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…ただ、傍にいたかった。
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しおりを挟むそう思って目を開けた瞬間
「…っ、」
視界が暗い。
同時に、すぐ目の前に瞼を閉じた蒼の顔があることに気づいた。
…そっと触れるように、唇が重なる。
「いたずら」
そんなことをとても嬉しそうな表情で言う。
ふ、と本当に意地悪げな表情で口角を上げて離れていくから、うう…と何も言えずにそっぽを向いた。
なんか、今日の蒼はやけに甘ったるくて、やりづらいというか。
………なんか、変だ。
「照れてる?」
そう言って笑う彼に、「……、ない」と、とりあえず言葉で否定しておく。
今の自分が赤くなっていたかは、正直よくわからなかった。
…ちょっとだけほっぺが熱い気はしたけど。
その後、身体を洗ってもらってから浴衣を着せてもらう。
慣れたように手間取ることなく、自然な動作で着せてくれた。
だけど。
「……」
「ごめん、少しだけだから。待ってて」
「……うん」
また抱っこして部屋に連れていかれて、当たり前のように枷を手足につけられる。
カチャリ、と鎖の鍵をかける音がした。
そして部屋から出ていった蒼の姿を思う。
(…もう、こんな関係じゃなくなったと、少しは期待してたけど)
「……やっぱり、気のせいだったのかな」
声に落胆の色を隠せない。
……昔の蒼に戻ったって感じたのは、…俺の勘違いだったのかもしれないな…。
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