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お世話
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しおりを挟むこの埋め合わせは今度必ずなんとかしよう。
返しきれないほどの恩恵を受けている気がする。
どう返そうか考えていると、ふいに蒼が立ち上がる。
「何か飲み物持ってくる」
「ぁ、…っ」
そう言って離された手に、寂しさのあまり小さく声を上げてしまってからすぐに後悔した。
手を繋いでないと嫌だとか、どんだけ子どもだよ…おれ。
幼稚な自分の反応を恥ずかしく思う。
彼はそんなおれの頭を撫でて「すぐ戻ってくるから」と優しく声をかけ、その手と笑顔に安堵してベッドに身を沈める。
……そういえば、喉カラカラだ。
よくわかったな…蒼はやっぱりすごいな…と考えながら、熱に浮かされたような頭でぼーっと天井を見上げていると。
「持ってきたよ」
ペットボトルに入った水と、タオルを持った蒼が戻ってきた。
タオル…?
呆けながらそれを認識して、納得する。
確かにかなりの汗をかいていた。
気が利くなぁと改めて彼の配慮のすごさに感心する。
「ありがとう。…あっ」
上半身を起こして受け取ろうとすれば、手に力が入らなくて床に落としてしまった。
熱のせいで震えて、脱力したように制御の効かない手は役に立たない。
落としたものを取ろうと手を伸ばそうとすれば、制止された。
「俺が取るから座ってて」
「あ…の、ごめん」
本当に、迷惑しかかけてない。
落ち込みながら、ペットボトルを拾ってくれるのを目で追う。
……と、何故か彼はそのペットボトルに口をつけ、飲もうとしている。
そっか。喉が渇いてたんだなと思いなおした。
「…え、」
……蒼が、布団に手をついて身を乗り出してくる。
な、なんなんだと反射的に後ろに下がろうとすると、指先で顎を掴まれた。
くいと軽く上げるようにされ、至近距離で見つめ合う格好になる。
どうしたんだろう、と不思議に思う。
目の前には、軽く瞼を伏せた蒼の綺麗な顔があって
改めてこうして見ると思わず喉を鳴らしてしまうほど端整な顔立ちで、もしもおれが女子だったら本当に惚れるかもしれないな、なんて思考が勝手に浮かんできた。
……けど、おれが呑気に考えていられるのもそこまでだった。
「———っ、?」
何故か、唇を塞がれる。
柔らかく優しく重なる感触。
反射的に閉じた口をこじ開けるように舌が侵入してきた。
ぬる、と擦れると同時に液体が口の中に流れ込んでくる。
「ぁ、…っ、んん…っ、」
少しずつ飲みこまされ、口の端から零れた水が頬を伝って顎から下に落ちる。
考える暇もなく、水を飲み終わるのを確認すると蒼は離れていった。
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