで無理矢理覚醒させてみた。

濃厚に重ねていた唇を離す。
肩で呼吸をして、息を吸おうと開かれたその小さな唇から唾液が零れるのが見えた。

「ぁ…、え…?」と驚いて目を開いて、でもまだ寝ぼけているらしくとろんとした表情で俺を見つめるまーくんの耳元に「挿れるよ」と囁く。

(もう既に挿れてるし、散々動いちゃったけど)

「…いれ…る…?」となんとなく俺の言葉をおうむ返しで呟くまーくんに「いい子だからじっとしてて」と頭を撫でながら微笑めば、絶対何も理解してないだろうけど流れで頷いてくれた。

それを見て承諾が取れたような気分になって先程よりも躊躇いなく、挿入する速度を速める。

腰を緩く振りながら、心置きなく根本まで奥に挿入して。


「…っ、…」


思わず驚嘆に息を呑んだ。

…いつもと違う。
さっき浅く挿入してた時の比ではなかった。

熱を持っていて温かいとか、締まりが良すぎる…なんてそんな簡単な言葉で表現できるものじゃなくて、
しかも凄いなんか…トロトロしてる。

…いや、でもいつもこんな感じだけど、今日は特に凄い、ような、

ねっとりと焦らすように動かしながらその身体の奥を味わっていれば、初めは違和感に戸惑いながらも勝手に漏れ出る声に焦っていたまーくんも、段々事態を把握してきたのか俺から逃げようとする。

一旦腰の動きを止めて、その後頭部に回した手で唇をキツく塞いだ。


「…ん…っ?!ふ…っ、」

「……っ、まーくんの舌…熱、」


吐息を零しながら舌を絡めたり噛んだり吸ったりして、キスにだけ集中してその口腔内を荒らしてやる。
しばらくするとまーくんはぼうっとしたような表情で肩で息をしながら抵抗しなくなった。

それを確認してから、抜き差しを繰り返していれば段々スイッチが入ってきたらしい。

両頬に触れた手で、引き寄せられた。
軽く瞼を伏せたまーくんの顔が一気に近づく。

唇を塞がれた。

驚きに一瞬動きが止まる。


「…っ、」


ただ、重ねるだけのキスだった…けど

でも、それでも滅多に見られない積極的に行動に胸を打たれて、上機嫌に目を細める。
ギシギシとベッドを揺らして、更に互いの身体を貪りあいながら激しく交わった。


…最初セックスし始めた時はこんな風になるまでにかなり時間がかかってたのに、随分身体が慣れてきたらしい。

欲に負けて蕩け切った表情や行動に胸が熱くなるのを感じながら、俺の動きに必死でついていこうと首元に腕を回しながら息を荒くする身体を抱き返して更に深く交わった。角度を変えて、弱いところを擦る。


「…っ、も…、やだ、…ぁ…ッ、」

「あと、ちょっとだから…っ、」

「…むりっ、ひィ…っ、こわれ、…らん、か、へ、んッ!や…っ!」

「…っ、俺がもっともっと気持ちよくしてあげる。だから、理性もなくなるくらいに壊れて」


俺を、求めて。


「んッ、んやッ、き、気持ち…よすぎて、こわ、ぃッ……」


さっきあんな風にイッたせいかいつもより異常に感じすぎるらしい。
ビクビクと全身とナカを収縮させて痙攣しているのに、イキすぎたせいか最早その性器から液が何も出ていない。

その身体が敏感すぎて、短い間隔で何度も絶頂に達していた。狂ったようにナカが蠢いて、何度も締め付けてくる。
…でも、まーくんが何度も果てたのに関わらず俺はまだ一度も射精してない。
だからもう少しだけ頑張ってと少し焦って腰をぶつける。


「…っ、ひっ、んッ、」


まーくんはどうみても既に体力的に限界で。

それなのに気持ちいいと喘ぎ過ぎて掠れた声で泣いていた。
前立腺を何度も先端で潰せば、もっと深くつながるようにとほとんど入ってないに等しい力で必死に俺にしがみついて自分から腰を振っている。


「…っ、おれぇ、…ッ、…なんで…っ、かって、に…っ、うご、ひ…っ!」

「嗚呼、やばい。腰振ってるまーくん可愛すぎる、…ッ、」

「…ふ、ぇ…っ、なん、れ…っ、…ち…ッ、ぁ…っ、ちら、う、のに…とま、とまんな、っ、ぃ…!」


言葉では嫌だと拒否するくせに。
さっき少し寝たことで多少理性を取り戻したのか、意思とは反対の動きをする身体に戸惑いながらもどろっどろに欲情した瞳で頬を上気させて涙を零している。


「…ッ、」


そんな表情に、ドクンと胸が震えて下腹部に熱が集まる。
頬がカッと熱くなって、本能のままに最奥深くを擦り上げるように性器を捩じ込んだ。

それから何度目かの行為の後、まーくんは気絶するように眠って。
その目にかかっている前髪を指で軽く避けて、無防備にさらされた額に唇でそっと口づける。

今度こそ深い眠りにつくことができた身体を、寝ている間に風呂で綺麗にしておこうと鎖を外して抱き上げた。

―――――――――――――

(どうせなら、全部俺のモノになってよ)

(他なんか見る余裕もないくらい…俺だけを見て)




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