184 / 804
お世話
5
しおりを挟むそっちを見ると履いていたズボンを脱がされていることに気づき、思わず声がでた。
「な、…っ、ぇ…っ、ぁ…っ」
さすがに下はまずい。
うろたえる。
流石に戸惑う。
あっけに取られているうちに、今度は下着に手をかけられておろされた。
「ま…っ、…わっ」
上半身を起こしかけて、下着を膝から下に持っていかれると同時に無理矢理足が上に持ち上がって頭から布団に落ちた。
いくら頭が布団の上に倒れたといっても、熱のせいで一瞬目の前が真っ暗になった。
(…痛――っ)
ただでさえ意識が朦朧としてるのに、さっきから悪化の一途をたどっているような気がする。
蒼は多分一生懸命おれのためにやろうとしてくれてるってことはわかってるんだけど、看病の仕方がおれの想定と全然違う。
でも、その顔が無表情で、絶対変なことを考えてるわけじゃなくて、純粋に拭いてくれようとしてるんだと分かってる。
…わかっては、いる。
でも
「待って待って待っ…て……」
動揺と熱のせいで声が掠れてる。
うまく声が出ない。
でも、必死に止めようと喉の奥から声を絞り出す。
止めないといけない。
…今は、本当に、まずい。
いや、今じゃなくてもまずいんだけど、今は殊更やばい。
必死にできる限り大声を出したけど、頭がガンガン叩かれているように痛くて呻いた。
(…やばい…吐く)
揺らぐ視界に耐えて、口を手で塞いでいると。
「……勃ってる」
「…っ」
そのおれのソレをじっと見て、ぽつりと呟かれた声にカッと頬が熱くなる。
い、いや、別に図星じゃないんだけど…、というか、別に身体を拭かれることに性的興奮を覚えたとかではなく…。
吐かない程度に身体を起こして、布団を下半身の上にかけてそれを隠す。
熱い。色んな意味で身体が熱い。
蒼から顔を逸らして、ぼそりと呟いた。
ああ、もう、やだ。
「お、おれ…多分すごく人一倍くすぐりが弱くて、…その、タオルの感触に耐えてるときとか、…に……」
…はい。正直言うと勃ちました。
友達に看病してもらってたのに、勃ってしまいました。
もう顔も見られたくなくて、そこらへんにあった枕を掴んでぎゅっと胸元に抱えて抱きしめた。
もふもふのつめたいシーツ素材に顔を埋める。
もう窒息したってかまわない。友達にこんな姿見られるくらいなら、枕で窒息してやる。
「ご、ごめん…っ、そういう知識とかなくて、…抜いてない、からなのか、おれも、わかんないんだけど、……最近、なりやすくて、」
「……」
言い訳だ。
言い訳でしかない。
37
お気に入りに追加
1,088
あなたにおすすめの小説
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
無自覚な
ネオン
BL
小さい頃に母が再婚した相手には連れ子がいた。
1つ上の義兄と1つ下の義弟、どちらも幼いながらに
イケメンで運動もでき勉強もできる完璧な義兄弟だった。
それに比べて僕は周りの同級生や1つ下の義弟よりも小さくて
いじめられやすく、母に教えられた料理や裁縫以外
何をやっても平凡だった。
そんな僕も花の高校2年生、1年生の頃と変わらず平和に過ごしてる
それに比べて義兄弟達は学校で知らない人はいない
そんな存在にまで上り積めていた。
こんな僕でも優しくしてくれる義兄と
僕のことを嫌ってる義弟。
でも最近みんなの様子が変で困ってます
無自覚美少年主人公が義兄弟や周りに愛される話です。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる