185 / 786
お世話
6
しおりを挟む無言になってしまったらしい蒼とこの空間に居たたまれない。
恥ずかしい。死ぬ。
「う、…う、」なんでおれは今病人なのにこんな羞恥心に駆られて、熱が悪化して身体もいたくて友達の前なのに羞恥心でいっぱいになってるんだろう…。
…というか、蒼は真剣に身体を拭いてくれて、それに勃つっておれ…変態みたいだし、しかも一生懸命やってくれた蒼に申し訳なくて情けなくて穴があったら入りたい気分になる。
目頭が熱い。
「……ご、ごめ…っ、蒼…っ、おれ、だめで、…一生懸命にやって…っ、くれたのに…っ」
最早泣きかけて、ああもう情けない死にたいと枕を濡らす温かい涙が一度溢れたら止まらずに肌を伝って落ちる。
……やっぱり軽蔑しただろうか。
おれがこんなに看病してやってるのにこいつは勃起してたのか、と…蒼は思っただろうか。
「…うあ…」
何の反応も返ってこないから、余計に不安になって怖くなって辛くなって居たたまれなくて、本気で涙が零れる。ひっくひっくと、しゃくりあげながら顔を枕で隠して泣いた。
「……」
ぎしりと床が軋む音が聞こえた。
やっぱり、ため息をついて出て行っちゃうのかな。おれに呆れたかな。もうこんな変態と友達でいるのさえ嫌だと思ったかな。
もしも蒼に呆れられたら、もう友達でもいたくないと思われたら本気で死ぬ。次の日にはあいつは変態だみたいな目で見られて不登校になってひきこもるんだ。
恐怖がどんどんどんどん自分の中で拡大していって、最後まで想像したらもう死ぬしかなかった。
死因:友達に看病されて勃起したこと
情けない理由だけど、それほどおれにとっては一大事だったのだ。
「……可愛いな」
嗚咽を漏らしていると、何故かそんな言葉が聞こえて。
聞き間違えだろうと震える声で「……へ?」と聞き返してみれば、枕ごと抱きしめられた。
「…あおい?」
与えられる肌の温かさや包み込む香りに、息を呑んだ。
顔を枕から上げると、手首を掴まれた。
枕が布団に落ち、身体の上に跨るような体勢になっている蒼が、微笑む。
40
お気に入りに追加
1,076
あなたにおすすめの小説
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる