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五話、【昔の友達】(流羽ver)
28(優ver)
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「可愛いって言ってくれたし、優の恋人は、…好きなのは私…だよね?」
その言葉に、流羽が大袈裟な程震えたのがわかった。
緊張と恐怖に強張っているのが伝わってくる。
ゆっくりと優しく頭を撫でながら、欲に塗れた瞳を向けてくる彼女を見据える。
「君には初めから、何の感情も抱いてないよ」
「…っ、」
「女性であって、彼のことばかり意識する流羽の気がかりになる人間なら誰でも良かった」
零した本音に、「…え…?」と抱き締めている流羽が呆然とした声を漏らす。
「っ!何、じゃあ私のこと好きでもないのに可愛いとか、キスするとか言ったってこと…?!!全くするつもりはなかったのに言ったってわけ?!」
「………」
本気か冗談かと言われたら本気だった。
けど、それを言ったところで意味がない。
悩み、「…流羽が彼を拒まなかったら、してたかもね」と重く言葉を返す。言葉に滲み出てしまいそうな感情を必死に抑えた。
「ほら、その程度の関係なんでしょ?!なら私と――」
これだけの醜態をさらしているのに、彼女は引き下がるどころかまだ追い求めてくる。
あの時も
俺のことを何も知らないのに、よく告白できるなと思ったけどやはりこういう相手は一筋縄ではいかない。
あんな男のことで悩む流羽が気に入らなくて、都合の良い相手だと思っていただけに、段々鬱陶しくなってきた。
「……面倒くさい女だな」
「っ、」
ああ、しまった。
目的の相手ではなく、腕に閉じ込めた身体がびくりと一際大きく震えた。
息を吐き、「…流羽」と名前を呼ぶ。
目に涙の薄い膜を張って、何を言われるのかと蒼白になるほど怯えている流羽の唇を、塞いだ。
突然奪われた呼吸と驚きに漏れる声。
逃げられないように後頭部を手で押さえ、いつもより少し強引に舌を優しく捻じ込む。
(…流羽はこういう時、絶対に拒むような真似はしない。)
粘膜が擦れ、吐息がまじる。
酸素を吸う間がないほどに激しく、甘く舌を絡ませた。
余裕のないキスに唾液が唇の端から零れ、それでもと相手から漏れる声を合図に更に行為を進めて息を奪うように貪る。
…途中、逃げるように去っていた女の姿を横目にみて、流羽を解放した。
肩で息をし、ぜぇぜぇと苦しそうに床にへたりこんでいる。
先程まで重ねていた唇は濡れ、余韻で目が潤み、頬を染めていた。
「流羽…」
「…っ、や」
ぼろぼろと涙を流し、俯いている頭を撫でようとした手が跳ねのけられる。
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