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性行為の果てに
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しおりを挟む唇の端から零れた唾液を舌でなぞられながら優しく重ねるだけのキスを何度も繰り返す。
「ふ…孔も結合部も顔もとろっとろにしながら男のペニスをずっぽり咥えこんでる君の姿、彼らに見られてるよ」
「っ」
「『家族公認』だね。俺達の仲」
くちゅ、ずちゅ…
近くに転がっている…『モノ』。
顎を掴まれ、見たくもない方に顔を向けられてぎゅ、と目を瞑った。
「…っ、…もう、充分だろ」
「充分?」
「殺すなら、…早く殺してくれ」
愛してるとか俺を助けるため、だなんて言ってたけど、どう考えてもあれは嘘だろう。
そもそもこの男が俺を助ける理由もないし、こっちとしては助けられるような事柄もない。
だから、きっと俺はこの行為が終わったら殺される。
あの人達みたいに、昨日まで生きてたのが嘘みたいに、…ただの肉の塊になるんだろう。
「……」
「ヤる相手なら俺じゃなくても代わりがいるんだし、こんな無駄なことしないで、もう…終わら、せ…ッ?!」
突然、唇を塞がれる。
噛みつくような荒々しい口づけをされた。
酸素をお互いの身体に求めるように、暴力にも思えるキス。
ゆっくりとした抜き差しを繰り返しながら、離れた唇に自然とお互いに荒い吐息がかかった。
噛まれたのか、唇の端がじんじんして痛む。
「雅之クンの目、とろんとしてる。…可愛い」
「っ、――…ふざ、けんな」
暗い玄関の中で、浮かび上がるような白い透き通った肌と、長い睫毛、美しい顔。
これだけ近くにいたら、流石にその異様に整った顔立ちがはっきりとわかる。
だからこそ、変だ。
「…俺じゃなくても、いい、だろ…っ、」
見ず知らずの俺じゃなくても構わないはずだ。もうすぐ死ぬからって俺に…男にこんなレイプみたいなことをする意味がない。
顔だけなら、他に喜んでする奴がいくらでもいるだろう。
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